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新しい生活
愛妾として
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殿下はすぐに私の両親を呼び出して、話をしてくれた。
バーネット伯爵家で薬物を盛られていた可能性があること。
今すぐに私を守りたいから、離縁が成立するまでは愛妾として囲い、離縁が成立したら側妃として迎えたいこと。その時には私の立場を強固なものにするために、アンブリッジ公爵家に籍を入れたい事。妃殿下もそのことに賛成してくれていることも。
両親は信じられないといった反応だった。しかし、私が殿下についていきたいことを話すと、両親はすんなりと認めてくれた。
私が決めたなら反対はしないと言ってくれたのだ。
話し合いが終わると、親子だけでゆっくり話をして欲しいと言って、殿下は先に退出してくれた。
「リアが体調を崩していて、バーネット伯爵家で療養しているとは聞いていたが、そこまで具合が悪くなっていたことは知らされていなかった。
知っていたらすぐに迎えに行っていたのに…、気づいてやれなくて悪かった。」
「もしかして…、私が出した手紙も届いていないのですか?」
「…手紙?リアは手紙を出してくれたのか?」
やはり私の手紙は、あの男が握りつぶしていたに違いない。きっと友人達に出した手紙も…。
あの男は何を考えているのかしら。怒りが湧いてくる。
「リア。あの男のことは辛いでしょうけど、殿下をしっかりお支えするのよ。
今度こそ幸せになって欲しいわ。」
「お母様、認めて下さってありがとうございます。
それより心配なことがあります。私が愛妾になったと聞いて、バーネット様がお父様やお母様に接触してくるかもしれませんわ。
あの男は信用できませんわ。私に薬物を盛っていたのはあの男の可能性が高いですし、私がお父様とお母様に出した手紙もあの男が握りつぶしたのかもしれません。どうかお気をつけて。」
「分かっている。
ブライアンが不貞をした時に、すでに信用をするのはやめていたが、そこまでするような男だったのか…。
リアをとんでもない男と結婚させてしまったな。
本当に悪かったな。」
お父様が本気で後悔しているような険しい顔をする。
「あなた、今更そんなことを悔やんでも無駄ですわ。
これからのリアの幸せを応援しましょう。」
「お父様、そのことを後悔するのはもうやめましょう。
そういえば、お兄様とお義姉様はお元気?」
「ああ!もうすぐ産まれるらしい。今は里帰りしているよ。」
「今は里帰りして出産する人が多いんですって!
リアもその時は帰ってらっしゃい。」
「お母様…、私はなかなか難しい立場ですのよ。あまり変な期待は持たないで下さい。」
「…そうね。まずはあの男を何とかしないといけないものね。」
「殿下がついていてくれるのだから心強い。私は殿下に感謝しているよ。殿下はリアを愛妾という立場にすることを心苦しく思っているようだが、私は娘を大切にしてくれるなら、それでもいいと思っている。
いくら名門の伯爵夫人だといっても、不幸そうにするリアを見るのは辛いからな。」
お父様が愛妾という立場を肯定してくれるとは思っていなかった。
愛妾って立場をよく思わない人は沢山いるだろうし、私が愛妾になったことで、両親や兄達が悪く言われたりしなければいいのだけれど。
でも両親が認めてくれたことは、とても嬉しいことだった。
両親との話し合いが済んだ後、殿下は国王陛下と王妃殿下からも許可を貰えたことを教えて下さった。
その後すぐに王太子殿下は、バーネット様に私を殿下の愛妾にすると通達を出してくれたのである。
バーネット伯爵家で薬物を盛られていた可能性があること。
今すぐに私を守りたいから、離縁が成立するまでは愛妾として囲い、離縁が成立したら側妃として迎えたいこと。その時には私の立場を強固なものにするために、アンブリッジ公爵家に籍を入れたい事。妃殿下もそのことに賛成してくれていることも。
両親は信じられないといった反応だった。しかし、私が殿下についていきたいことを話すと、両親はすんなりと認めてくれた。
私が決めたなら反対はしないと言ってくれたのだ。
話し合いが終わると、親子だけでゆっくり話をして欲しいと言って、殿下は先に退出してくれた。
「リアが体調を崩していて、バーネット伯爵家で療養しているとは聞いていたが、そこまで具合が悪くなっていたことは知らされていなかった。
知っていたらすぐに迎えに行っていたのに…、気づいてやれなくて悪かった。」
「もしかして…、私が出した手紙も届いていないのですか?」
「…手紙?リアは手紙を出してくれたのか?」
やはり私の手紙は、あの男が握りつぶしていたに違いない。きっと友人達に出した手紙も…。
あの男は何を考えているのかしら。怒りが湧いてくる。
「リア。あの男のことは辛いでしょうけど、殿下をしっかりお支えするのよ。
今度こそ幸せになって欲しいわ。」
「お母様、認めて下さってありがとうございます。
それより心配なことがあります。私が愛妾になったと聞いて、バーネット様がお父様やお母様に接触してくるかもしれませんわ。
あの男は信用できませんわ。私に薬物を盛っていたのはあの男の可能性が高いですし、私がお父様とお母様に出した手紙もあの男が握りつぶしたのかもしれません。どうかお気をつけて。」
「分かっている。
ブライアンが不貞をした時に、すでに信用をするのはやめていたが、そこまでするような男だったのか…。
リアをとんでもない男と結婚させてしまったな。
本当に悪かったな。」
お父様が本気で後悔しているような険しい顔をする。
「あなた、今更そんなことを悔やんでも無駄ですわ。
これからのリアの幸せを応援しましょう。」
「お父様、そのことを後悔するのはもうやめましょう。
そういえば、お兄様とお義姉様はお元気?」
「ああ!もうすぐ産まれるらしい。今は里帰りしているよ。」
「今は里帰りして出産する人が多いんですって!
リアもその時は帰ってらっしゃい。」
「お母様…、私はなかなか難しい立場ですのよ。あまり変な期待は持たないで下さい。」
「…そうね。まずはあの男を何とかしないといけないものね。」
「殿下がついていてくれるのだから心強い。私は殿下に感謝しているよ。殿下はリアを愛妾という立場にすることを心苦しく思っているようだが、私は娘を大切にしてくれるなら、それでもいいと思っている。
いくら名門の伯爵夫人だといっても、不幸そうにするリアを見るのは辛いからな。」
お父様が愛妾という立場を肯定してくれるとは思っていなかった。
愛妾って立場をよく思わない人は沢山いるだろうし、私が愛妾になったことで、両親や兄達が悪く言われたりしなければいいのだけれど。
でも両親が認めてくれたことは、とても嬉しいことだった。
両親との話し合いが済んだ後、殿下は国王陛下と王妃殿下からも許可を貰えたことを教えて下さった。
その後すぐに王太子殿下は、バーネット様に私を殿下の愛妾にすると通達を出してくれたのである。
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