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新しい生活
義両親
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絶句する義両親に殿下は違う書類も見せる。
「それと、こちらの書類ですが…。アメリアを伯爵家から保護した時の王宮医師団の診断書になります。
アメリアは意識を失い、痩せ細った状態で伯爵家から保護されました。病気ではなく、強い睡眠薬のような薬物を盛られていたのではと医師は話していました。この国では流通していない薬物ではないかとのことです。
……バーネット伯爵は記憶喪失になっている時に、他国にいましたよね?
それに…、あんなに痩せ細り、衰弱して意識のない彼女に、まともな治療をしないなんて普通ならあり得ない。愛する妻があんな風になったなら、普通なら病気や毒を疑って、色々な医師に見せて何とかしようとするはず。
伯爵は何か事情を知っていたから、他所の医師には診察されたくなかったのではと疑われても仕方がないと思います。」
「……本当に申し訳ない。」
「アメリア…、信じられないかもしれないけれど、私たちは貴女を大切に思っていたのよ。
こんなことになってごめんなさいね…。」
「今から伯爵家を本格的に調査するにしても、すでに証拠となるような物は処分されているでしょうし、誰か別の人間を犯人に仕立て上げて捨て駒にも出来るでしょうから、調査は難航するでしょう。
それに、この国にはない薬物となると、我が国で禁止薬物だと指定されていないと思われます。禁止薬物だと指定されていない物を使用しても、罪に問うことが難しいことは理解しているつもりです。
ただ…、このことを全て公にして、離縁の裁判をすることは出来ます。
でも裁判にしたら、バーネット伯爵家の醜聞になりますしリアも深く傷付くでしょう。
私としては、伯爵が今すぐにリアと離縁をしてくれて、今後はリアには近づかないことを約束してくれるなら、このことを公にするつもりはありません。
息子であるバーネット伯爵を、あなた方から説得してもらえませんか?」
殿下は話を優位に進めるために、私の知らないところで色々調べてくれていたのね…。
「分かりました。私達から再度説得してみます。
それと…、アメリアに毒を盛った犯人は、ブライアンを一方的に慕って、体を使って誘惑していた元使用人の女だと伯爵家の使用人達が噂をしておりました。
元使用人の女がアメリアに逆恨みして、金で使用人仲間を買収して、毒を盛らせていたという噂話でしたが、ここまで証拠が揃ってしまうと、その噂話はただの噂でしかなさそうですね。」
力無く話をするお義父様。
「殿下、私達はアメリアを実の娘のように可愛がってきたつもりです。
アメリアをよろしくお願い致します。」
「アメリアには幸せになって欲しいのです。
どうぞよろしくお願い致します。」
真顔になった義両親は、殿下に頭を下げて私の事をお願いしている。
何も知らなかったら、この人達は本当に私を大切に思っていてくれたのだと感じるのだろうけど、私はこの人達のせいでバーネット家に嫁ぐことになったようなものだから、複雑な気持ちになるわね…。
「勿論アメリアは私が大切に守っていきたいと思っています。
しかし…、噂には聞いていましたが、義理の娘であるアメリアをお二人は本当に溺愛しているのですね。」
「アメリアは私達にとって特別ですの。」
「私達が愛した人にそっくりなのですよ。姿形だけでなく、声や癖、所作の全てが。
大切な彼女を失い、私達は暗い日々を送っていましたが、そんな私達に神様はアメリアとの出会いを下さったのです。
私達はアメリアと家族になれて嬉しかったのに、それはアメリアにとっては幸せなことではなかったようですね。
アメリア…、本当に申し訳なかった。君の幸せをずっと祈っているよ。」
「は、はい。お義父様とお義母様、ありがとうございました。」
きっと二人は、私に良く似ていたと言われる亡くなった伯母の話をしているのだと思う。
叔母への執着を、偶然見つけた私に向けたということを言っているように聞こえて、気分のいいものではないわね…。
お義父様もお義母様も優しい口調で話をしているのに、何となくゾクっと寒気がして、お礼の言葉を言うのが精一杯だった。
しかし、殿下は何かが気になったようだった。
「アメリアがお二人の愛した人に似ているということですか。では、バーネット伯爵もその方を知っているのですか?」
「いえ。彼女は学生時代に亡くなったので、ブライアンは彼女に会ったことはありません。
……あ、彼女の肖像画は見ていましたね。」
「そうでしたわね。小さい頃、よくその肖像画をジッと眺めていましたわ。
幼い頃でしたから、ブライアンは覚えていないと思いますが、綺麗なお姫様だなんて言って、子供の頃によく眺めていましたわ。」
亡くなった叔母の肖像画をこの二人は持っていたの?でも私は、伯爵家でそのような絵を見たことはなかったと思う。
「あの…、その肖像画は?まだあるのでしょうか?」
「それは大切な肖像画だから、領地の私達の部屋に大切に保管してあるのよ。アメリアは見たことはないと思うわ。」
「アメリアそっくりの肖像画を、幼い頃の伯爵がよく眺めていたと言うことですか。
それはまた…、何とも…。」
殿下の声が低くくなっている?機嫌が悪くなっているのかしら?
