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二度目の話
断罪
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「デイジー。愛しています!
このまま…ずっと貴女といたいっ。」
「ああっ…!私もよ。
エリオット…、愛してる!」
ベッドの軋む音と二人の盛り上がる声が聞こえる中、王太子殿下が声を掛ける。
「フロスト卿。こんな所に娼婦を連れ込んで、仕事をサボっていてはダメではないか!
これはこれは…、娼婦ではなく王女殿下でしたか。」
「…キャー!
お、王太子殿下、見ないで下さいませ!」
「……殿下、どうして?
コールマン侯爵令嬢?怪我をしたのでは?」
盛り上がっていた二人は、殿下や私達がいることに気付き、慌て出す。
「殿下、お助け下さいませ!
私はフロスト卿に薬を盛られてしまったようで…」
「なっ…!デイジー、何てことを!私を愛していると言ってくれていたではないか。」
二人はあっさり仲間割れしたようだった。
「デイジー。貴女は外遊で、我が国の恥を晒しに来たのかしら?
一国の王女なのだから考えて行動するようにと、私は何度も貴女に言いましたが、相変わらず殿方を弄ぶ悪い癖は治らないようね!
どうせフロスト卿にも、〝私は側妃の娘で虐められているの〟とでも言って泣き真似をして迫ったのでしょ?」
第二王女殿下の姉である大公妃殿下が、静かにキレている。
凄い迫力だわ。
「デイジー…、君は…、私を騙したのか?」
信じられないと言った表情をするフロスト卿に、隣国の王子殿下が静かに口を開く。
「フロスト卿。妹はそうやって、我が国の貴族子息を何人も誘惑しては、何組もの婚約を壊してきたのだ。
次に何か問題を起こしたら、幽閉されることに決まっている。
父である国王がいくらデイジーを庇っても、我が国の四大公爵家がもう黙ってはいない。
王太子殿下に媚薬を盛ろうとしたことや、王太子殿下の婚約者候補を暗殺しようとしたことは、すでに母国には知らせてある。」
「え……、なぜ?
あっ!お姉様とお兄様が私を陥れようとしたのね。
王太子殿下、お助け下さいませ。
私が国王から溺愛されているからと、こうやって他の兄妹達から嫌がらせをされているのですわ。
全部、姉や兄の嘘です。騙されないで下さいませ!」
凄いわ!ここまでボロクソに言われているのに、あんなに堂々としていられるなんて。
しかも布団に包まっているとはいえ裸でいるのに。
色々と凄すぎる王女様だったのね。黙っていれば、清純派の美女なのに…。
「フロスト侯爵家が贔屓にしていた暗殺者組織からは、王女殿下が暗殺を依頼した時に交わした契約書が見つかった。
王女殿下のサインが残っていたし、暗殺者組織のボスが、依頼人は我が国では珍しいピンクの瞳に、外国人特有の訛りがあったと言っていた。」
殿下は、助けを求める王女殿下に冷たい視線を向けて、淡々と話し出す。
「……ウソよ。」
「フロスト卿が暗殺者組織を王女殿下に紹介したことも分かっている。
しかしフロスト侯爵家は、随分とあの暗殺者組織の常連だったらしいな。
暗殺者組織のアジトからは、フロスト侯爵が依頼した暗殺の契約書が多数見つかったらしいぞ。
…だよな?コールマン侯爵令息。」
「ええ。我が家門の方で、フロスト侯爵家と暗殺者組織の関係について調べさせてもらいましたが、ここまで真っ黒だとは思ってなかったので、正直驚きましたよ。
私の可愛い義妹を危険に晒したのですから、罪はしっかり償って欲しいと思っております。」
ブルっ…!お義兄様から冷気が放たれているわ…
「今頃、王宮騎士団がフロスト侯爵を拘束しているだろう。」
「………。」
王太子殿下の言葉を聞いて、フロスト卿はガックリと項垂れてしまった。
その後、隣国の王子殿下と王女殿下は、急遽予定を変更して帰国することになる。
王女殿下が今後二度と国外に出ることはないだろし、戻ったらすぐに幽閉されるだろうと兄の王子殿下が話していたのだが…
「デイジーが無事に王都に戻ることが出来ればの話ですが…」
王子殿下が最後に放った、意味深な言葉が恐ろしく感じた。
このまま…ずっと貴女といたいっ。」
「ああっ…!私もよ。
エリオット…、愛してる!」
ベッドの軋む音と二人の盛り上がる声が聞こえる中、王太子殿下が声を掛ける。
「フロスト卿。こんな所に娼婦を連れ込んで、仕事をサボっていてはダメではないか!
