420 / 501
第10章 未来へ繋ぐ想い
第82話ー⑤ S級クラスの出来事
しおりを挟む
教室内――
暁はレクリエーションをしている生徒たちを窓から見つめていた。
『珍しいな。暁は参加しないのか』
ミケはそう言いながら、暁の傍に歩み寄る。
そして暁はそんなミケの方を見ると、
「今日は水蓮が参加したいって言ったからな。人数のことを考慮して、俺は外れることにしたんだ」
そう言って微笑んだ。
『暁のことだから生徒を傍で見ていたいと言って、無理にでも参加しそうだと思ったが』
「ははは。昔の俺なら、そうしていただろうな。でも――」
暁は窓の外を見て、グラウンドにいる生徒たちを見つめた。
「俺が何かをしなくても、あいつらは自分たちで選んで進んでいけるんじゃないかって思うんだ。未来の創り方は、もうわかっているはずだから」
これまでたくさんの出会いやいろんな経験をして、生徒たちはそれぞれでその方法を身に着けてきたんだからな――
『ふっ。それを暁が教えたと』
「うーん。それも違うかなって思う。交わることのない人間同士が交わることで、新たな可能性に気が付くって言うのかな……俺はそのきっかけの場所を用意しただけだよ」
そう言って暁はミケの方を見て微笑んだ。
『そうか……それでも子供たちにとって、暁の存在はとても大きなものなんだと私は思うぞ。暁に出会って、子供たちは変わっていったのだからな』
「ははは……ありがとな! 本当にそうだったら、俺も嬉しいよ」
それから暁はグラウンドに視線を移し、そのまま窓枠に両手を置いた。
「ここもいつまであるんだろうな」
『ん? どういうことだ?』
「クラス制度がなくなれば、この施設は廃止になる。そうしたら、ここの役目はなくなるわけだ」
たくさんの思い出が詰まったこの場所は、もうすぐなくなるんだ――
そんなことを思い、悲し気な表情をする暁。
『新たな学び舎と言う話は……?』
「ああ、その件は進んでいるよ。でも、新たな学び舎ができるのはここじゃないんだ。都内にある土地を紹介されてな。その場所なら、ここよりも交通の便もいいから、多くの子供たちも通えるだろうってさ」
『そうなのか……』
それから暁はミケに視線を向ける。
「そうなったら、ミケさんはどうする? 確か猫は、一度居ついた場所をなかなか変えないっ――」
『私は猫だが、元は人間だぞ!! もちろんこの先もずっと暁の厄介になるさ。こうして会話もできるし、それにおいしいご飯も食べられる』
なんて傲慢な猫なんだ――
暁は心の中でそう思いつつ、ミケとまだ一緒に居られることを喜んだ。
「じゃあ、まだまだ長い付き合いになりそうだな」
『ああ、これからもうまいご飯を頼んだぞ』
「ミケさんはそればっかだな」
暁はやれやれと言った顔をしながら、ミケにそう言ったのだった。
そう。もうすぐここは……それまでに俺は俺のやれることをしよう――
そして暁は生徒たちのレクリエーションを見守ったのだった。
暁はレクリエーションをしている生徒たちを窓から見つめていた。
『珍しいな。暁は参加しないのか』
ミケはそう言いながら、暁の傍に歩み寄る。
そして暁はそんなミケの方を見ると、
「今日は水蓮が参加したいって言ったからな。人数のことを考慮して、俺は外れることにしたんだ」
そう言って微笑んだ。
『暁のことだから生徒を傍で見ていたいと言って、無理にでも参加しそうだと思ったが』
「ははは。昔の俺なら、そうしていただろうな。でも――」
暁は窓の外を見て、グラウンドにいる生徒たちを見つめた。
「俺が何かをしなくても、あいつらは自分たちで選んで進んでいけるんじゃないかって思うんだ。未来の創り方は、もうわかっているはずだから」
これまでたくさんの出会いやいろんな経験をして、生徒たちはそれぞれでその方法を身に着けてきたんだからな――
『ふっ。それを暁が教えたと』
「うーん。それも違うかなって思う。交わることのない人間同士が交わることで、新たな可能性に気が付くって言うのかな……俺はそのきっかけの場所を用意しただけだよ」
そう言って暁はミケの方を見て微笑んだ。
『そうか……それでも子供たちにとって、暁の存在はとても大きなものなんだと私は思うぞ。暁に出会って、子供たちは変わっていったのだからな』
「ははは……ありがとな! 本当にそうだったら、俺も嬉しいよ」
それから暁はグラウンドに視線を移し、そのまま窓枠に両手を置いた。
「ここもいつまであるんだろうな」
『ん? どういうことだ?』
「クラス制度がなくなれば、この施設は廃止になる。そうしたら、ここの役目はなくなるわけだ」
たくさんの思い出が詰まったこの場所は、もうすぐなくなるんだ――
そんなことを思い、悲し気な表情をする暁。
『新たな学び舎と言う話は……?』
「ああ、その件は進んでいるよ。でも、新たな学び舎ができるのはここじゃないんだ。都内にある土地を紹介されてな。その場所なら、ここよりも交通の便もいいから、多くの子供たちも通えるだろうってさ」
『そうなのか……』
それから暁はミケに視線を向ける。
「そうなったら、ミケさんはどうする? 確か猫は、一度居ついた場所をなかなか変えないっ――」
『私は猫だが、元は人間だぞ!! もちろんこの先もずっと暁の厄介になるさ。こうして会話もできるし、それにおいしいご飯も食べられる』
なんて傲慢な猫なんだ――
暁は心の中でそう思いつつ、ミケとまだ一緒に居られることを喜んだ。
「じゃあ、まだまだ長い付き合いになりそうだな」
『ああ、これからもうまいご飯を頼んだぞ』
「ミケさんはそればっかだな」
