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6、めちゃくちゃ惚れてしまった

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互いが衝動を止められないように、唇を合わせ舌を絡め合う。
柔らかで、ざらりとして、なめらかな舌をなめ合うと、次第に興奮が抑えられなくなっていく。
光輝が激しく冷司の身体を服の上からまさぐり、口の中を蹂躙していく。

ちゅっ、ん、ぐちゅ、ちゅ、ちゅうっ、ぐちゅ、ぐちゅ

いやらしい音が、2人の口の中を繋いでいる。
なまめかしい口の中の感触が、まるで性器のような感覚に襲われて、むさぼるように舌を絡めた。

ふう、ふう、ふー、ふー、

鼻で呼吸する互いの息づかいが、服のこすれ合う音が、部屋を満たす。
光輝が身体を重ねるように覆い被さり、抱きしめた。
冷司も彼の身体を抱きしめ、背中をなでる。

ああ、ああ、駄目だ止まらない。

光輝が冷司の足の間に膝を割り入れ、内股をこするように上下する。

「ん……あっ!」

はあ、はあ、はあ

シャツの中に手を差し入れられ、ハッと冷司が目を見開いた。
光輝の手が、胸を撫でて乳首をつまむ。

「あっ、んあっ」

何で、そんなところを触られると……あっあっ!気持ちいい!
ああ、でも、でも、あっ、やぁっ!!
胸を、肌を、見られたくない!!ああ、ああ、シャツを上げられたら……

光輝、
光輝、
驚かないで、嫌わないで、

でも、でも、僕は!抱かれたい。抱いて欲しい。
ああ、なんて気持ちいいんだろう、人の体温は心地いいんだろう、
こんなに人とふれあう事なんて、今まで無かった……

はあ、はあ、はあ、

光輝が唇を離れ、首筋を下に、下に、襟元を舐めて行く。
汗の匂いが、まるでフェロモンのように興奮を呼ぶ。
片手で冷司のズボンのボタンを外す。
背中に回した手をウエストからパンツの中に入れ、思ったよりも柔らかい尻をなでて揉んだ。

「はぁ……やっ……いやっ!あっ!んくっ」

冷司が思わず身もだえる。
光輝の頭にカッと血が上った。

なんて、なんて、なんでこんなに柔らかいんだよ。
なんでこんなに、なんで、なんで、

「はあ、はあ、はあ、はあ、」

グイグイと、冷司の足を股に挟み股間を擦り付ける。
唇を重ね、グチュグチュと強引に口中を蹂躙した。


舐めたい、身体中を。
もっと、裸でからみ合いたい。
もっと、   最後まで。


犯したい


その手がまた上へと上がり、服を脱がそうとシャツを上げかけた

その時。



ピーーーーーーー



お湯が沸いたケトルが、2人を止めた。
光輝がハッと我に返って、糸引きながら唇を離す。

「はあ、はあ、はあ、こ、光輝……」

「……ごっ、ごめ……」


まずい、冷司の気持ち確認せずに突っ走ってしまった。
こんな、まるでレイプみたいなこと。
男同士でも相手の気持ちを考えずに、ヤバいんじゃね?
あーー、嫌われたらどうしよう。


「ヤッバ、はあ……ごめん……俺、俺、……
ごめん、ヤバかった」


光輝が、思わず謝罪して、立ち上がって火を消す。
ポットに湯を入れながら、気まずくて頭をボリボリかいた。
冷司が身を起こし、乱れた服を直す。

「いや……、僕も、ごめん。なんとなく……」

あのまま続いていたら、どうなったんだろう。
僕らは身体を繋いだんだろうか。

冷司が光輝の後ろ姿を見る。
ばつが悪そうな彼に、笑って告げた。

「でも、なんかさ、気持ちよかったよね」

パッと、光輝が満面の笑顔で振り向く。
嫌われてないことに、もの凄くホッとした。

「な!なんか気持ちよかったよな!
俺、全然身体が止まらなかった。止める気が起きなかった。
俺さ、ゲイじゃないはずなんだけどなー、

やっぱ、…………好き、だから……かな?凄く良かった」

フフフッと笑って、ポットをテーブルに置く。

「光輝、経験あるんだ。
セックス、好きなんだね。僕は経験無くて……」

冷司が乱れた姿で起きてくると、テーブルにゴロゴロとカップ麺を出す。

いや、俺が好きなのはセックスじゃ無くて、お前なんだけど。

口に出して言えなくて、微妙な顔で苦笑いしてチキンラーメン選んだ。

「僕、これが好きだな」

しょうゆ味のカップ麺選ぶ冷司をじっと見とれていると、慌てて髪を手ぐしで直す。
サラサラの髪の、匂いを嗅ぎたいと思った。

「あっ、乱れてる?髪。なんか、恥ずかしいな」

「鏡、そこにあるから。俺ちょっとトイレ」

光輝がトイレに入って、ズボン下ろす。
ガチガチのペニスが痛いほどやる気満々で立ってる。

「うわぁ、マジかよ。クソッ、うっ、うっ、あー、あいつエロすぎだろ……」

なんか、やっぱ艶っぽいよな……あいつ。
マジ、あいつなら抱けそう。
て言うか、普通に立ったし、ガチガチだし。

そう、見えてしまう。
冷司がそこらの女より魅力的に見えてしまう。
そんな、世界が変わったような気がする。

はあ…………

出し切って、大きくため息付くとガックリ手をつく。

「あーーー、ヤバい、俺、めちゃくちゃ惚れちまってる」

つぶやきながら水を流して、ふと、めったに使わない消臭剤を吹く。
こんなに欲情してるなんて、今更だけどバレたくなかった。
トイレを出ると、冷司は光輝の参考書を見て待っていた。
窓からの明かりに冷司の姿が照らされ、妙にいつもの部屋がきれいで明るく見える。

「はーー、うん、きれいだ」

「え?なに?」

「なんでもない。何だ、先に食べていいのに」

「うん、でも、一緒に食べた方が美味しいよ」

「だな!」

どうでもいい話しながら、お湯注いで食べ始める。
つい今まで、初めて睦み合ってしまった気恥ずかしさに、会話が明るく弾んだ。
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