「殿下、私達は息子に離縁するように説得をしてきます。」
「よろしくお願いします。」
義両親は、私に物悲しげに微笑んで帰って行った。
「それと、こちらの書類ですが…。アメリアを伯爵家から保護した時の王宮医師団の診断書になります。
アメリアは意識を失い、痩せ細った状態で伯爵家から保護されました。病気ではなく、強い睡眠薬のような薬物を盛られていたのではと医師は話していました。この国では流通していない薬物ではないかとのことです。
……バーネット伯爵は記憶喪失になっている時に、他国にいましたよね?
それに…、あんなに痩せ細り、衰弱して意識のない彼女に、まともな治療をしないなんて普通ならあり得ない。愛する妻があんな風になったなら、普通なら病気や毒を疑って、色々な医師に見せて何とかしようとするはず。
伯爵は何か事情を知っていたから、他所の医師には診察されたくなかったのではと疑われても仕方がないと思います。」
「……本当に申し訳ない。」
「アメリア…、信じられないかもしれないけれど、私たちは貴女を大切に思っていたのよ。
こんなことになってごめんなさいね…。」
「今から伯爵家を本格的に調査するにしても、すでに証拠となるような物は処分されているでしょうし、誰か別の人間を犯人に仕立て上げて捨て駒にも出来るでしょうから、調査は難航するでしょう。
それに、この国にはない薬物となると、我が国で禁止薬物だと指定されていないと思われます。禁止薬物だと指定されていない物を使用しても、罪に問うことが難しいことは理解しているつもりです。
ただ…、このことを全て公にして、離縁の裁判をすることは出来ます。
でも裁判にしたら、バーネット伯爵家の醜聞になりますしリアも深く傷付くでしょう。
私としては、伯爵が今すぐにリアと離縁をしてくれて、今後はリアには近づかないことを約束してくれるなら、このことを公にするつもりはありません。
息子であるバーネット伯爵を、あなた方から説得してもらえませんか?」
殿下は話を優位に進めるために、私の知らないところで色々調べてくれていたのね…。
「分かりました。私達から再度説得してみます。
それと…、アメリアに毒を盛った犯人は、ブライアンを一方的に慕って、体を使って誘惑していた元使用人の女だと伯爵家の使用人達が噂をしておりました。
元使用人の女がアメリアに逆恨みして、金で使用人仲間を買収して、毒を盛らせていたという噂話でしたが、ここまで証拠が揃ってしまうと、その噂話はただの噂でしかなさそうですね。」
力無く話をするお義父様。
「殿下、私達はアメリアを実の娘のように可愛がってきたつもりです。
アメリアをよろしくお願い致します。」
「アメリアには幸せになって欲しいのです。
どうぞよろしくお願い致します。」
真顔になった義両親は、殿下に頭を下げて私の事をお願いしている。
何も知らなかったら、この人達は本当に私を大切に思っていてくれたのだと感じるのだろうけど、私はこの人達のせいでバーネット家に嫁ぐことになったようなものだから、複雑な気持ちになるわね…。
「勿論アメリアは私が大切に守っていきたいと思っています。
しかし…、噂には聞いていましたが、義理の娘であるアメリアをお二人は本当に溺愛しているのですね。」
「アメリアは私達にとって特別ですの。」
「私達が愛した人にそっくりなのですよ。姿形だけでなく、声や癖、所作の全てが。
大切な彼女を失い、私達は暗い日々を送っていましたが、そんな私達に神様はアメリアとの出会いを下さったのです。
私達はアメリアと家族になれて嬉しかったのに、それはアメリアにとっては幸せなことではなかったようですね。
アメリア…、本当に申し訳なかった。君の幸せをずっと祈っているよ。」
「は、はい。お義父様とお義母様、ありがとうございました。」
きっと二人は、私に良く似ていたと言われる亡くなった伯母の話をしているのだと思う。
叔母への執着を、偶然見つけた私に向けたということを言っているように聞こえて、気分のいいものではないわね…。
お義父様もお義母様も優しい口調で話をしているのに、何となくゾクっと寒気がして、お礼の言葉を言うのが精一杯だった。
しかし、殿下は何かが気になったようだった。
「アメリアがお二人の愛した人に似ているということですか。では、バーネット伯爵もその方を知っているのですか?」
「いえ。彼女は学生時代に亡くなったので、ブライアンは彼女に会ったことはありません。
……あ、彼女の肖像画は見ていましたね。」
「そうでしたわね。小さい頃、よくその肖像画をジッと眺めていましたわ。
幼い頃でしたから、ブライアンは覚えていないと思いますが、綺麗なお姫様だなんて言って、子供の頃によく眺めていましたわ。」
亡くなった叔母の肖像画をこの二人は持っていたの?でも私は、伯爵家でそのような絵を見たことはなかったと思う。
「あの…、その肖像画は?まだあるのでしょうか?」
「それは大切な肖像画だから、領地の私達の部屋に大切に保管してあるのよ。アメリアは見たことはないと思うわ。」
「アメリアそっくりの肖像画を、幼い頃の伯爵がよく眺めていたと言うことですか。
それはまた…、何とも…。」
殿下の声が低くくなっている?機嫌が悪くなっているのかしら?
「殿下、私達は息子に離縁するように説得をしてきます。」
「よろしくお願いします。」
義両親は、私に物悲しげに微笑んで帰って行った。
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