日替わりメイド・ミリア 〜追い出されたけれど両家から引っ張りだこ! 最後に選ぶのは“恋”ですか?“居場所”ですか?〜

鍛高譚

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第17話 前篇 ミリア、決められませんわ!!

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第17話 ミリア、決められませんわ!!

 レオンハルトが去り、屋敷に一応の平穏が戻った……はずだった。

 しかし翌朝。
 食堂にいたアーロンの前に、やけに明るい顔の使用人たちが並んだ
「旦那様!!」
「ミリア様は昨日“こちらに残る”とおっしゃっていましたが!」
「つまりミリア様は当家所属で確定と!!!」
「おめでとうございます!!」

「いや。
 本人まだ悩んでいると言っていたが……」

「それは!
 それはそれとして!!」

「……何がだ」

(……この屋敷の使用人、いつもこのテンションだな)

 アーロンは頭痛をこらえるように紅茶をすすった。


---

◆そして——廊下の向こうから

「ミリアーーッ!!」

「レ、レオン様!? 元主様!? なぜこちらに!?」

 ミリアはモップを抱えて後ずさった。
 なぜか今日は朝からレオンが屋敷に乗り込んできたのだ。

「昨夜帰るつもりだったが、
 気になって眠れなかった!
 だから泊まった!!」

「いや泊まってたんですの!? どこに!?」

「馬小屋だ」

「どうして客室に泊まらなかったのですの!?!?」

「断られた……!」

「ど、どなたが!!?」

「そこの執事だ!!」

 執事がすっと横目で視線を逸らした。

「……当家の治安を守るためでございます」

(治安!?)


---

◆二人の主の主張(コメディ版)

「ミリア!
 私は君が必要だ!
 君がいないと屋敷の再建が進まない!」

「ミリア。
 私は君が必要だ。
 昨日水を飲んだら、君がいないことを考えて喉が詰まった」

「ご主人様!?
 それはただ焦ってむせただけでは!?」

「いや。……恋だ」

「違いますわよね!?」

「違うな」

「すぐ否定しますわね!!」


---

◆使用人 VS 使用人、戦い始まる

 気づけば廊下の両端に集まる二つの集団。

●アーロン派(現勤務先)

「ミリア様はうちの誇り!!」
「働きぶりが女神!!」
「モップのさばきは剣豪!!」

●レオン派(応援に来た元使用人たち)

「ミリア様を返せ!!」
「ミリア様がいないと屋敷が崩壊!!」
「昨日もパンが焦げた!!」

「最後のはわたくし関係ありませんわ!!??」


---

◆ミリア、パニックに陥る

「え、ええと……
 わたくし、あの……その……」

 二人の主が近寄ってくる。

「ミリア。落ち着いて私の話を聞いてくれ」
「いや、私の話を優先してくれ!」
「どちらも落ち着いてくださいませーー!!」

 ミリアは涙目になって両手をぱたぱた振った。

(わたくし一人を巡って、どうしてこんな戦が……!?)


---

◆とどめ:両主の同時発言

 アーロンとレオンがミリアの両腕をそっと掴み、同時に言った。

「ミリア……うちに来てくれ」
「ミリア……戻ってきてくれ」

 ミリア、完全に固まる。

「ひゃっ……!!
 き……聞けませんわこんな同時に言われたら!!」


---

◆ミリア、ついに叫ぶ

「どちらかなんて……決められませんわぁぁぁ!!」

 その声は屋敷中に響き渡り、
 使用人たちも両主も思わず黙り込んだ。


---

◆静寂の中、ミリアの脳内にひらめく案

(どちらも好き……どちらにも恩がある……
 でもどちらの屋敷も私を必要としてる……
 なら……)

 ミリアの眉間にしわが寄り、
 胸に手を当て、深呼吸をした。

(……どちらも裏切らない方法……あるじゃありませんの)

 ミリアはゆっくりと顔を上げた。

「……あの……お二人に、提案がございますの」

 二人の主と、使用人一同が固唾を呑んで見守る。

(わたくし……これしかありませんわ……!)

 ミリアは思いきって胸を張った。

「わたくし……日替わりで両家にお仕えする、
 というのでは……いけませんでしょうか!!!」

 廊下に、沈黙。

 そして——

「………………それだ!!!」
「………………それしかない!!!!」

 二人の主の声がぴったり揃って響いた。

(ぴ、ピッタリ声が重なりましたわ!? 同じ方向に頭を下げましたわ!?)

使用人たちも歓声を上げた。

「ミリア様天才!!!」
「日替わり勤務!! 名無しの神案!!」
「これで争いなく平和に!!」

ミリアは力が抜けてその場に座り込む。

「もう……!
 みんな……勝手なんですから……!!」

しかしその頬は、
どこかほんのり嬉しそうに染まっていた。


---

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