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新しい生活
後宮での生活
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後宮での生活は、良く言えばのんびりで、悪く言えば暇な毎日だった。こんな穏やかすぎる毎日を過ごすのはいつぶりだろう…。
一時は死を覚悟するほどに具合が悪かったのに、今は信じられないくらいに体調は良くなり、また働きたいとまで思ってしまうくらい元気になった。
「アメリア、昨夜も殿下はアメリアの部屋に泊まっていったのかしら?」
「……はい。」
「毎日、閨を共にするなんて、溺愛されている証拠なのかもしれないけれど、アメリアは寝れているの?体は大丈夫?
あの殿下はお盛んな男だったのねぇ。見た感じはそんな風に見えなかったのに。
辛い時は私に言うのよ?ガツンと言ってあげるから。」
「エリザベス様、いつもご配慮して下さってありがとうございます。」
見た目は儚げで可憐な雰囲気の美少女である妃殿下は、話をしてみると、裏表がなくて親しみの持てる方だった。
妃殿下は、執務の合間に私に会いに来てくれて、こうやってお茶に誘って下さる。
この妃殿下とのお茶の時間は、私の大好きな時間になっていた。
「殿下は私にも嫉妬するくらいアメリアが大好きみたいだけど、あまり重いと嫌われるとは言っておいたわ。」
「ふふっ。殿下がエリザベス様に嫉妬するなんて、面白いお方ですわね。」
殿下とは、いつも朝食と夕食をご一緒させてもらい、夜も一緒のベッドで寝ている。
忙しい殿下とは週に何度か会う程度だと思っていたのに、こんなにも一緒に過ごす時間があるとは思っていなかった。
時間があれば必ず会いに来てくれるし、夜は私にベタベタなのだ。そしてかなりの心配症で、愛妾の私に護衛騎士を付けるほどだった。
後宮から出る機会はほとんどないから、危険なんてないと思うのに、殿下はとても過保護なお方のようだ。
そんな日々を送る私のところに、今はまだ私の義理の両親でもある、バーネット様のお父様とお母様が面会にやって来た。
二人が私に会いたがっていると殿下から知らされた時、私は面会に乗り気ではなかった。
しかしバーネット様と離縁するためにも、義理の両親に伯爵家で何があったのかや、バーネット様の不貞行為を未だに許せないことなど、正直に話しをしてみてはと殿下から勧められた。
確かに、今まで義両親と本音で話をしたことはなかったと思う。
多忙な殿下が、義両親との面会に立ち会うとまで言ってくれたこともあり、私は二人と面会することになる。
「アメリア…、具合が悪くて寝たきりになっていたと聞いた。
元気になったようで、安心したよ。
何も気付かなくて申し訳なかった。」
「話を聞いて、アメリアの顔が見たくなってしまったのよ…。
イアンが貴女に酷いことをしたようね。
申し訳なかったわ。」
二人とも上部だけの謝罪には見えなかった。
本当に辛いというような悲痛な表情をしているからだ。
「アメリアはバーネット伯爵のことで、沢山悩まされてきたようです。
リア…、思っていることを全て二人に話して。」
隣に座る殿下が、優しく私の手を握る。
私を見つめる優しい目と温かい手は、緊張していた私を安心させてくれた。
「お義父様・お義母様、私はバーネット伯爵様と離縁したいと思っております。
あの日、伯爵様の不貞現場を目撃してから、私は伯爵様を信用出来なくなっておりましたし、ずっと婚約解消を望んでおりました。
でも、それは聞き入れてもらえることなく、家族に迷惑を掛けたくない私は、婚約破棄することも出来ずに結婚しました。しかし、結婚した後もずっと離縁したいと考えていたのです。
婚約期間中、他にも何度か私を裏切っていたようですし、私はバーネット伯爵様を許せません。
それに伯爵家では、薬物を盛られて弱った私を、看病するフリをしながら、きちんと治療してくれることはなく、私は死をも覚悟しました。
バーネット伯爵様には不信感しかありませんので、今後、夫婦としてやっていくのは無理だと考えております。
どうか私達の離縁を認めて頂けませんか?」
「まさかイアンとの結婚が、そこまでアメリアを不幸にさせていたなんて知らなかった。
本当にすまない…。」
「……っ。ほ、本当にごめんなさいね。
アメリアには…、幸せになって欲しいと思っていたのにね…。」
泣き出すお義母様と顔色を悪くするお義父様に、殿下は書類を渡している。
「殿下…、これは?」
「これは、バーネット伯爵が騎士団で娼館に行っていたことを証明するために、聞き取り調査したものです。
バーネット伯爵の上官だったハメット卿から話を聞かせてもらえたのですが、そこにも書いてある通り、王都騎士団は遠征先で、上官が部下を引き連れて娼館に行ったり、一晩だけの割り切った付き合いのできる女性を紹介したりというのは日常茶飯事だったようですね。
ハメット卿の話では、部下のバーネット伯爵を可愛がっていたので、よく彼を誘って娼館に行っていたようです。」
「「……。」」
義両親は書類を見て絶句してしまった。
一時は死を覚悟するほどに具合が悪かったのに、今は信じられないくらいに体調は良くなり、また働きたいとまで思ってしまうくらい元気になった。
「アメリア、昨夜も殿下はアメリアの部屋に泊まっていったのかしら?」
「……はい。」
「毎日、閨を共にするなんて、溺愛されている証拠なのかもしれないけれど、アメリアは寝れているの?体は大丈夫?
あの殿下はお盛んな男だったのねぇ。見た感じはそんな風に見えなかったのに。
辛い時は私に言うのよ?ガツンと言ってあげるから。」
「エリザベス様、いつもご配慮して下さってありがとうございます。」
見た目は儚げで可憐な雰囲気の美少女である妃殿下は、話をしてみると、裏表がなくて親しみの持てる方だった。
妃殿下は、執務の合間に私に会いに来てくれて、こうやってお茶に誘って下さる。
この妃殿下とのお茶の時間は、私の大好きな時間になっていた。
「殿下は私にも嫉妬するくらいアメリアが大好きみたいだけど、あまり重いと嫌われるとは言っておいたわ。」
「ふふっ。殿下がエリザベス様に嫉妬するなんて、面白いお方ですわね。」
殿下とは、いつも朝食と夕食をご一緒させてもらい、夜も一緒のベッドで寝ている。
忙しい殿下とは週に何度か会う程度だと思っていたのに、こんなにも一緒に過ごす時間があるとは思っていなかった。
時間があれば必ず会いに来てくれるし、夜は私にベタベタなのだ。そしてかなりの心配症で、愛妾の私に護衛騎士を付けるほどだった。
後宮から出る機会はほとんどないから、危険なんてないと思うのに、殿下はとても過保護なお方のようだ。
そんな日々を送る私のところに、今はまだ私の義理の両親でもある、バーネット様のお父様とお母様が面会にやって来た。
二人が私に会いたがっていると殿下から知らされた時、私は面会に乗り気ではなかった。
しかしバーネット様と離縁するためにも、義理の両親に伯爵家で何があったのかや、バーネット様の不貞行為を未だに許せないことなど、正直に話しをしてみてはと殿下から勧められた。
確かに、今まで義両親と本音で話をしたことはなかったと思う。
多忙な殿下が、義両親との面会に立ち会うとまで言ってくれたこともあり、私は二人と面会することになる。
「アメリア…、具合が悪くて寝たきりになっていたと聞いた。
元気になったようで、安心したよ。
何も気付かなくて申し訳なかった。」
「話を聞いて、アメリアの顔が見たくなってしまったのよ…。
イアンが貴女に酷いことをしたようね。
申し訳なかったわ。」
二人とも上部だけの謝罪には見えなかった。
本当に辛いというような悲痛な表情をしているからだ。
「アメリアはバーネット伯爵のことで、沢山悩まされてきたようです。
リア…、思っていることを全て二人に話して。」
隣に座る殿下が、優しく私の手を握る。
私を見つめる優しい目と温かい手は、緊張していた私を安心させてくれた。
「お義父様・お義母様、私はバーネット伯爵様と離縁したいと思っております。
あの日、伯爵様の不貞現場を目撃してから、私は伯爵様を信用出来なくなっておりましたし、ずっと婚約解消を望んでおりました。
でも、それは聞き入れてもらえることなく、家族に迷惑を掛けたくない私は、婚約破棄することも出来ずに結婚しました。しかし、結婚した後もずっと離縁したいと考えていたのです。
婚約期間中、他にも何度か私を裏切っていたようですし、私はバーネット伯爵様を許せません。
それに伯爵家では、薬物を盛られて弱った私を、看病するフリをしながら、きちんと治療してくれることはなく、私は死をも覚悟しました。
バーネット伯爵様には不信感しかありませんので、今後、夫婦としてやっていくのは無理だと考えております。
どうか私達の離縁を認めて頂けませんか?」
「まさかイアンとの結婚が、そこまでアメリアを不幸にさせていたなんて知らなかった。
本当にすまない…。」
「……っ。ほ、本当にごめんなさいね。
アメリアには…、幸せになって欲しいと思っていたのにね…。」
泣き出すお義母様と顔色を悪くするお義父様に、殿下は書類を渡している。
「殿下…、これは?」
「これは、バーネット伯爵が騎士団で娼館に行っていたことを証明するために、聞き取り調査したものです。
バーネット伯爵の上官だったハメット卿から話を聞かせてもらえたのですが、そこにも書いてある通り、王都騎士団は遠征先で、上官が部下を引き連れて娼館に行ったり、一晩だけの割り切った付き合いのできる女性を紹介したりというのは日常茶飯事だったようですね。
ハメット卿の話では、部下のバーネット伯爵を可愛がっていたので、よく彼を誘って娼館に行っていたようです。」
「「……。」」
義両親は書類を見て絶句してしまった。
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