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第9章 新たな希望と変わる世界
第68話ー⑥ 黒翼の復帰
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グラウンドにて――
「ええっと。じゃあ今回のレクリエーションは狂司と剛の勝利だ」
暁が肩を落としながらそう告げると、剛は嬉しそうにガッツポーズをし、狂司はふふっと笑った。
「もう! あなたが不甲斐ないからですよ!!」
織姫はそう言いながら、暁を睨む。
「まあ最初に催眠にかかったのは、織姫ちゃんでしたけどね☆」
「り、凛子さん!!」
織姫は顔を真っ赤にしながら、そう言った。
「ははは。今回は狂司たちの戦略勝ちってことだな! すごかったよ、2人とも! まあ剛の演技力に関しては、別だけど」
暁は笑いながら、剛の方を見てそう言った。
「そ、そのことはもういいだろ!?」
「確かに、あれは本当にひどかったですね。『先生の能力は俺が一番わかっている!』とでかい顔をしていた剛君に、この結末を伝えてあげたいところですよ」
「狂司、お前はー!!」
「あはは。でも剛君とのチーム楽しかったですよ。また一緒にやりましょう」
そう言って微笑む狂司。
「お、おう」
剛はそう言って恥ずかしそうに頬を掻いた。
2人の距離が縮まったことを確認した暁は、今回のレクリエーションもやってよかったなとそう思いながら2人をみて微笑んだのだった。
夕食後――
暁は職員室で報告書の作成をしていた。
するとそこへ狂司がやってくる。
「なんだか前にも似たシチュエーションがあったな」
「そうでしたね。でも今日は本当にただ話をしに来ただけですよ」
そう言って微笑む狂司。
「そうか。それで話って?」
「先生は弟さん……『三谷翔』さんの話は聞きたいと思いませんか?」
「え……」
狂司の口から出た『三谷翔』という言葉に驚く暁。
「なんで、翔のことを……?」
「『三谷翔』は『アンチドーテ』のメンバーでした。そして僕の尊敬する先輩です」
「翔が『アンチドーテ』に?」
行方不明になっていたことは知っていたけど、まさか『アンチドーテ』にいたなんてな――
「ええ。今は解散したので、『アンチドーテ』ではないですが、組織をまとめていたドクターと行動を共にしているでしょうね」
ドクター? 何かの研究をしている人なのか――?
「それで……翔たちが今、どこにいる狂司は知っているのか?」
「すみません。解散してからは連絡が取れなくて……でも生きていますよ。ちゃんと」
そう言って少しだけ寂しそうな表情をする狂司。
「そうか……」
「でもここへ戻るように言ってくれたのは、翔先輩だったんです。暁先生の元でちゃんと学んで大人になれと」
「翔が? 俺がここで教師をやっていることを知っていたんだな」
「はい。翔先輩も能力者なのでいつかまた先生とお会いする日が来るでしょう。だからそれまでは待っていてあげてください」
狂司はそう言って微笑んだ。
「ああ。もちろんだ。また会って、ちゃんと謝りたい。そしてまた兄弟になれたらって思っているよ」
そう言って暁は微笑んだ。
「ふふふ。じゃあ話はそれだけです。おやすみなさい、暁先生。そしてこれからよろしくお願いしますね」
「ああ、こちらこそよろしく」
そして狂司は職員室を出て行った。
「そうか、翔が……」
そう呟きながら、ほっと胸を撫でおろす暁。
「いつか会える日まで、かっこいい教師になっていないとな!」
そして暁は報告書を再開したのだった。
* * *
狂司の自室にて――
「先輩、ドクター。僕は知っていますよ。2人の戦いがまだ終わっていないことを。でも僕の未来を願ってくれたんですよね」
そう呟きながら、窓から月を眺める狂司。
「今度2人に会えた時、僕はちゃんとした大人になれているでしょうか……いいえ、なります。笑顔で見送ってくれた2人に誇れる大人にね」
