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居候
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兄との剣の稽古を終え、軽く入浴を済ませてダイニングルームに入るとお父様が先に席についていた。
「おはようございます、お父様」
「ああ、おはよう。ミケーリア」
そしてスピナジーニ子爵夫人であるピエリーナ・スピナジーニに、彼女の娘であるシシリー・スピナリージも既に席についていた。私の心が曇天である原因だ。
「おはようございます、スピナジーニ夫人にシシリー嬢」
「おはよう」
「おはようございます、お義姉様」
その瞬間、私の顔がピクピクと引きつる。
「シシリー嬢。私はあなたの義姉にはなった覚えはありません」
そう訂正すれば「あ、そうでした」と悪びれた様子もなく、あどけない表情をして見せるシシリー嬢。
実はこの二人、昨日突然屋敷にやって来たのだ。なんでも二人の夫であり父であるスピナジーニ子爵が事故で亡くなってしまい、葬儀が終わるとすぐに子爵の甥が家督を継ぐ事が決定したそうで、居場所がなくなって困り果ててここに来たのだと言う。スピナジーニ子爵とお父様は学生時代親友関係だったとかで、子爵の葬儀の際に夫人に困った事があればいつでも力になると話したところ、早々に世話になりにやって来たという訳だ。しかも私と同じ歳であるシシリー嬢も急遽、私が明後日から行く事になっている王立ヴェルデ学院に入学する事を決めたそうだ。勿論、うちのお金で。正直、図々しいにも程があるだろうと思ってはいるが、まあお父様がそうしたいのであれば止めはしない。同じ屋敷に住んだ所で、所詮は赤の他人だし。面白くはないけれどね。
「ごめんね、遅くなってしまった」
そう言いながらダイニングルームに入って来たお兄様。私やお父様と同じ銀色の髪が、まだ少し湿っていた。
「あれあれ?お義兄様。髪が乾ききっていませんよ。ちゃんと乾かさないと」
シシリー嬢がニコニコしながら、お兄様の髪を触ろうとする。
「ああ、シシリー嬢の手が濡れてしまうから。触らなくていいよ。それと残念だけど、私はあなたの兄ではないよ」
彼女に触れられる前に、優しく断るお兄様。
「私の手が濡れる事を心配してくださるなんて……優しいのですね」
お兄様の言葉に頬を染めながらシシリー嬢は言うが、彼女は大きな勘違いをしている。お兄様は、優し言い回しで完全な拒絶を示したのだ。
「優しい方で良かったわね」
なんてスピナジーニ夫人は言っているが、お兄様の黒い笑みが見抜けないなんて雑魚過ぎる。
「さ、皆揃った事だし食事にしよう」
お父様の声で、食事が運ばれて来た。食事をしながら、お父様が私に話しかけて来た。
「リア、ヴェルデ学院への準備はバッチリかい?」
「ええ、もうとっくに荷物は寮に運んであるわ」
私の返事を聞いて「そうか」と言いながら、明らかにしょんぼりの表情になる。
「せっかく、ヴィートが卒業して屋敷に戻って来たと言うのに……今度はリアが学院に行ってしまうなんて……寂しいな」
お兄様が卒業と同時に私が入学になる事でお父様は寂しいらしく、もう何度も同じような発言を続けている。
「ふふ、そんなに寂しそうな顔をしないで。寮生活にはなるけれど、そんなに遠い場所ではないのだからちょくちょく帰って来るわ」
王立ヴェルデ学院は、王都内にあるのでそこまで遠い訳ではない。寮生活が義務化されているから通うという選択肢はないが、いつでも帰る事は出来るのだ。
「私の事も忘れてはダメだよ」
今度はお兄様。
「忘れないってば。お兄様も私がいない間、剣の稽古をさぼったりしないでね。私も学院に行ってもちゃんと稽古するから」
「はは、わかってるって」
そう言って笑っていると、横からスピナジーニ夫人が横やりを入れて来た。
「ミケーリアさんは心配しなくて結構よ。私がしっかりとテオドージオ様の事も、ヴィート様の事も面倒見ますから。屋敷の管理もお手伝いさせていただくわ」
最後は私ではなくお父様を見つめて言っていた。朝から濃いメイクで笑ってるけど、一体何を以ってしてそんな事を言うのだろうか。女主人にでもなった気か?イラッとしつつも、にこやかな笑みを浮かべて夫人を見る。
「ふふ、スピナジーニ夫人にご負担がかかるような事にはならないと思いますよ。我が屋敷の者たちは、皆しっかりしていますから」
夫人が口を出す筋合いはないのだと仄めかすと思いっきり睨まれたが、私は無視してスープを飲む。お門違いも甚だしいというものだ。再婚した訳でもないのに、どうして夫人が家を取り仕切ろうとするのか理解に苦しむ。
