戦わないRPG

捨て犬

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「王子、今日から王子の剣の指南を務めさせていただきますブイヤブと申します。
よろしくお願いします。」

グレイヘアーの渋いこれぞ武人という筋肉もりもりの騎士が5歳児の俺に頭を下げてくる。

「うん、こちらこそよろしくお願いします。」

俺も慌ててその騎士に頭を下げた。
赤ん坊から成長して俺も幼児となりました。
言葉も覚えてかけっこも得意になった。

あ、そうそうその過程で分かったんだけれど…なんと俺王子様だった。
バイバナ王国のしかも第一王子。上に姉上がいるけど男は俺一人ってことで随分大事に育てられたみたいだ。
今もその王子のはじめての剣稽古とのことで見守るギャラリーの多いこと。

お母さま改め王妃様も見に来ちゃってるし、なんなら王様も仕事を放って見に来てるのか
額に青筋経った家臣の怖い宰相が後ろに立っている。
それでも王様を連れて戻らないのは宰相もこの状況をほほえましいと思っているのか。

なんだか我がことながらやさしい目で微笑ましいとみられて剣を握るのは少し恥ずかしい。
子供用の木剣を握らされて、握り方を調整される。
それから数回素振りをしてみた。

「どうですか、王子。剣は重くありませんか?」

なんか剣の修行っていうと厳しいイメージがあったけど
怪我をしないかとはらはらと見守るギャラリーと厳しさ0の師範の心配げな顔に
なんだろうそんなイメージはガラガラと崩れていく。

まあ、たった一人の王子のはじめてのお稽古だからな。
…これから厳しくなることを期待しよう。厳しすぎるのはなんだが
これは…生ぬるすぎる…。

「軽すぎるくらいだよ」

そういって受け取った剣をぶんぶんと振って素振りしてみせる。

「ははは、そうですか。うん、王子は剣筋もいい。剣の才能があるのやもしれませんね。」

剣の師匠の騎士が大声でそう褒めると「おおー」と歓声を上げるギャラリー。
あのちょっと、もう少し気配消してくれないかな。

「そうなら嬉しいです。」

と俺は素直な笑顔で騎士に礼を言った。本当のところは神様がチートくれることを
知っているので才能があることは知っている。
だが、そんなことを今言うわけにはいかない。王子といえど子供でも謙虚は大切だ。

「では軽く私めと剣を合わせて打ち合いでもしてみましょうか?」
「え、いいの?」

気軽に放たれた老騎士の言葉にそれまでの謙虚という自重を俺は軽く忘れて
目の奥に炎をたぎらせた。
打ち合いなんてもろゲームっぽくて燃えるシュチュだわこれ。

力を籠めず軽く握るだけだった剣を無意識に握りなおした。

「王子、どこからでも打ち込んできてください」
「はぁ!!」

ははは、と好々爺然と笑う騎士にこれが出せる渾身の一撃をお見舞いした。






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