そして狂司の新しい日常が始まったのでした。
「ええっと。じゃあ今回のレクリエーションは狂司と剛の勝利だ」
暁が肩を落としながらそう告げると、剛は嬉しそうにガッツポーズをし、狂司はふふっと笑った。
「もう! あなたが不甲斐ないからですよ!!」
織姫はそう言いながら、暁を睨む。
「まあ最初に催眠にかかったのは、織姫ちゃんでしたけどね☆」
「り、凛子さん!!」
織姫は顔を真っ赤にしながら、そう言った。
「ははは。今回は狂司たちの戦略勝ちってことだな! すごかったよ、2人とも! まあ剛の演技力に関しては、別だけど」
暁は笑いながら、剛の方を見てそう言った。
「そ、そのことはもういいだろ!?」
「確かに、あれは本当にひどかったですね。『先生の能力は俺が一番わかっている!』とでかい顔をしていた剛君に、この結末を伝えてあげたいところですよ」
「狂司、お前はー!!」
「あはは。でも剛君とのチーム楽しかったですよ。また一緒にやりましょう」
そう言って微笑む狂司。
「お、おう」
剛はそう言って恥ずかしそうに頬を掻いた。
2人の距離が縮まったことを確認した暁は、今回のレクリエーションもやってよかったなとそう思いながら2人をみて微笑んだのだった。
夕食後――
暁は職員室で報告書の作成をしていた。
するとそこへ狂司がやってくる。
「なんだか前にも似たシチュエーションがあったな」
「そうでしたね。でも今日は本当にただ話をしに来ただけですよ」
そう言って微笑む狂司。
「そうか。それで話って?」
「先生は弟さん……『三谷翔』さんの話は聞きたいと思いませんか?」
「え……」
狂司の口から出た『三谷翔』という言葉に驚く暁。
「なんで、翔のことを……?」
「『三谷翔』は『アンチドーテ』のメンバーでした。そして僕の尊敬する先輩です」
「翔が『アンチドーテ』に?」
行方不明になっていたことは知っていたけど、まさか『アンチドーテ』にいたなんてな――
「ええ。今は解散したので、『アンチドーテ』ではないですが、組織をまとめていたドクターと行動を共にしているでしょうね」
ドクター? 何かの研究をしている人なのか――?
「それで……翔たちが今、どこにいる狂司は知っているのか?」
「すみません。解散してからは連絡が取れなくて……でも生きていますよ。ちゃんと」
そう言って少しだけ寂しそうな表情をする狂司。
「そうか……」
「でもここへ戻るように言ってくれたのは、翔先輩だったんです。暁先生の元でちゃんと学んで大人になれと」
「翔が? 俺がここで教師をやっていることを知っていたんだな」
「はい。翔先輩も能力者なのでいつかまた先生とお会いする日が来るでしょう。だからそれまでは待っていてあげてください」
狂司はそう言って微笑んだ。
「ああ。もちろんだ。また会って、ちゃんと謝りたい。そしてまた兄弟になれたらって思っているよ」
そう言って暁は微笑んだ。
「ふふふ。じゃあ話はそれだけです。おやすみなさい、暁先生。そしてこれからよろしくお願いしますね」
「ああ、こちらこそよろしく」
そして狂司は職員室を出て行った。
「そうか、翔が……」
そう呟きながら、ほっと胸を撫でおろす暁。
「いつか会える日まで、かっこいい教師になっていないとな!」
そして暁は報告書を再開したのだった。
* * *
狂司の自室にて――
「先輩、ドクター。僕は知っていますよ。2人の戦いがまだ終わっていないことを。でも僕の未来を願ってくれたんですよね」
そう呟きながら、窓から月を眺める狂司。
「今度2人に会えた時、僕はちゃんとした大人になれているでしょうか……いいえ、なります。笑顔で見送ってくれた2人に誇れる大人にね」
そして狂司の新しい日常が始まったのでした。
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