巻き戻り令嬢は長生きしたい。二度目の人生はあなた達を愛しません

せいめ

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二度目の話

進路

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 朝食後、休日ということもあり、のんびり本を読んでいるとドアがノックされる。

「はい。」

「アナ…、少しいいか?」

 お義兄様だったのね。
 そういえば、何となく気まずくて話をしていなかったわ。

「はい。」

「昨日は、アナが私のクラスまで来てくれたと聞いた。
 せっかく来てくれたのに悪かったな。」

 その話をしに来たのね…

「いえ。気になさらないで下さい。
 私よりも、お義兄様の大切な方と一緒に過ごす時間を優先して下さいね。」

「…大切な人?何のことだ?
 それよりも、昨日は驚いた。まさかブレア公爵家があそこまでアナに接触してくるとは思わなかった。
 学園にアナだけで来るのは危険なのかもしれないな。」

 上手く誤魔化されてしまったわ。
 お義兄様も、あの男のように秘密の恋ということなのかしら?
 男性って、女性よりも自由な恋愛を認められていて羨ましいわ…

「…アナ?」

「そうですわね…。私はもうお義兄様の学園の行事には行かない方が良さそうですわ。」

 もうお義兄様の行事には行くのはやめる。
 学園に行くと死神が出没するし、お義兄様の秘密の恋人に会ってしまうかもしれない。
 ブラコンを拗らせ中の私は、お義兄様の恋人を見るのはまだ辛い。でも、お義兄様の幸せが最優先だから、私はお義兄様を応援するようにしたい。

「アナ、何を言ってるんだ?」

「昨日のことで少し疲れてしまっているので、そろそろよろしいでしょうか?」

「…すまなかったな。」


 お義兄様が出て行った後、私は自分の今後について考えていた。

 ブレア公爵令息と王太子殿下は、一度目の時と何かが違う気がする。
 私が違った動きをしているからか、一度目の時とは違うことが多すぎて、ある意味で怖いし、あの二人とは関わりたくない!
 何より、私は避けようとしても向こうから話しかけてくるし、私より身分の高い死神達を無視するのは無理。
 茶会とこれからデビューする夜会なんかは、大勢の中に紛れて隠れるようにするにしても、この前のようにブレア公爵家に直接招待されてしまったら、かなりキツいわね…。

 一番の問題は、私が貴族学院に入学してからね。
 王太子殿下もブレア公爵令息も、三年生に在籍しているから行きたくない。
 学年が違っても顔を合わせる機会はあるし、殿下は分からないけど、ブレア公爵令息は会ったら話しかけて来るかもしれない。

 どうする…?

 私が学園に入学するまであと二年を切っている。学園に行かないことが一番なのよ。
 でも貴族の子女は、貴族学園に行かなければならないのよね…。
 行かなくても良い方法はないかしら?
 せめて、死神二人が卒業するまでの一年でいいから行きたくない。

 その時私は、ある人物を思い出した。
 
 その令嬢は外交官の家門のクラーク伯爵令嬢という人物で、他国の貴族学園から二年生になる時に転校して来た御令嬢だ。
 外国での生活が長いせいか、サバサバした性格で、王太子殿下の婚約者だった私にも媚を売ることなく、自然に接してくれるいい人だったのよ。
 
 クラーク伯爵令嬢は確か、マニー国に住んでいたと言っていた。
 王妃教育で、マニー語が難しくて困っている話をしたら、学習に付き合ってくれたりしたのよね。
 マニー国は、我が国よりも医療も経済も進んでいる国で、うちの侯爵家でもマニー国の貴族との取引があったはず……

 一年でいいから留学したい!

 留学している間に、殿下の婚約者が決まるだろうし、お茶会に行かなくて済むからラッキーよ。

 とりあえず、留学のことを両親に頼んでみて、留学に必要な学問をガリ勉して頑張ってみようか。

 そうと決めたら、マニー語を勉強し直したいと考え、ひたすらガリ勉をする私。
 急にやる気になった私を家庭教師の先生方が驚いていたが、やる気に満ち溢れた私に協力してくれることになった。



「アナ。家庭教師の先生方から話は聞いた。
 アナが一生懸命勉強を頑張っていて、アナの学力は貴族学園よりも高いレベルだと先生方は話しておられたよ。
 お父様もお母様も、とっても嬉しかった。」

「少し前までは、勉強をサボろうとしたり、邸を抜け出そうとしたりして困ったこともあったけど、アナが変わってくれて嬉しいわ。」

 うちの両親は、家庭教師の先生とお義兄様の話だけは信じるのよね。

「ありがとうございます。」

「それで…、家庭教師の先生方からアナはマニー国に留学したがっていると聞いた。
 確かにマニー国は我が国よりも進んでいるし、治安も良いらしいから、留学するにはいい国だとは思う。
 しかしアナは令嬢だから、留学なんてしないで、将来の伴侶探しの方を頑張って欲しいと思ってしまうんだ。」

 やはり、うちの両親が結婚第一主義なところは変わらないのね…。

「アナ…。実は昨日のお茶会で、ブレア公爵夫人にお会いしたから、私からこの前のことのお礼をお伝えしてきたわ。
 ブレア公爵夫人は、アナを気に入ってくれているみたいでね…、今度またアナに遊びに来て欲しいとおっしゃっていたわ。
 公爵令息に迎えに行かせるから、ぜひ遊びに来て欲しいとまでおっしゃっていたのよ。
 ブレア公爵令息が縁談相手だったら最高よね!」

 
 どうして…。関わりたくなくても、死神からは逃れられないの?

 
 私は、自分の血の気が引いていくのが分かった。



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