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011 約束は慎重に
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この世界の人間も見る目がないわね。
人生二回目じゃなかったら、とっくに私だって恋に落ちてたわ。
それくらいこの人の笑顔は、カッコイイ。
しかもスマートな優しさも素敵だし。
「まったく殿下も見る目がなさすぎだな。君のような女性といられたら、退屈などしないだろうに」
「どうですかね……。あの方は下半身だけで生きているようですし。お一人では満足出来ないのではないかしら」
「ああ……それは言えてるな」
「次の国王があの方になるなど、悪夢でしかないですわね」
稀代の好色王とか言われちゃうんじゃないかしら。
ああ、この国の恥でしかないわね。
やだやだ。
この件が片付いたら国外とかに行けないかなぁ。
どうせ殿下の元婚約者として、嫁ぎ先もなさそうだし。
せっかく異世界に来たのだから、自由にこの世界の散策してもみたい。
魔法とか使えたら最高なんだけど、そういう才能はなさそうなのよね。
「さすがに、この度のことは陛下にも考えてもらわねばならないと思っている」
「だとすれば、ありがたいです。協力してはいただけないでしょうか?」
「手紙にも書いてあったな」
「はい。どうしてもこの婚約を白紙にして、なおかつあの方にはご自身の素行を認め、直していただきたいのです。もちろん、この国のためにも」
「手はあるのか?」
「……そうですね。現場を押さえるのが一番なのですが、私一人がおさえて騒いだところで、弱いと思うのです」
あいつのことだもの。
もみ消すに決まってるわ。
だからそうはさせないためにも、この方の力が必要なのよ。
しっかりとした高い身分を持った男性が、ね。
「そうだな……んー。たとえば、だ。それに協力するとして俺に何か利はあるのかい?」
「あー。確かにそうですねぇ」
そこまでは考えてなかったわ。
だけどそうよね。
まさか公爵という立場の人にタダで協力しろというのも、虫が良すぎるわよね。
でもお金というほど、私は何も持ってはいないし。
差し上げれるモノがないのよね。
「……では、何か一つお願いごとを聞くというのはどうでしょうか?」
「お願いごと?」
「そうです。公爵様ほどのお方ならば、お金などは必要ないでしょう? ですから、私が出来る何かを公爵様に決めていただきたいのです」
「それは何でもいいのか?」
「……ええ」
この方なら、あんまり無理難題は言わなさそうだし。
背に腹はかえられぬからね。
ここは仕方ないわ。
「そうか……それはいいな。では、その願いごとは考えておくとしよう」
「それならば交渉成立ということで良いですね、公爵様」
「ああ、構わない。そしてこれからはクロードと呼んでくれ、アマリリス嬢」
「はい。クロード様」
私はソファーから立ち上がり、クロードと握手をした。
その手は大きく、そして温かく、安心出来るものだった。
人生二回目じゃなかったら、とっくに私だって恋に落ちてたわ。
それくらいこの人の笑顔は、カッコイイ。
しかもスマートな優しさも素敵だし。
「まったく殿下も見る目がなさすぎだな。君のような女性といられたら、退屈などしないだろうに」
「どうですかね……。あの方は下半身だけで生きているようですし。お一人では満足出来ないのではないかしら」
「ああ……それは言えてるな」
「次の国王があの方になるなど、悪夢でしかないですわね」
稀代の好色王とか言われちゃうんじゃないかしら。
ああ、この国の恥でしかないわね。
やだやだ。
この件が片付いたら国外とかに行けないかなぁ。
どうせ殿下の元婚約者として、嫁ぎ先もなさそうだし。
せっかく異世界に来たのだから、自由にこの世界の散策してもみたい。
魔法とか使えたら最高なんだけど、そういう才能はなさそうなのよね。
「さすがに、この度のことは陛下にも考えてもらわねばならないと思っている」
「だとすれば、ありがたいです。協力してはいただけないでしょうか?」
「手紙にも書いてあったな」
「はい。どうしてもこの婚約を白紙にして、なおかつあの方にはご自身の素行を認め、直していただきたいのです。もちろん、この国のためにも」
「手はあるのか?」
「……そうですね。現場を押さえるのが一番なのですが、私一人がおさえて騒いだところで、弱いと思うのです」
あいつのことだもの。
もみ消すに決まってるわ。
だからそうはさせないためにも、この方の力が必要なのよ。
しっかりとした高い身分を持った男性が、ね。
「そうだな……んー。たとえば、だ。それに協力するとして俺に何か利はあるのかい?」
「あー。確かにそうですねぇ」
そこまでは考えてなかったわ。
だけどそうよね。
まさか公爵という立場の人にタダで協力しろというのも、虫が良すぎるわよね。
でもお金というほど、私は何も持ってはいないし。
差し上げれるモノがないのよね。
「……では、何か一つお願いごとを聞くというのはどうでしょうか?」
「お願いごと?」
「そうです。公爵様ほどのお方ならば、お金などは必要ないでしょう? ですから、私が出来る何かを公爵様に決めていただきたいのです」
「それは何でもいいのか?」
「……ええ」
この方なら、あんまり無理難題は言わなさそうだし。
背に腹はかえられぬからね。
ここは仕方ないわ。
「そうか……それはいいな。では、その願いごとは考えておくとしよう」
「それならば交渉成立ということで良いですね、公爵様」
「ああ、構わない。そしてこれからはクロードと呼んでくれ、アマリリス嬢」
「はい。クロード様」
私はソファーから立ち上がり、クロードと握手をした。
その手は大きく、そして温かく、安心出来るものだった。
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