「お父様に色目使ったりして。気持ち悪い」
食事を終え、ムカムカしながら自室に戻ると、アネリが本を持って待っていた。
「おはようございます、お父様」
「ああ、おはよう。ミケーリア」
そしてスピナジーニ子爵夫人であるピエリーナ・スピナジーニに、彼女の娘であるシシリー・スピナリージも既に席についていた。私の心が曇天である原因だ。
「おはようございます、スピナジーニ夫人にシシリー嬢」
「おはよう」
「おはようございます、お義姉様」
その瞬間、私の顔がピクピクと引きつる。
「シシリー嬢。私はあなたの義姉にはなった覚えはありません」
そう訂正すれば「あ、そうでした」と悪びれた様子もなく、あどけない表情をして見せるシシリー嬢。
実はこの二人、昨日突然屋敷にやって来たのだ。なんでも二人の夫であり父であるスピナジーニ子爵が事故で亡くなってしまい、葬儀が終わるとすぐに子爵の甥が家督を継ぐ事が決定したそうで、居場所がなくなって困り果ててここに来たのだと言う。スピナジーニ子爵とお父様は学生時代親友関係だったとかで、子爵の葬儀の際に夫人に困った事があればいつでも力になると話したところ、早々に世話になりにやって来たという訳だ。しかも私と同じ歳であるシシリー嬢も急遽、私が明後日から行く事になっている王立ヴェルデ学院に入学する事を決めたそうだ。勿論、うちのお金で。正直、図々しいにも程があるだろうと思ってはいるが、まあお父様がそうしたいのであれば止めはしない。同じ屋敷に住んだ所で、所詮は赤の他人だし。面白くはないけれどね。
「ごめんね、遅くなってしまった」
そう言いながらダイニングルームに入って来たお兄様。私やお父様と同じ銀色の髪が、まだ少し湿っていた。
「あれあれ?お義兄様。髪が乾ききっていませんよ。ちゃんと乾かさないと」
シシリー嬢がニコニコしながら、お兄様の髪を触ろうとする。
「ああ、シシリー嬢の手が濡れてしまうから。触らなくていいよ。それと残念だけど、私はあなたの兄ではないよ」
彼女に触れられる前に、優しく断るお兄様。
「私の手が濡れる事を心配してくださるなんて……優しいのですね」
お兄様の言葉に頬を染めながらシシリー嬢は言うが、彼女は大きな勘違いをしている。お兄様は、優し言い回しで完全な拒絶を示したのだ。
「優しい方で良かったわね」
なんてスピナジーニ夫人は言っているが、お兄様の黒い笑みが見抜けないなんて雑魚過ぎる。
「さ、皆揃った事だし食事にしよう」
お父様の声で、食事が運ばれて来た。食事をしながら、お父様が私に話しかけて来た。
「リア、ヴェルデ学院への準備はバッチリかい?」
「ええ、もうとっくに荷物は寮に運んであるわ」
私の返事を聞いて「そうか」と言いながら、明らかにしょんぼりの表情になる。
「せっかく、ヴィートが卒業して屋敷に戻って来たと言うのに……今度はリアが学院に行ってしまうなんて……寂しいな」
お兄様が卒業と同時に私が入学になる事でお父様は寂しいらしく、もう何度も同じような発言を続けている。
「ふふ、そんなに寂しそうな顔をしないで。寮生活にはなるけれど、そんなに遠い場所ではないのだからちょくちょく帰って来るわ」
王立ヴェルデ学院は、王都内にあるのでそこまで遠い訳ではない。寮生活が義務化されているから通うという選択肢はないが、いつでも帰る事は出来るのだ。
「私の事も忘れてはダメだよ」
今度はお兄様。
「忘れないってば。お兄様も私がいない間、剣の稽古をさぼったりしないでね。私も学院に行ってもちゃんと稽古するから」
「はは、わかってるって」
そう言って笑っていると、横からスピナジーニ夫人が横やりを入れて来た。
「ミケーリアさんは心配しなくて結構よ。私がしっかりとテオドージオ様の事も、ヴィート様の事も面倒見ますから。屋敷の管理もお手伝いさせていただくわ」
最後は私ではなくお父様を見つめて言っていた。朝から濃いメイクで笑ってるけど、一体何を以ってしてそんな事を言うのだろうか。女主人にでもなった気か?イラッとしつつも、にこやかな笑みを浮かべて夫人を見る。
「ふふ、スピナジーニ夫人にご負担がかかるような事にはならないと思いますよ。我が屋敷の者たちは、皆しっかりしていますから」
夫人が口を出す筋合いはないのだと仄めかすと思いっきり睨まれたが、私は無視してスープを飲む。お門違いも甚だしいというものだ。再婚した訳でもないのに、どうして夫人が家を取り仕切ろうとするのか理解に苦しむ。
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