【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉日和。(旧美杉。)

文字の大きさ
18 / 52

018

しおりを挟む
 翌日の昼下がり、私はげだるい体を起こした。

 ああ、体が重い。

 ルドは朝早く私の額にキスを一つ落とし、夕方には戻るからお利口さんにしているようにと出かけていった。

 昨日はあのままルドが気づいて起きるまで、二人で寝てしまっていたせいで、体がバキバキするわね。

 あの体制はさすがにダメ過ぎたわ。

 抱きかかえられベッドの入れられたら、すっかりこんな時間まで寝てしまったし。


「お嬢様、おはようございます」

「おはよう、サラ。ごめんね、起きるのがだいぶ遅くなってしまって」


 きっと朝ご飯の用意もあっただろうに、サラには申し訳ないことをしちゃった。

 昨日の件で少し気が抜けたのか、それとも疲れていたのか。

 どうしても起きれなかったのよね。


「いえいえ。そんなお気遣い申し訳ございません。それよりも、お体は大丈夫ですか、お嬢様」

「うん。よく寝たから大丈夫よ~。全然、もう元気」

「では、まず湯あみをされますか?」


 湯あみ……お風呂ってことよね。

 別に朝風呂派ではないから、夕方でいいんだけどなぁ。

 あ、でも昨日は朝入ったからってことかな。


「んー、私は別に今でも夕方でもいいけど、先に入ってしまったほうがいい感じ?」

「えっと。お体は……その、気持ち悪くはないですか?」

「あー、昨日朝お風呂に入ったからってこと? 確かに24時間経ってるから、入らないとばっちいかなぁ」

「え、あ、んっと?」

「?」


 かみ合わない二人の会話。なんだろう。

 私とサラの言いたいことがすごくズレてる気がするのは。

 サラは汚いから私に入れって言ってる風じゃないのよね。

 でも、だとしたらなんだろう。


「あの……その……」

「うん」

「殿下より、お嬢様をだいぶ無理させてしまったとお聞きしたので。その……」

「ルドが、私を無理させたって?」

「はい、そうです。そのようにお出かけになられる際に、殿下よりお聞きいたしております」


 ルドからサラは言付けを預かっていたってことなのね。

 だから私のことをこんな時間まで起こしにくることはなかった。

 でも無理させたっていうのはどういうことかしら。

 あ、膝枕のことかな。

 確かに変な体制で、しかもルドの頭を乗せたまま寝ちゃったから体はバキバキで痛いけど。

 ただサラの言っているそれとは違う気がするのよね。


「私に無理をさせたって、ルドはどれのこと言ってるんだろう」

「ですので、えっと殿下のおっしゃっていたのは……ねやでの房事ぼうじのことではないのですか?」

「え……」


 閨……房事? 前世では私には無縁の言葉たちだった。

 え。でも、え。

 もしかしてサラはさっきから、そういうことを言っていたってこと!?

 ああ、でもそうね。普通で考えたらおかしくはない状況なんだ。

 一応、婚約者となる同士であり、ルドは私を溺愛している。

 そんな二人が同じ部屋にずっといるんだもの。

 そういうことがおこらない方が、普通はおかしいのかもしえない。

 でも、でもよ。

 これでも元アラサーの喪女には、そういうことは疎いんだもん。

 急に言われても分からないし、急じゃなくてもきっと分からないんだろうなぁ。

 ダメ過ぎるじゃないの、私。

 あー、さすがに自分で言って、悲しくなってきたわ。


「全然、全然違うの! そうじゃないのーーーー。んとね、んと、昨日はルドを膝枕してたら二人でそのままソファーで寝てしまったの」

「ソファーで、膝枕……ですか」

「そう、そうなの、膝枕なの。だから体がバキバキっていうかちょっと変な感じなだけで。だ、だからそんな変な意味じゃなくて、変なコト言わせちゃってごめんね」

「いえ、わたしこそなんか……すみませんお嬢様」

「サラのせいじゃないから。そうじゃないから」


 言ってるそばから、私も支離滅裂だわ。

 顔もきっと赤いと思う。

 ああ、サラにも変に気を遣わせちゃったし。

 私のが年上なのにぃ。

 もっと早く気づけば、サラの口からこんなコト言わせなくても済んだのに。

 うーーーー。

 これも全部ルド様の言い方が悪いのよ。

 もぅ。確かに無理させたかもしれないけど、言い方!


「もぅ、ルドの馬鹿……。お風呂入ろうかな……」

「あ、はい。すぐご用意しますねお嬢様」

「うん。ありがとぅ」


 穴があったら入りたいっていうのは、まさにこのことね。

 恥ずかしさを隠すため、私はそのまま湯あみをすることにした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

【完結】元悪役令嬢は、最推しの旦那様と離縁したい

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
「アルフレッド様、離縁してください!!」  この言葉を婚約者の時から、優に100回は超えて伝えてきた。  けれど、今日も受け入れてもらえることはない。  私の夫であるアルフレッド様は、前世から大好きな私の最推しだ。 推しの幸せが私の幸せ。  本当なら私が幸せにしたかった。  けれど、残念ながら悪役令嬢だった私では、アルフレッド様を幸せにできない。  既に乙女ゲームのエンディングを迎えてしまったけれど、現実はその先も続いていて、ヒロインちゃんがまだ結婚をしていない今なら、十二分に割り込むチャンスがあるはずだ。  アルフレッド様がその気にさえなれば、逆転以外あり得ない。  その時のためにも、私と離縁する必要がある。  アルフレッド様の幸せのために、絶対に離縁してみせるんだから!!  推しである夫が大好きすぎる元悪役令嬢のカタリナと、妻を愛しているのにまったく伝わっていないアルフレッドのラブコメです。 全4話+番外編が1話となっております。 ※苦手な方は、ブラウザバックを推奨しております。

婚約破棄を望む伯爵令嬢と逃がしたくない宰相閣下との攻防戦~最短で破棄したいので、悪役令嬢乗っ取ります~

甘寧
恋愛
この世界が前世で読んだ事のある小説『恋の花紡』だと気付いたリリー・エーヴェルト。 その瞬間から婚約破棄を望んでいるが、宰相を務める美麗秀麗な婚約者ルーファス・クライナートはそれを受け入れてくれない。 そんな折、気がついた。 「悪役令嬢になればいいじゃない?」 悪役令嬢になれば断罪は必然だが、幸運な事に原作では処刑されない事になってる。 貴族社会に思い残すことも無いし、断罪後は僻地でのんびり暮らすのもよかろう。 よしっ、悪役令嬢乗っ取ろう。 これで万事解決。 ……て思ってたのに、あれ?何で貴方が断罪されてるの? ※全12話で完結です。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

幽霊じゃありません!足だってありますから‼

かな
恋愛
私はトバルズ国の公爵令嬢アーリス・イソラ。8歳の時に木の根に引っかかって頭をぶつけたことにより、前世に流行った乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったことに気づいた。だが、婚約破棄しても国外追放か修道院行きという緩い断罪だった為、自立する為のスキルを学びつつ、国外追放後のスローライフを夢見ていた。 断罪イベントを終えた数日後、目覚めたら幽霊と騒がれてしまい困惑することに…。えっ?私、生きてますけど ※ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください(*・ω・)*_ _)ペコリ ※遅筆なので、ゆっくり更新になるかもしれません。

悪役令嬢はSランク冒険者の弟子になりヒロインから逃げ切りたい

恋愛
王太子の婚約者として、常に控えめに振る舞ってきたロッテルマリア。 尽くしていたにも関わらず、悪役令嬢として婚約者破棄、国外追放の憂き目に合う。 でも、実は転生者であるロッテルマリアはチートな魔法を武器に、ギルドに登録して旅に出掛けた。 新米冒険者として日々奮闘中。 のんびり冒険をしていたいのに、ヒロインは私を逃がしてくれない。 自身の目的のためにロッテルマリアを狙ってくる。 王太子はあげるから、私をほっといて~ (旧)悪役令嬢は年下Sランク冒険者の弟子になるを手直ししました。 26話で完結 後日談も書いてます。

気配消し令嬢の失敗

かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。 15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。 ※王子は曾祖母コンです。 ※ユリアは悪役令嬢ではありません。 ※タグを少し修正しました。 初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

処理中です...