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歴戦のモブ♂、現実逃避は得意です。
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今回の俺は現代日本を舞台にした物語で生きており、平和なニート生活を満喫していた。
ニートなんて恥ずかしくて世間様に顔向けできないって?
全然そんなことは無い。
何を隠そう、俺の生きた前回の物語はなかなか過酷めのファンタジーで、目覚めた時から世界は魔王♂の手によって闇に覆われた状態であった。
少し街の外に出れば危険な魔物が跋扈する死と隣り合わせの日々を余儀なくされていた。
なので、ものすごくメンタルが疲れている。
疲れたら休む。
これは創世記の神様でさえやってる事だ。
ニートはいいぞ、とにかく時間が有り余ってるからな。
毎日毎日、食っちゃ寝な怠惰生活。
眠気ゼロになって起きたら夜までネトゲ三昧、寝る前に推し♀の『フジコ様』による生配信を拝むのだ。
ああこれが今生での幸せか、なんてしみじみしちゃう。
ちなみに前回の物語の内容としては、魔王♂✕勇者♂。
俺はその世界でもやっぱり背景の一部で、勇者♂と物語の途中に街ですれ違うことができたのは唯一のスポットライトが当たる瞬間だったが、ただそれだけ。
勇者♂との会話は当然無くて、視線が交わることさえなかった。
おまけにその唯一のスポットライト直後に、俺のいた街はモンスターの大群に襲われたのである。
雪崩のように押し寄せた逃げ惑う人々に突き飛ばされて倒れ込んだ矢先、すぐそばに現れた狼型の雑魚モンスター。
その鋭利な爪で、武器防具の一つも身に着けていなかった身体は肉どころか骨まで切り裂かれ、どうやらそれは心臓の鼓動を止めるのに充分だったようだ。
不幸中の幸いにも、痛みを感じる前に意識は飛んでいたけれど。
とにかく、めちゃくちゃ怖かった事だけは記憶に根深く刻まれてしまった。
物語の結末がどんなものだったかなんて、途中退場した俺が知るわけがないので期待しないでほしい。
一つ言えるとすれば、あんなこわいものと戦うのが日常だなんて、勇者ってすごい。
その仲間たちもすごい。
俺はやりたくない、モブでいい。
いや、モブがいいんだ。
ニートモブ、バンザイ。
ちなみに前生の物語で出会った勇者♂はとんでもなく美しい人だった。
そう、前話でもちらっと言ったけど、まるで今そこにいる天使と見紛う男と似ていた気がすr……、…あだだだだ!
「一世一代のプロポーズで意識飛ばさないでくれる?」
無視できない痛みと共に意識を呼び起こされた。
どうやらほっぺを引っ張られている。
いやマジで痛い。
「いひゃ、いたひれひゅーーー」
「ふふ、痛いねえ」
何度か抗議しても愉しげに笑うばかりで、頬つまむ手をべしべし叩いてぐいぐい引っ張って、全身でジタバタしてようやっと離してもらえた……と思いきや、気付けばほぼゼロ距離の目の前に尊すぎる天使様の美顔。
思わずピギャーと悲鳴が漏れそうになったが、ギリギリで制御に成功した。
これまでの経験上、こんなキレイな顔を間近で拝んだ事はモニター越しでしかなかったが、次元の違う美というのは男女関係なく見惚れてしまうものらしい。
そして、見つめられていると妙に恥ずかしい。
穴があったら入りたい。
目の前の男♂が攻め枠である以上、入れられる穴になるかもしれないのは俺の方だけど。
………全然笑えなかった。
ここはノンケじゃないフリをした方が良いんじゃないか…?
天使様はノンケをご所望だ。
ならノンケじゃないモブ♂なんてスルーしてくれるはず。
でないと俺の身が、俺のケツがあぶない。
「あ、ああああの、俺、ノンケじゃないです。ノンケじゃないので、さよー、」
さようなら、と続けようとした俺を咎めるように、今度は鼻をつままれた。
口呼吸を余儀なくされて咄嗟に声が出なくなり、無駄にハクハクと唇を動かす。
「ノンケじゃないならボクの事を愛してるよね?」
何で?!と勢いでツッコみたい気持ちはあったが、つままれっぱなしの鼻のせいで思うように言葉が紡げない。
手を離してほしくて顔を横に背けようとしたのが彼の言葉に対する否定だと思われたのだろう、更にギュムリと強く鼻が、あがが。
「ボクの事を愛さない人間なんてノンケ以外にこの世に存在しないでしょ」
こいつはヤバい、ドン引き案件。
自己肯定感高すぎ、こわぁ。
「そ、んにゃ、」
「やっぱりノンケだよね?」
これは、どう答えてもダメなやつでは……?
目をつけられた段階でアウト的な?
逃げられない腰がっちりホールド、逃がすつもりのない激アツねっちょりな視線が刺さる。
この物語において俺は彼の本命♂ではないかもしれないが、少なくとも無関係ではいられない…らしい。
なら、この作戦で行くしかない。
「…お、オトモダチ、からじゃ、だめれすか…」
この物語は健全です。(フラグ)
ニートなんて恥ずかしくて世間様に顔向けできないって?
