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しおりを挟む「お久しぶりでございます。ベルトラ家長女、ディアナが王太子殿下にご挨拶申し上げます」
「……………久しぶりだな」
踏み入れた部屋の先にはソファに座って紅茶を飲んでいたであろう王太子もとい、レスターさん(様の方がいいんだろうけど腹立たしいのでさん付けだ)
私の姿を見て固まっている
(「会うのは何年振り?」)
『それこそ8年ぶりとかじゃないかしら?』
固まったまま動かないレスターさんの許可がないとソファにも座れない私は立ったままアルカイクスマイルを浮かべてレスターさんを見つめる
「はっ、あ、座るが良い」
「ありがとうございます」
ようやく動いたレスターさんの言葉を聞き、ゆっくりとソファに腰を下ろした
まるで幽霊でも見たかのように瞳を開いているレスターさん
「その、なんだ?」
「永らく拝謁できず、申し訳ございませんでした。それと、随分と妹がお世話になっていたようで」
そう言いながらニコリと笑うレスターさんはキョトンとした後、思い出したのか顔をサッと青くした
「王妃教育以外も教えて頂いていたなんて、私驚きましたわ」
「な、なぜそれを…」
「おかしなことをおっしゃいますのね。私は貴方の婚約者ですよ?」
表情を変えずニコニコと笑顔を浮かべながら淡々と話す私とは対象にどんどんと顔を青くさせていくレスターさんは王太子のはずなのにオドオドしている
(「婚約者の妹と浮気してたようなものだものね」)
言葉には出さないが心の中でそう唱える
なぜ私がレスターさんと妹さんの浮気を知っているのか、答えは簡単だ
まず持って姉の代わりに王太子に会いに行っていたという事実。そして王宮に向かうと必ず3~4日は帰ってこない妹さん
黒でしょ
そう思った私はディアナに頼んで王宮の、王太子の部屋に行ってもらった
もちろん妹さんがそこにいるだろうと仮定して
結果は真っ黒
裸で抱き合う2人を見てきたディアナは顔を真っ青にしてふらふらと帰ってきた
そういうのに免疫のないディアナには衝撃的だったらしい
もちろん確たる証拠はない
だが人間とは慣れていると粗が出やすい
(「ディアナ。作戦通りお願い」)
『ええ!』
スゥと執務室の内扉の奥に消えていくディアナ
内扉の向こうは王太子の寝室だ
きっとそこに証拠はごまんとあるだろう
「妹は現在謹慎しております」
「謹慎…?なぜだ!」
「…結婚前に身を汚したのですから当然では?」
何をおかしなことを、という態度を見せるとグッと押し黙るレスター(さん付けもめんどい)
なぜ彼がここまで焦っているのか、その理由は彼と妹さんが起こした行動はこの国の宗教、そして規律に反しているからだ
この国は一夫一妻で不貞や浮気行為は禁忌とされている
もちろん人間の欲は尽きない
バレなきゃ問題ないということで不貞や浮気をしている人たちは結構多い
だかそれはあくまでも貴族や平民の話だ
この国の権力者で象徴でもある王族はそこら辺がとてつもなく厳しい
だからこそレスターと妹さんがそんな関係だった、というのがバレた暁には
(「廃嫡は免れないわね」)
たったそれだけで?と思うかもしれないが、王族とはそういうものだそうだ
国のトップに立つならば模範的にならなければならない
それを破ったものの末路は中々にすごいらしい
「…お前こそ今更なんなんだ。8年も顔を出さずに実の妹に王妃教育を手伝ってもらっていた癖に」
ぎろりと睨みつけてくるレスターの視線を真正面に受けて、私は手に持っていた扇子をパンっと開き口元を隠しながら目だけをレスターに向けた
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