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第二話 彼がなにを大切だったとしても
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不意に、警察署から引き揚げた彼の荷物に目が留まる。
彼の財布。
いろんなお店のポイントカードが入れられていた。
見たこともないお店の名前。
私はそのままスマホで検索をする。
「アニメのお店?」
彼にそんな趣味があったのは初耳だった。
家ではゲームやアニメを見ることなんてほどんどなかったのに。
本を予約したレシートも、大切に折りたたまれてしまってあった。
「こんなのが大切だったの?」
財布の中には私を思ういつもの彼は、どこにもいない。
買ってきてくれるお菓子屋のポイントカードとか、写真とか。
「私はちゃんとあなたの写真入れてあるのに」
これが男女間の違いかな。
私は彼の財布をポイっと投げ捨てた。
私の存在のないモノなど、必要はなかった。
「そうだ、スマホ」
ちゃんと指紋解除したスマホは、いつでも使えるように充電してある。
忙しさと彼のいなくなった虚無感から、確認するのを忘れてしまっていた。
まずはスマホの着歴。そして電話帳。
彼と付き合って結婚する際に、女友だちの連絡先は全部消してもらった。
だって嫌だった。
モテる彼を見ていないうちに誰かに盗られてしまいそうだったから。
彼のスマホを見ない約束と引き換えに、私がお願いしたことだ。
「さすがに女の子はいないねー。でも、男の名前に変えてる場合もあるし……」
信頼していないわけではない。ただ不安なだけ。
履歴は特に気になることもなく、私はスマホの写真を眺める。
二人で写した数々の写真。
「待ち受けとかには恥ずかしがって、絶対にしてくれなかったよなぁ」
こんなにラブラブだったのに、なにが恥ずかしいというのだろうか。
私にはまったく理解できない感情だ。
「んんん? あれ、このフォルダーはなに?」
私と写る写真とは別に、わざわざ無題で写真のフォルダーが作られている。
クリックして開けば、そこにはたくさんの女の子のキャラ画像。
「あれ、この子さっきも見た」
彼が予約した本のキャラだ。
今流行りのラノベで、コミカライズ作品とネットには書かれていたっけ。
「なにこの子……」
その愛らしく、可愛い女の子の画像が何枚も収納されていた。
彼が生きてる時だったら、気にならなかったと思う。
でも死んでしまった今だからこそ、なぜか余計に許せない。
「この本、どんな本なの?」
彼のスマホからも、レシートと同じ本が電子版で購入されていた。
ただの二次元。頭では理解している。
でも私よりも、彼を独占するこの子。
「なんなのよ、私の方がずっとずっと好きなのに」
怒りにまかせて、その書籍を読む。
よくある転生モノのお話で、トラック事故に巻き込まれた主人公が異世界にて無双する。
その後、この子を含む女の子とハーレム状態になるというもの。
最近の流行りといえば、流行りなのだろう。
そしてトラック事故に巻き込まれて亡くなった彼。
「ねぇあなた……もしかしてあなたは……」
これも浮気ではないだろうか。
彼女のいる異世界へ旅立ってしまったのかもしれない彼。
私はずっと愛してる。
いや、愛してたのに。
こんな風に最後に裏切られるなんて。
「私から逃げたくてそっちへ行ってしまったの? 私のコトそんなに好きじゃなかったの?」
彼のスマホを持ったまま、私は立ち上がった。
そしてそのまま、フラフラと部屋を出る。
「……そうね、よくあるトラックの事故……。でもね……私は絶対にあなたを手放したりなんかしない。異世界? そんなトコに逃げたって、絶対にあきらめないから……」
逃げたのならば、追いかければいい。
推し? そんなものは知らない。
だって、私が一番あなたを愛しているのだから……。
彼の財布。
いろんなお店のポイントカードが入れられていた。
見たこともないお店の名前。
私はそのままスマホで検索をする。
「アニメのお店?」
彼にそんな趣味があったのは初耳だった。
家ではゲームやアニメを見ることなんてほどんどなかったのに。
本を予約したレシートも、大切に折りたたまれてしまってあった。
「こんなのが大切だったの?」
財布の中には私を思ういつもの彼は、どこにもいない。
買ってきてくれるお菓子屋のポイントカードとか、写真とか。
「私はちゃんとあなたの写真入れてあるのに」
これが男女間の違いかな。
私は彼の財布をポイっと投げ捨てた。
私の存在のないモノなど、必要はなかった。
「そうだ、スマホ」
ちゃんと指紋解除したスマホは、いつでも使えるように充電してある。
忙しさと彼のいなくなった虚無感から、確認するのを忘れてしまっていた。
まずはスマホの着歴。そして電話帳。
彼と付き合って結婚する際に、女友だちの連絡先は全部消してもらった。
だって嫌だった。
モテる彼を見ていないうちに誰かに盗られてしまいそうだったから。
彼のスマホを見ない約束と引き換えに、私がお願いしたことだ。
「さすがに女の子はいないねー。でも、男の名前に変えてる場合もあるし……」
信頼していないわけではない。ただ不安なだけ。
履歴は特に気になることもなく、私はスマホの写真を眺める。
二人で写した数々の写真。
「待ち受けとかには恥ずかしがって、絶対にしてくれなかったよなぁ」
こんなにラブラブだったのに、なにが恥ずかしいというのだろうか。
私にはまったく理解できない感情だ。
「んんん? あれ、このフォルダーはなに?」
私と写る写真とは別に、わざわざ無題で写真のフォルダーが作られている。
クリックして開けば、そこにはたくさんの女の子のキャラ画像。
「あれ、この子さっきも見た」
彼が予約した本のキャラだ。
今流行りのラノベで、コミカライズ作品とネットには書かれていたっけ。
「なにこの子……」
その愛らしく、可愛い女の子の画像が何枚も収納されていた。
彼が生きてる時だったら、気にならなかったと思う。
でも死んでしまった今だからこそ、なぜか余計に許せない。
「この本、どんな本なの?」
彼のスマホからも、レシートと同じ本が電子版で購入されていた。
ただの二次元。頭では理解している。
でも私よりも、彼を独占するこの子。
「なんなのよ、私の方がずっとずっと好きなのに」
怒りにまかせて、その書籍を読む。
よくある転生モノのお話で、トラック事故に巻き込まれた主人公が異世界にて無双する。
その後、この子を含む女の子とハーレム状態になるというもの。
最近の流行りといえば、流行りなのだろう。
そしてトラック事故に巻き込まれて亡くなった彼。
「ねぇあなた……もしかしてあなたは……」
これも浮気ではないだろうか。
彼女のいる異世界へ旅立ってしまったのかもしれない彼。
私はずっと愛してる。
いや、愛してたのに。
こんな風に最後に裏切られるなんて。
「私から逃げたくてそっちへ行ってしまったの? 私のコトそんなに好きじゃなかったの?」
彼のスマホを持ったまま、私は立ち上がった。
そしてそのまま、フラフラと部屋を出る。
「……そうね、よくあるトラックの事故……。でもね……私は絶対にあなたを手放したりなんかしない。異世界? そんなトコに逃げたって、絶対にあきらめないから……」
逃げたのならば、追いかければいい。
推し? そんなものは知らない。
だって、私が一番あなたを愛しているのだから……。
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