スラムの悪ガキが異世界転生ソロ冒険者の物を盗んだら一緒に旅をすることに!?

和吉

文字の大きさ
2 / 192

変な冒険者

しおりを挟む
思いもよらず金を手に入れた俺は次の日ハゲの店に来ていた。今日もハゲはいつも通り眩しく輝きながら、大声を上げながら果物を売っていたが俺を見た瞬間嫌そうな顔になる。あからさま過ぎるだろと思いながら、ハゲの元へ行くとさっきまで笑顔は何処行ったのか睨みながら

「また盗みに来やがったのか」
「ちげーよ」
「じゃあ、何だ」
「金渡しに来たんだよ!」
「ま~た何処かで盗みやがったのかそのうち捕まるぞ」
「俺は捕まらないっつーの」
「おうおう、言っとけ。もし捕まったとしても助けてやらんからな」
「別に期待してない」

 俺は昨日貰った袋から何枚か掴んでハゲの所に置くと仏頂面で

「これで足りるか?」
「多いぞ」
「他の奴らの分」
「はぁ、全く・・・・」
「なんだよ」

 俺は計算とか出来ねーから、リンゴがいくらかも知らねーけどこれで足りるなら良かった。

「い~や別に何でも」
「じゃあな」
「待て、残り物だ持ってけ」

 そう言ってハゲは店の奥に引っ込むと少し傷がついている果物が入ってる袋をくれた。

「金ないぞ」
「やるっつっただろ、ほらさっさとどっか行け。お前が居ると客が来ねーだろ」
「ん」

 俺は果物が入った袋を受け取ると人目を避けるために足早に路地へと入った。ハゲの店は果物が沢山あって客も結構いるらしい。店が大きいから盗みやすいんだが、俺達が盗んでいるって分かっていながらもハゲは衛兵に突き出すことをしない。ただ口煩いだけだ。だから、俺達は食べ物に困ったときはハゲの店で盗みをする。だけど、盗むだけじゃ駄目だって分かってるから金が入った時は少しでも金を渡すようにしているのだ。ハゲのおかげで飢え死にしなくて済んでいるのだから当然だ。他にも俺達に飯を分けてくれる店があるから金があるうちに回らないとな。

「今日は残り物は無いぞ」
「今日は金を渡しに来たんだよ」
「派手にやると捕まるぞ」
「捕まる程鈍くねぇ」

 どいつもこいつも同じことを言いやがって、俺が捕まるようなヘマをするかっつうの。まぁ、昨日のやつは危なかったがあんなの反則だ!弱そうなのに、あんなに強いとは思わないだろ。いつもはあんなヘマしないんだぞ!
 同じことを言われながらも飯を貰ってる店を周り終えると、俺は路地の隅にある地下への入口へと入った。この街は水を流す用の道が町中を巡っていて、知らない奴が入ったら迷子になるが知っている者にとっては絶好の隠れ家だ。真っ暗な道を迷うことなく進むと、奥にぼんやりと光が見えた。

「おーい、俺だ」
「何の用だ」
「飯貰ったからやるよ」
「・・・・・」
「じゃあな」

 ここはスラムのガキどもが隠れている場所なのだ。自分で飯を取れないガキとか体が弱い奴らはこうやって集まって、盗めるやつらが飯をやってるのだ。こういうグループがこの街にはいくつもあるが俺は何処にも入ってない。だが、店の奴らの話を盗み聞いた感じだとこのグループのやつが昨日捕まったらしい。何の義理も無いが、この世界は助け合いだ。暫くの間は飯を確保できないだろうから、こうやって偶に持ってきてやってるのだ。

「俺達のグループに入らないか?」
「ごめん無理、じゃあな」

 飯を届ける度にどのグループでもよく誘われるが、俺にはグループで行動なんて無理だ。いつも自分の事で精一杯だし、他の奴らの面倒なんて見れない。もし、飯を確保できなかったら?もし、捕まったら?そう思うと一緒になんて居られない。面倒見てる奴らは凄いと思う。だから、俺は面倒が見れない代わりに出来る事をしているだけだ。

