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第4章:新しい幸せの形――それぞれの未来へ
4-4.決別とざまあ――王都を去るラウル
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4.決別とざまあ――王都を去るラウル
舞踏会は夜遅くまで続いたが、ラウルとリリアの姿は早々に消えていた。おそらく、これ以上痛めつけられることを避けて退席したのだろう。
翌日、王宮筋から正式な発表があった。ラウル王子は“公務”として近隣の領地を長期視察し、その後は王都での役職には戻らない――要するに、彼は二度と王都の表舞台に立つことなく、「事実上の追放」状態になると決まったのだ。平民であるリリアを連れて行くことも黙認されるが、その先でどんな扱いを受けるかは定かではない。
国内外の貴族や商人たちは「彼はもう終わりだ」「王家があそこまで露骨に見放すなんてよほどのこと」と噂する。中には「リリアは王都に残るべきでは? あの王子に未来はないだろう」と同情する声もあったが、リリア自身がラウルと共に行くと固く決意しているらしい。その旅路が幸福につながるのか、それとも後悔の果てに消えていくのか――知る者は誰もいない。
そんな中、マイラのもとに一通の書簡が届いた。差出人はリリア。そこには短い言葉だけが綴られていた。
「マイラ様、あなたのことを傷つけた私をどうかお赦しください。私は、ラウル殿下とともに王都を離れます。彼の選んだ未来を私も背負って歩きます。いつか、あなたが築く新しい世界を目にすることができたら――それが私の小さな夢です。どうかどうか、お元気で。」
書簡を読み終えたマイラは、しばし無言のまま。それから静かに封を畳み、机の奥にしまった。
(――私のことを傷つけた、というよりも、結局一番傷ついたのはリリアさん自身かもしれない。……でも、もうこれ以上私は何もしてあげられない)
彼女は胸の奥にある哀愁を、そっと吐息とともに溶かしながら、“最後に届いた別れの挨拶”として封をしまい込む。
数日後、ラウルとリリアは馬車で王都を後にしたという。王城の兵や一部の官僚が同行する形ではあるが、ほとんどの貴族は見送りに現れなかった。かつては次期国王の弟として華やかな未来を期待されていた青年の姿は、虚しくも尻すぼみに終わった。
これこそが彼の選んだ道の結末――その姿に、マイラは少しだけ複雑な想いを抱くものの、「もう遅すぎる」と切り捨てる気持ちも隠せない。過去の自分を“息苦しい存在”と否定し、勝手に去っていった相手を、今さら哀れむ必要などないのだ。
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国内外の貴族や商人たちは「彼はもう終わりだ」「王家があそこまで露骨に見放すなんてよほどのこと」と噂する。中には「リリアは王都に残るべきでは? あの王子に未来はないだろう」と同情する声もあったが、リリア自身がラウルと共に行くと固く決意しているらしい。その旅路が幸福につながるのか、それとも後悔の果てに消えていくのか――知る者は誰もいない。
そんな中、マイラのもとに一通の書簡が届いた。差出人はリリア。そこには短い言葉だけが綴られていた。
「マイラ様、あなたのことを傷つけた私をどうかお赦しください。私は、ラウル殿下とともに王都を離れます。彼の選んだ未来を私も背負って歩きます。いつか、あなたが築く新しい世界を目にすることができたら――それが私の小さな夢です。どうかどうか、お元気で。」
書簡を読み終えたマイラは、しばし無言のまま。それから静かに封を畳み、机の奥にしまった。
(――私のことを傷つけた、というよりも、結局一番傷ついたのはリリアさん自身かもしれない。……でも、もうこれ以上私は何もしてあげられない)
彼女は胸の奥にある哀愁を、そっと吐息とともに溶かしながら、“最後に届いた別れの挨拶”として封をしまい込む。
数日後、ラウルとリリアは馬車で王都を後にしたという。王城の兵や一部の官僚が同行する形ではあるが、ほとんどの貴族は見送りに現れなかった。かつては次期国王の弟として華やかな未来を期待されていた青年の姿は、虚しくも尻すぼみに終わった。
これこそが彼の選んだ道の結末――その姿に、マイラは少しだけ複雑な想いを抱くものの、「もう遅すぎる」と切り捨てる気持ちも隠せない。過去の自分を“息苦しい存在”と否定し、勝手に去っていった相手を、今さら哀れむ必要などないのだ。
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