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007 元夫とそういうことは無理です
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ん-。
だいたい私が王妃になって、あいつに何のメリットがある?
ただお飾りにしておくったって、私の性格を知っているわけだし。
口うるさくなることも分かってるわよね。
それに同じ城に住むわけだし。
そうしたらいくら形だけの夫婦だって、閨もあるわけでしょう。
うわ。想像しただけでキモイ。
無理無理無理無理。
絶対に無理でしょう。
今更すぎるわ。
「でも……ヒューズ殿下はアマリリス様を王妃様にして、他の女を側妃になさるおつもりなのかしら」
「側妃!」
「な、何を言い出すのよ。アマリリス様の前で」
「いいのよ。そうね。きっとそうだわ……」
侍女の言う通りよ。
私を王妃にして仕事を押し付け、自分は側妃と遊んで暮らす気だったんだわ。
そう、前みたいに。
前回の時にそれで味をしめたから、私に記憶がないことをいいことに王妃候補としてこの王宮へ引き込んだ。
そして記憶が戻らなくてもどうでもいいから、王妃にしてしまおうと思ったのね。
もし仮に私の記憶が戻ったとしても、身分はあいつのほうがかなり上。
私はいくら拒否しても、引き込んでしまったらどうとでもなっていたはずよ。
今記憶が戻って良かったわ。
だってまだ手が打てるもの。
冗談じゃない。
前世だけじゃなくて今回までもあいつに人生を食いつぶされるなんて、なるものですか。
「私……このまま殿下の婚約者でいるなんて無理だわ。お慕いしていたのに……耐え切れない」
「そうですよね。アマリリス様は今までずっと、殿下のためだけに生きてきたんですものね」
「ええ。それなのにすでに他の女がいるだなんて、悲しすぎますわ」
「可哀想なアマリリス様。でも、皆が協力しますからきっと大丈夫です」
「ありがとう、みんな」
やっぱり一番は動かぬ証拠が必要ね。
しかも言い逃れ出来ないような状況に追い込んで追い打ちをかければ、いくら身分が高いとはいえどうしようもないでしょう。
その上で陛下に婚約はなかったことにしてもらえば、晴れて自由の身よ。
「他にも協力して下さる方を探さないと……」
「ああ、会場で一緒にいらっしゃった、オルド公爵様などはいかがですか?」
「ちょっと、なんて方をアマリリス様に勧めるのよ。あの方は恐ろしい方なんじゃないの?」
「でも使用人たちにはとても優しいって、みんなも知ってるじゃない」
「それはそうだけど。貴族の方たちの中では、あの髪が……」
侍女たちが口を揃えるように優しいというあの公爵様は、おそらく本当に優しいのだろう。
下の者に慕われるということは、そういうことだと私はおもう。
それにあの国生まれだった私には、黒髪とか別に気にならないし。
むしろそんなことで差別している人たちの方が私は嫌いだ。
「そうね。オルド公爵様には会場でとても優しくして下さったわ。あの方ならば、力を貸して下さるかもしれないわね」
私は言い損ねた昨日のお礼と共に、協力して欲しい旨の手紙をしたためる。
そして急ぎで公爵邸へと届けてもらえば、その返事はすぐに私の元に届いた。
だいたい私が王妃になって、あいつに何のメリットがある?
ただお飾りにしておくったって、私の性格を知っているわけだし。
口うるさくなることも分かってるわよね。
それに同じ城に住むわけだし。
そうしたらいくら形だけの夫婦だって、閨もあるわけでしょう。
うわ。想像しただけでキモイ。
無理無理無理無理。
絶対に無理でしょう。
今更すぎるわ。
「でも……ヒューズ殿下はアマリリス様を王妃様にして、他の女を側妃になさるおつもりなのかしら」
「側妃!」
「な、何を言い出すのよ。アマリリス様の前で」
「いいのよ。そうね。きっとそうだわ……」
侍女の言う通りよ。
私を王妃にして仕事を押し付け、自分は側妃と遊んで暮らす気だったんだわ。
そう、前みたいに。
前回の時にそれで味をしめたから、私に記憶がないことをいいことに王妃候補としてこの王宮へ引き込んだ。
そして記憶が戻らなくてもどうでもいいから、王妃にしてしまおうと思ったのね。
もし仮に私の記憶が戻ったとしても、身分はあいつのほうがかなり上。
私はいくら拒否しても、引き込んでしまったらどうとでもなっていたはずよ。
今記憶が戻って良かったわ。
だってまだ手が打てるもの。
冗談じゃない。
前世だけじゃなくて今回までもあいつに人生を食いつぶされるなんて、なるものですか。
「私……このまま殿下の婚約者でいるなんて無理だわ。お慕いしていたのに……耐え切れない」
「そうですよね。アマリリス様は今までずっと、殿下のためだけに生きてきたんですものね」
「ええ。それなのにすでに他の女がいるだなんて、悲しすぎますわ」
「可哀想なアマリリス様。でも、皆が協力しますからきっと大丈夫です」
「ありがとう、みんな」
やっぱり一番は動かぬ証拠が必要ね。
しかも言い逃れ出来ないような状況に追い込んで追い打ちをかければ、いくら身分が高いとはいえどうしようもないでしょう。
その上で陛下に婚約はなかったことにしてもらえば、晴れて自由の身よ。
「他にも協力して下さる方を探さないと……」
「ああ、会場で一緒にいらっしゃった、オルド公爵様などはいかがですか?」
「ちょっと、なんて方をアマリリス様に勧めるのよ。あの方は恐ろしい方なんじゃないの?」
「でも使用人たちにはとても優しいって、みんなも知ってるじゃない」
「それはそうだけど。貴族の方たちの中では、あの髪が……」
侍女たちが口を揃えるように優しいというあの公爵様は、おそらく本当に優しいのだろう。
下の者に慕われるということは、そういうことだと私はおもう。
それにあの国生まれだった私には、黒髪とか別に気にならないし。
むしろそんなことで差別している人たちの方が私は嫌いだ。
「そうね。オルド公爵様には会場でとても優しくして下さったわ。あの方ならば、力を貸して下さるかもしれないわね」
私は言い損ねた昨日のお礼と共に、協力して欲しい旨の手紙をしたためる。
そして急ぎで公爵邸へと届けてもらえば、その返事はすぐに私の元に届いた。
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