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第4章:新しい幸せの形――それぞれの未来へ
4-1.迎春の祝賀とグランシェル家の活躍
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1.迎春の祝賀とグランシェル家の活躍
新年を迎え、王都には華やかな祝賀ムードが広がっていた。前年末にようやく取り決められた「グランシェル侯爵家と王家の最終合意」によって、婚約破棄の問題は公式に解決し、マイラたちの周囲にも安堵の空気が漂っている。
マイラは朝早くから父デゼルの執務室を訪れ、年明け直後に行われる「新春の祝賀式典」について最終確認を行っていた。この式典には、有力貴族や高位聖職者、さらには外国の特使なども出席する。国王が主催し、一年の始まりを盛大に祝う行事だ。例年ならば形式的な催しに過ぎないが、今年のグランシェル侯爵家は事情が違う。
「王城施設の優先利用権」を手に入れたグランシェル家は、この式典の一部にも大々的に協賛できるようになった。領地から取り寄せた特産品や新しい工芸品を披露するブースが設けられ、さらに来賓との交流を深める場も用意される予定である。いわば“グランシェル家の復権”を内外にアピールする絶好の機会となるのだ。
「お前ももう準備はいいな、マイラ」
朝の執務室で書類に目を通しながら、デゼル侯爵は娘に問いかける。
「はい。ルシアン様との事業で開発した試作品も、展示できる段取りをつけています。領地から取り寄せた細工家具や金属工芸品、今期の農産物加工品など、視察に来る貴族や商人へ積極的にPRしようと思っています」
マイラは自信に満ちた表情で答える。彼女は昨年後半からずっと、ルシアン・ベルナールとともに新しいビジネスを軌道に乗せるため奔走してきた。その成果は徐々に形になりつつあり、実際に一部の商材は王都の高級店でも取り扱われ始めている。
「よし。私もできる限り協力しよう。……しかし、お前がここまで生き生きと動く姿を見る日が来ようとは、正直、思っていなかったよ」
デゼルは苦笑しながらそう付け加える。婚約破棄のショックから娘が立ち直るまでは、もっと時間がかかると想定していたらしい。だがマイラはその苦難をバネにして、見事に前へ進み出したのだ。
「私も驚いています。でも、あのとき辛い思いをしたからこそ、今こうして“自分のやりたいこと”を見つけられたのかもしれません」
はきはきと語るマイラを見て、デゼルは誇らしげに目を細める。グランシェル侯爵家はこれから、さらに大きく羽ばたいていくに違いない――そんな確信があった。
新年を迎え、王都には華やかな祝賀ムードが広がっていた。前年末にようやく取り決められた「グランシェル侯爵家と王家の最終合意」によって、婚約破棄の問題は公式に解決し、マイラたちの周囲にも安堵の空気が漂っている。
マイラは朝早くから父デゼルの執務室を訪れ、年明け直後に行われる「新春の祝賀式典」について最終確認を行っていた。この式典には、有力貴族や高位聖職者、さらには外国の特使なども出席する。国王が主催し、一年の始まりを盛大に祝う行事だ。例年ならば形式的な催しに過ぎないが、今年のグランシェル侯爵家は事情が違う。
「王城施設の優先利用権」を手に入れたグランシェル家は、この式典の一部にも大々的に協賛できるようになった。領地から取り寄せた特産品や新しい工芸品を披露するブースが設けられ、さらに来賓との交流を深める場も用意される予定である。いわば“グランシェル家の復権”を内外にアピールする絶好の機会となるのだ。
「お前ももう準備はいいな、マイラ」
朝の執務室で書類に目を通しながら、デゼル侯爵は娘に問いかける。
「はい。ルシアン様との事業で開発した試作品も、展示できる段取りをつけています。領地から取り寄せた細工家具や金属工芸品、今期の農産物加工品など、視察に来る貴族や商人へ積極的にPRしようと思っています」
マイラは自信に満ちた表情で答える。彼女は昨年後半からずっと、ルシアン・ベルナールとともに新しいビジネスを軌道に乗せるため奔走してきた。その成果は徐々に形になりつつあり、実際に一部の商材は王都の高級店でも取り扱われ始めている。
「よし。私もできる限り協力しよう。……しかし、お前がここまで生き生きと動く姿を見る日が来ようとは、正直、思っていなかったよ」
デゼルは苦笑しながらそう付け加える。婚約破棄のショックから娘が立ち直るまでは、もっと時間がかかると想定していたらしい。だがマイラはその苦難をバネにして、見事に前へ進み出したのだ。
「私も驚いています。でも、あのとき辛い思いをしたからこそ、今こうして“自分のやりたいこと”を見つけられたのかもしれません」
はきはきと語るマイラを見て、デゼルは誇らしげに目を細める。グランシェル侯爵家はこれから、さらに大きく羽ばたいていくに違いない――そんな確信があった。
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