日替わりメイド・ミリア 〜追い出されたけれど両家から引っ張りだこ! 最後に選ぶのは“恋”ですか?“居場所”ですか?〜

鍛高譚

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**第17話 後編『日替わり出勤制度、崩壊の危機』

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第17話(後編)

『日替わり出勤制度、崩壊の危機』**

「では本日より――アーロン殿下とミリア嬢は、両家で日替わり勤務を行うこととする!」

 長々しい会議の末に決まった結論を、側近長が誇らしげに読み上げた。

 ――が。

「……あの、アーロン様?」

 ミリアが横を見ると、

アーロンはすでに険しい顔で腕を組んでいた。

まるで“その制度、この場で即座に葬るつもりか”という表情である。

「ミリアが毎日別の場所に行く? それは……危険だ」

「えええっ!? 危険じゃありません! ただの掃除係です!」

「掃除用具は武器にもなる。つまり敵対勢力に狙われやすい」

「掃除係の武器精度の話になってますわ!?」

 

側近たちは、

「ま、また始まった……」「殿下の過保護期、継続中か……」

とヒソヒソしている。

 



結局その日は“お試し勤務”として、ミリアはアーロンの家へ。

アーロンは仕事に行き、ミリアは留守番しながら掃除をしていた。

 

――すると。

「…………」

ミリアはモップを握り、周囲に誰もいないことを確認すると。

クルッ、ひゅんっ、バサァッ!

モップをバトンのようにくるりと回し、最後にビシッとポーズを決めた。

「たまに練習しませんと、鈍りますからね!」

今日も絶好調である。

 

さらに。

「ら~らら~♪ 今日も床はピカピカ~♪」

モップをマイクにし、鼻歌交じりに歌っていた。

完全に“ただの掃除の人”の領域を超えている。

 

しかしそのとき――

ガチャッ

ドアが開いた。

「ミリア、戻った――」

「!?!?」

ミリア、即座にモップを背中に隠す。

が、隠しきれていない。柄が思い切り見えている。

 

アーロンは一瞬固まり――

「……ミリア。今、歌ってた?」

「う、歌ってません! 歌ってなんて歌ってません! モップを回してなんていません!」

「いや、言ってないけど……全部自白したな?」

「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

アーロンはくすりと笑い、ミリアの頭を軽く撫でた。

「楽しそうで、よかった」

「あの……恥ずかしいので忘れてください」

「忘れられるか。かわいすぎて」

「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ミリアの顔は真っ赤に。



その夜。

「明日は俺の家で働くのは禁止だ」

アーロンが真剣な顔で言った。

「え? なんでですか?」

「……俺が、仕事に集中できない」

「えっ?」

「ミリアのことを思い出してニヤけてしまう。側近に怪しまれる」

「はああああああああ!!?」

「だから明日はミリアの家で働く。交互に、じゃなくて、ずっと俺が付く形で」

「制度、大崩壊してません!?」

 



翌日――。

ミリアの家にて。

「アーロン様!? なんで掃除の手伝いを!?」

「……慣れたほうがいいと思って。ミリアと同じ仕事をすれば、護衛の効率も上がる」

そう言いながらアーロンは、ぎこちなくモップを持っていた。

だが。

「アーロン様……モップ、逆さです……」

「…………」

「そ、それは乾拭き用でして……! 水浸しの床に使うと危険でして……!」

「…………」

「うわああああああん!! そんな顔しないでください!!」

 
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