「さて、貰った金結構減っちまったな・・・・」

 あんなに袋に入ってた銀貨は今では寂しいくらいだ。だけど、これから生き抜くには必要な事だし、仕方が無いと溜息を付きながらいつも通り大通りで獲物を待つことにした。

「良い獲物居ないかな~」
「まるで、狩人だな」
「!?」

 路地に身を隠しながら大通りを見ているといきなり後ろから声がして振り返ると昨日の変な奴が何食わぬ顔で立っていた。

「なんのようだ!昨日の金なら無いぞ!」
「違うって、害をなそうなんて思ってないからそんな警戒すんなって」
「・・・・」

 いくら大通りを見ているからって周りを警戒して無い訳じゃない。なのにこいつは全く気配を感じさせなかった。こんなやつ、強い冒険者ぐらいしか居ねぇ。どうしよう、目を付けられたか。

「いや~お前のこと気になってさ色々聞いて周ったんだが、お前かなりの評判だな」
「何のことだ」
「お前街の中で有名だぞ。盗んだ物が貴重品だった場合は盗った相手に気付かれずに返し、僅かなものだけ盗んでいく。派手な盗みはせずに、細々と目を付けられないようにやってるんだってな。しかも食べ物を盗みはするが、纏まった金が出来ると必ず返しに来て他のやつが盗んだ分まで返してるっていうじゃねーか」
「・・・・・」

 こいつ、昨日この街に来たばっかのはずなのになんでこんなに俺のこと知ってるんだ!?何時も目立たないようにしているのに!

「盗人にしては珍しい事してるよな」
「俺を捕まえに来たのか?」
「いや?衛兵は変な盗人が居るって事は知ってるみたいだが、お前だってことは知らないみたいだし上手くやってるみたいだな」

 もしかして、依頼で俺を捕まえに来たのかと思ったけどそうじゃないみたい。じゃあこいつの目的はなんだ?

「何が目的だ、俺を売る気か?」

 俺達を売るために狙う奴だっている。もしかして、そっちの類か?

「んなことしねーよ。子供を売るなんて鬼畜の所業だ。もし見かけたら切ってやる」
「っ」

 人攫いの連中の話をしているこいつはさっきまでとは全く違う殺気に満ちた目をしていた。思わず後退ってしまうと、こいつはすぐに殺気を収め笑いながら

「悪い悪い」
「人攫いじゃないなら何が目的なんだ」
「いや、お前に興味が有ってな」
「・・・・」
「お前が色々やるようになってから子供達が大人しくなったらしいじゃないか。一体そのやり方を何処で学んだ?」
「それを言って俺に何の得があるんだよ」

 いくらこいつが強いと言ったって、人が溢れている大通りに紛れ込んで逃げればすぐには追いつけないはずだ。もし、ヤバい奴だったらすぐにでも他の奴らに知らせておいた方が良いだろう。俺は何時でも逃げれるようにしながらも返答を待つ。

「得か~確かに情報には対価が必要だよな。そうだな~昨日やった金をもう一度同じ量やるぞ」
「いかれてるのか?」

 あんな大金そうほいほい人にやるものじゃない。

「酷いな、ただ興味があるだけだ」
「・・・・分かった話す。何が聞きたい?」

 こいつに話したとしても手口はもうバレてるわけだし、他の奴らの居場所がバレるようなことを話すつもりもない。慎重に考えて話せば大丈夫なはずだ。話せばこいつが何なのかが分かるかもしれないしな・・・・ここで追いかけられてもヤバいし、話すだけで金を貰えるなら儲けものだ。

「お、よっしゃ。ここじゃなんだから場所を変えようぜ。まだこの街に詳しく無いんだが何処が良い?」
「じゃあ、ウエストパーク」
「了解、案内頼むぜ」

 俺はもし襲われても大丈夫なように大通りと人が多い道を選んで進み、後ろから付いてくるこいつは本当にこの街をあまり知らないようでキョロキョロと周りを見渡している。

「立派だな~流石ダンジョンを持ってる街だ」
「・・・・」
「あの店良いもの売ってそうだな、何か知ってるか?」
「知らない」

 あんな高そうな店のことを俺が知ってる訳ないだろ。色々と質問されながら歩きウエストパークの中でも人目に付かないが、何時でも逃げられる場所に案内する。

「お、良い場所だな」
「それで何が聞きたいんだ?」
「急だな」
「無駄な話はしない」

 こいつは一日もしないうちに俺の事を調べ上げやがったから、あんまり色々話すのは危ないと思う。聞かれたことだけを話し、あんまり情報を渡さないようにしないとな。もしかしたら、こいつが危ない奴かもしれないんだ。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...