巻き戻り令嬢は長生きしたい。二度目の人生はあなた達を愛しません

せいめ

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二度目の話

アーサーの活躍

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 暗殺者が邸に来た次の日、私はお父様に執務室に呼び出される。
 そこには、お母様とお義兄様の姿もあった。


「アナ。今、世間でお前は暗殺者に襲われて、大怪我をしたということになっている。」

「お父様。それはどういう流れでそうなったのでしょう?」

「王太子殿下やルークと相談して決めたことだ。
 アナが暗殺者に襲われて大怪我をしたと聞けば、大抵の者は、アナは傷物になってしまって、社交や結婚をすることは困難だと感じるはず。殿下の婚約者にもなれないだろうと、誰もが思うだろう。」

「暗殺者を仕向けた犯人を油断させるためですか…。」

「そういうことだ。アナは大怪我を負ってしまったが、暗殺者はうちの騎士達が倒したということにした。
 アナが大怪我をしているので、隣国の王子殿下と王女殿下の歓迎会にはうちは欠席することにする。
 王太子殿下も了承済みだ。」


 確かにそれはいい作戦かもしれないけど…


「お父様。暗殺者が一人も帰って来なかったら、犯人は私がどのような状態でいるのかを確認するために、また別の暗殺者を送ってくるか、誰かを偵察に寄越すのでは?」

「その可能性はあるから、アナはベッドにでも潜っていてくれ。」

「はい?」

 そんな適当でいいの?私の命がかかっているのに!

 しかしこの後、すごい話を聞くことになる。


「アナ。今回、うちの騎士達や暗部の人間がとにかく頑張ってくれたんだよ。
 特にアーサーは凄かった。」


 お義兄様が珍しくアーサーを褒めている。


「アーサーがですか?」


 アーサーと聞いて声が弾む私。


「ああ。アーサーは素晴らしい騎士だ。」

「アナが見つけたアーサーは凄かったけど、ルークの作戦が上手くいったのもあるわよ。」


 お母様がお義兄様の活躍を嬉しそうに話し出す。


 その話によると、お義兄様は必ず暗殺者は邸に来るであろうと予想して、騎士や暗部の人間を邸や敷地内に沢山潜ませておいたのだが、暗殺者を生捕りにするために、騎士達の剣や暗部の人間の使う吹き矢に、即効性の痺れ薬を塗って、暗殺者の生捕りに成功したらしいのだ。

 その痺れ薬は即効性はあるが、命に関わるものではなく、数時間経つと薬の効果が切れるもので、お義兄様がマニー国のアカデミーで開発したものらしい。

 暗殺者に初めて使用してみて、効果が証明されて嬉しかったと話すお義兄様は、ちょっぴり怖いと感じてしまった。

 やはりお義兄様は凄いわね…


 しかし、それよりも驚いたのは…


「アーサーは、暗殺者を素早く倒してくれた。致命傷を負わせないように斬りつけて、上手く生捕りしてくれたんだ。
 実はその暗殺者の中に、アーサーが孤児院で友達だったという人物がいた。
 今アーサーは、その人物を説得しているよ。」


 孤児院の友達…?
 やはりアーサーが暗殺者にならなくても、別の孤児が暗殺者集団の犠牲になっていたってことなのね。
 これはこれで胸が痛むわね。


「アーサーが説得ですか?何を説得するのです?」

「暗殺者のアジトには、暗殺を依頼してきた者と暗殺者集団のボスが交わした契約書みたいな物が必ずあるはずだ。
 暗殺者集団は依頼主から裏切られて、自分達だけが罪を着せられないように、依頼主をきちんと調べた上で、契約書を交わしているはず。相手が誰か分からない者からの依頼は絶対に受けない。
 だからその契約書は、暗殺者を仕向けた犯人の証拠になる。
 その契約書を手に入れるために、協力してもらえないかの説得をアーサーがしているのだ。」


 友人のアーサーに説得させるのはいいかもしれないけれど、なかなか難しそうだわ。


「説得は上手くいくでしょうか?
 暗殺者になっている以上は、失敗したら死ねと命令されているでしょうし、任務が失敗したことで暗殺者のボスに命を狙われる危険がありますよね?」

「その通りだ。だから今回捕らえた暗殺者達には、私達に寝返ってくれるなら、侯爵家で雇ってやってもいいと話をしている。
 暗殺者集団のボスを消したいなら、私達が協力するつもりであることも伝えさせてもらった。
 ボスを消さない限り、あの者達は命を狙われるだろうからな。」

「暗殺者組織の壊滅を狙うってことですね?
 孤児を狙うような組織ですから、そうしてくれると助かります。」



 その後、アーサーは孤児院の友達だった暗殺者の説得に成功したようだった。



 暗殺者集団のアジトに踏み込んだ、アーサーと手練れの騎士達、こちら側についてくれることになった元暗殺者達は組織の壊滅に成功し、暗殺組織のボスを生捕りにして帰ってきた。
 アーサーは、暗殺の依頼主のサインが入った契約書の回収に成功したのである。


 


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