全然そんなことは無い。
何を隠そう、俺の生きた前回の物語はなかなか過酷めのファンタジーで、目覚めた時から世界は魔王♂の手によって闇に覆われた状態であった。
少し街の外に出れば危険な魔物が跋扈する死と隣り合わせの日々を余儀なくされていた。
なので、ものすごくメンタルが疲れている。
疲れたら休む。
これは創世記の神様でさえやってる事だ。
ニートはいいぞ、とにかく時間が有り余ってるからな。
毎日毎日、食っちゃ寝な怠惰生活。
眠気ゼロになって起きたら夜までネトゲ三昧、寝る前に推し♀の『フジコ様』による生配信を拝むのだ。
ああこれが今生での幸せか、なんてしみじみしちゃう。
ちなみに前回の物語の内容としては、魔王♂✕勇者♂。
俺はその世界でもやっぱり背景の一部で、勇者♂と物語の途中に街ですれ違うことができたのは唯一のスポットライトが当たる瞬間だったが、ただそれだけ。
勇者♂との会話は当然無くて、視線が交わることさえなかった。
おまけにその唯一のスポットライト直後に、俺のいた街はモンスターの大群に襲われたのである。
雪崩のように押し寄せた逃げ惑う人々に突き飛ばされて倒れ込んだ矢先、すぐそばに現れた狼型の雑魚モンスター。
その鋭利な爪で、武器防具の一つも身に着けていなかった身体は肉どころか骨まで切り裂かれ、どうやらそれは心臓の鼓動を止めるのに充分だったようだ。
不幸中の幸いにも、痛みを感じる前に意識は飛んでいたけれど。
とにかく、めちゃくちゃ怖かった事だけは記憶に根深く刻まれてしまった。
物語の結末がどんなものだったかなんて、途中退場した俺が知るわけがないので期待しないでほしい。
一つ言えるとすれば、あんなこわいものと戦うのが日常だなんて、勇者ってすごい。
その仲間たちもすごい。
俺はやりたくない、モブでいい。
いや、モブがいいんだ。
ニートモブ、バンザイ。
ちなみに前生の物語で出会った勇者♂はとんでもなく美しい人だった。
そう、前話でもちらっと言ったけど、まるで今そこにいる天使と見紛う男と似ていた気がすr……、…あだだだだ!
「一世一代のプロポーズで意識飛ばさないでくれる?」
無視できない痛みと共に意識を呼び起こされた。
どうやらほっぺを引っ張られている。
いやマジで痛い。
「いひゃ、いたひれひゅーーー」
「ふふ、痛いねえ」
何度か抗議しても愉しげに笑うばかりで、頬つまむ手をべしべし叩いてぐいぐい引っ張って、全身でジタバタしてようやっと離してもらえた……と思いきや、気付けばほぼゼロ距離の目の前に尊すぎる天使様の美顔。
思わずピギャーと悲鳴が漏れそうになったが、ギリギリで制御に成功した。
これまでの経験上、こんなキレイな顔を間近で拝んだ事はモニター越しでしかなかったが、次元の違う美というのは男女関係なく見惚れてしまうものらしい。
そして、見つめられていると妙に恥ずかしい。
穴があったら入りたい。
目の前の男♂が攻め枠である以上、入れられる穴になるかもしれないのは俺の方だけど。
………全然笑えなかった。
ここはノンケじゃないフリをした方が良いんじゃないか…?
天使様はノンケをご所望だ。
ならノンケじゃないモブ♂なんてスルーしてくれるはず。
でないと俺の身が、俺のケツがあぶない。
「あ、ああああの、俺、ノンケじゃないです。ノンケじゃないので、さよー、」
さようなら、と続けようとした俺を咎めるように、今度は鼻をつままれた。
口呼吸を余儀なくされて咄嗟に声が出なくなり、無駄にハクハクと唇を動かす。
「ノンケじゃないならボクの事を愛してるよね?」
何で?!と勢いでツッコみたい気持ちはあったが、つままれっぱなしの鼻のせいで思うように言葉が紡げない。
手を離してほしくて顔を横に背けようとしたのが彼の言葉に対する否定だと思われたのだろう、更にギュムリと強く鼻が、あがが。
「ボクの事を愛さない人間なんてノンケ以外にこの世に存在しないでしょ」
こいつはヤバい、ドン引き案件。
自己肯定感高すぎ、こわぁ。
「そ、んにゃ、」
「やっぱりノンケだよね?」
これは、どう答えてもダメなやつでは……?
目をつけられた段階でアウト的な?
逃げられない腰がっちりホールド、逃がすつもりのない激アツねっちょりな視線が刺さる。
この物語において俺は彼の本命♂ではないかもしれないが、少なくとも無関係ではいられない…らしい。
なら、この作戦で行くしかない。
「…お、オトモダチ、からじゃ、だめれすか…」
この物語は健全です。(フラグ)
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