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第7章 それぞれのサイカイ

第54話ー① 白銀さんの施設訪問!

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 真一のスキャンダル騒動から数日後のこと。暁の元へ一本の電話が入る。

『やあ、暁先生。調子はどうだい』
「白銀さん、お疲れ様です! 俺はいつも通りですよ」

 暁は笑いながらゆめかにそう答えた。

『ははは! そうかそうか。何もないのはいいことだね!』
「あの、それで……今日はどうしたんですか? 最近連絡がないなあとは思ってましたが」
『ああ。施設の生徒たちの様子はどうかなと思って。ネットの騒動のこともあったしね』

 白銀さんもあのことを知っていたんだな――

「気にかけてくださってありがとうございます」
『いえいえ。それでなんだけどね――!』

 そしてゆめかから、施設の訪問の提案がされた。

 いつもは暁や生徒が研究所に行くことしかないけれど、たまには自分から施設に行きたいという事だった。

 仕事でとは言いつつ、本当は白銀さんがまた施設に来たいというのが本心なんだろうな――。

 そう思いながら、口元が緩む暁。

「わかりました。では、ここでお待ちしていますね!」

 そして1週間後にゆめかがこの施設に訪れることとなった。



 ――1週間後。

 暁はエントランスゲートに向かっていた。

「白銀さんは着いたかな」

 そして暁がエントランスゲートに着くと、ゆめかがゲートの外で立っている姿を見つける。

「やあ、久しぶりだね! 暁先生」

 暁の姿に気が付いたゆめかは、そう言いながら手を高く上げて振っていた。

「お待たせしました!」

 それから暁はゆめかを施設の敷地内へ通す。

「ふふふ。やっぱりここは何も変わらないね。私がいた時と……」

 ゆめかは懐かしそうに施設の中を歩いてそう言っていた。

 俺にしてみれば、シロと別れたのはほんの1年半前。でも白銀さんにとっては20年ぶりになるわけか。だからそんなに懐かしそうな顔になるのも当然だよな――。

 そんなことを思いながら、楽しそうに歩くゆめかを見る暁。

「あ、ここ……」

 ゆめかはそう言って立ち止まり、廊下の壁を見つめた。

「ここがどうしたんですか?」

 暁が壁を見つめると、そこには小さな穴が開いていた。

「この穴は、結衣ちゃんが私を喜ばせるために子供たちを出してくれたんだけど、少しやんちゃな子たちでね。結衣ちゃんのいう事を聞かずに、勝手に逃げ出そうとしてここに穴を掘り始めたんだよ。……まだ残っていたんだ」

 そう言いながら微笑むゆめか。

 暁はそんなゆめかの横顔を見ていると、当時のシロの面影がふと頭をよぎった。

「……やっぱり白銀さんがシロなんですね」
「もしかして疑っていたのかい?」

 ゆめかは笑いながら、暁にそう問いかける。


「実は、少しだけ! だって、白銀さんは話し方や行動が大人の女性って感じで。俺の知っているシロとはちょっと違うかもって思っていたんですよ」

「ははは。ちょっとそれっぽく見せているだけだよ。本当は私だってもっと子供っぽくすることもできるんだから」

「そう、なんですか?」


 子供っぽい白銀さんなんて、今の姿からは想像できないな――。

 そんなことを思いながら、ゆめかの顔を見る暁。

「あ! その反応は、ちょっと見てみたいって感じかな」
「ま、まあ。気にはなりますよね!」
「あははは! それはまた今度、だね」

 それから暁たちは職員室へ向かった。

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