暁はやれやれと言った顔をしながら、ミケにそう言ったのだった。
そう。もうすぐここは……それまでに俺は俺のやれることをしよう――
そして暁は生徒たちのレクリエーションを見守ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行「婚約破棄ですか? それなら昨日成立しましたよ、ご存知ありませんでしたか?」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
「アリシア・フィルタ貴様との婚約を破棄する!」
イエーガー公爵家の令息レイモンド様が言い放った。レイモンド様の腕には男爵家の令嬢ミランダ様がいた。ミランダ様はピンクのふわふわした髪に赤い大きな瞳、小柄な体躯で庇護欲をそそる美少女。
対する私は銀色の髪に紫の瞳、表情が表に出にくく能面姫と呼ばれています。
レイモンド様がミランダ様に惹かれても仕方ありませんね……ですが。
「貴様は俺が心優しく美しいミランダに好意を抱いたことに嫉妬し、ミランダの教科書を破いたり、階段から突き落とすなどの狼藉を……」
「あの、ちょっとよろしいですか?」
「なんだ!」
レイモンド様が眉間にしわを寄せ私を睨む。
「婚約破棄ですか? 婚約破棄なら昨日成立しましたが、ご存知ありませんでしたか?」
私の言葉にレイモンド様とミランダ様は顔を見合わせ絶句した。
全31話、約43,000文字、完結済み。
他サイトにもアップしています。
小説家になろう、日間ランキング異世界恋愛2位!総合2位!
pixivウィークリーランキング2位に入った作品です。
アルファポリス、恋愛2位、総合2位、HOTランキング2位に入った作品です。
2021/10/23アルファポリス完結ランキング4位に入ってました。ありがとうございます。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~
みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。
何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。
第一部(領地でスローライフ)
5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。
お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。
しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。
貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。
第二部(学園無双)
貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。
貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。
だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。
そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。
ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・
学園無双の痛快コメディ
カクヨムで240万PV頂いています。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】黒の花嫁/白の花嫁
あまぞらりゅう
恋愛
秋葉は「千年に一人」の霊力を持つ少女で、幼い頃に龍神――白龍の花嫁として選ばれていた。
だが、双子の妹の春菜の命を救うために、その霊力を代償として失ってしまう。
しかも、秋葉の力は全て春菜へと移り、花嫁の座まで奪われてしまった。
それ以来、家族から「無能」と蔑まれながらも、秋葉は失われた力を取り戻すために静かに鍛錬を続けていた。
そして五年後、白龍と春菜の婚礼の日。
秋葉はついに霊力が戻らず、一縷の望みも消えてしまった。
絶望の淵に立つ彼女の前に、ひとりの青年が現れる。
「余りもの同士、仲良くやろうや」
彼もまた、龍神――黒龍だった。
★ザマァは軽めです!
★後半にバトル描写が若干あります!
★他サイト様にも投稿しています!
お隣さんはヤのつくご職業
古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。
残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。
元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。
……え、ちゃんとしたもん食え?
ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!!
ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ
建築基準法と物理法則なんて知りません
登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。
2020/5/26 完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる