君ト僕ト秘密

riyu

文字の大きさ
13 / 18

#13

しおりを挟む

いつも通りの朝がきた
今日から本業の仕事が始まる

昨日、休みの日に
バイトしたせいか
疲れが取れていない気がする・・
いやただの寝不足か
幸せのために寝る時間を
削ったのだから文句は言えない

僕は本業の仕事を
いつも通りに終わらせる
そして
今日もバイトだ

「お疲れ様です」

返事なし事務所を
足早に出ていき現場に行く

するとそこには
君が居た・・
髪の毛が紫の君が居た

昨日の今日で
印象が違いすぎる
別人?違う違う
明らかに君だった

君は僕に気付き
「お疲れ様です!」
と満面の笑みで挨拶してきた

「その髪どーしたの?」

僕は挨拶より先に
髪が気になっていた

少し戸惑う君
たぶん似合うとか
可愛いとか言ってほしかったのだろう

僕の素っ気ない言葉に
顔を下に向ける

「月曜日が紫なら、火曜日は黄色かな?」

落ち込んだ君に
冗談を言った

僕が言ったことを理解した君は
クスッと笑う

機嫌を戻したとこで
お互い自分の持ち場に戻り
作業を始めた

僕は自分の持ち場を
素早く終わらせ君の場所へ向かった

君の持ち場は
今日、物量が多いのを知っていた

手伝う節を言うと
君から指示を出され
それを配ることにした

なかなかの量で
定時前に、なんとか終わらせた

君は僕のところに来て
頭を下げる


なぜだろう

僕は君の頭を
二回軽く
ポンポンと叩いた

なにしてるんだ僕?

びっくりした表情で見つめる君

僕は思わず謝る

「別にいいですよ!」
顔を赤くして
恥ずかしがりながら君は言う


「お疲れ様!」
僕は逃げるように帰った

車の中

僕はあのシーンが
何度も脳裏に映し出される
もう帰った道も覚えていない

アパートに着き
風呂に入り
いつものイスに座る
一杯の水を飲み
落ち着きを取り戻した

スマートフォンを見ると
2通のメッセージが届いていた

一通は千春からだ

内容は
この前のお礼と
また遊ぼうということだった

時間を作らないと・・
千春には悪い思いばっかりさせている

もう、一通は
まさかの君からだった

また蘇る
あの記憶

恐る恐るメッセージを見た

色々、嫌な予想はしていたが
そんなことはなかった

「ありがとうございました。また明日頑張りましょう!」

これだけ送られていた

ホッと肩の荷が降りる

僕もメッセージを送った
普通の返事を


千春にもメッセージを返した
謝りの返事を


そして僕は寝た
君の頭の感触を
この手に残したまま


僕には秘密がある
君には言えない秘密がある。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

幼馴染の許嫁

山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

フッてくれてありがとう

nanahi
恋愛
「子どもができたんだ」 ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。 「誰の」 私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。 でも私は知っている。 大学生時代の元カノだ。 「じゃあ。元気で」 彼からは謝罪の一言さえなかった。 下を向き、私はひたすら涙を流した。 それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。 過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──

灰かぶりの姉

吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。 「今日からあなたのお父さんと妹だよ」 そう言われたあの日から…。 * * * 『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。 国枝 那月×野口 航平の過去編です。

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

離した手の温もり

橘 凛子
恋愛
3年前、未来を誓った君を置いて、私は夢を追いかけた。キャリアを優先した私に、君と会う資格なんてないのかもしれない。それでも、あの日の選択をずっと後悔している。そして今、私はあの場所へ帰ってきた。もう一度、君に会いたい。ただ、ごめんなさいと伝えたい。それだけでいい。それ以上の願いは、もう抱けないから。

裏切りの先にあるもの

マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。 結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。

処理中です...