これはこれは…、娼婦ではなく王女殿下でしたか。」
「…キャー!
お、王太子殿下、見ないで下さいませ!」
「……殿下、どうして?
コールマン侯爵令嬢?怪我をしたのでは?」
盛り上がっていた二人は、殿下や私達がいることに気付き、慌て出す。
「殿下、お助け下さいませ!
私はフロスト卿に薬を盛られてしまったようで…」
「なっ…!デイジー、何てことを!私を愛していると言ってくれていたではないか。」
二人はあっさり仲間割れしたようだった。
「デイジー。貴女は外遊で、我が国の恥を晒しに来たのかしら?
一国の王女なのだから考えて行動するようにと、私は何度も貴女に言いましたが、相変わらず殿方を弄ぶ悪い癖は治らないようね!
どうせフロスト卿にも、〝私は側妃の娘で虐められているの〟とでも言って泣き真似をして迫ったのでしょ?」
第二王女殿下の姉である大公妃殿下が、静かにキレている。
凄い迫力だわ。
「デイジー…、君は…、私を騙したのか?」
信じられないと言った表情をするフロスト卿に、隣国の王子殿下が静かに口を開く。
「フロスト卿。妹はそうやって、我が国の貴族子息を何人も誘惑しては、何組もの婚約を壊してきたのだ。
次に何か問題を起こしたら、幽閉されることに決まっている。
父である国王がいくらデイジーを庇っても、我が国の四大公爵家がもう黙ってはいない。
王太子殿下に媚薬を盛ろうとしたことや、王太子殿下の婚約者候補を暗殺しようとしたことは、すでに母国には知らせてある。」
「え……、なぜ?
あっ!お姉様とお兄様が私を陥れようとしたのね。
王太子殿下、お助け下さいませ。
私が国王から溺愛されているからと、こうやって他の兄妹達から嫌がらせをされているのですわ。
全部、姉や兄の嘘です。騙されないで下さいませ!」
凄いわ!ここまでボロクソに言われているのに、あんなに堂々としていられるなんて。
しかも布団に包まっているとはいえ裸でいるのに。
色々と凄すぎる王女様だったのね。黙っていれば、清純派の美女なのに…。
「フロスト侯爵家が贔屓にしていた暗殺者組織からは、王女殿下が暗殺を依頼した時に交わした契約書が見つかった。
王女殿下のサインが残っていたし、暗殺者組織のボスが、依頼人は我が国では珍しいピンクの瞳に、外国人特有の訛りがあったと言っていた。」
殿下は、助けを求める王女殿下に冷たい視線を向けて、淡々と話し出す。
「……ウソよ。」
「フロスト卿が暗殺者組織を王女殿下に紹介したことも分かっている。
しかしフロスト侯爵家は、随分とあの暗殺者組織の常連だったらしいな。
暗殺者組織のアジトからは、フロスト侯爵が依頼した暗殺の契約書が多数見つかったらしいぞ。
…だよな?コールマン侯爵令息。」
「ええ。我が家門の方で、フロスト侯爵家と暗殺者組織の関係について調べさせてもらいましたが、ここまで真っ黒だとは思ってなかったので、正直驚きましたよ。
私の可愛い義妹を危険に晒したのですから、罪はしっかり償って欲しいと思っております。」
ブルっ…!お義兄様から冷気が放たれているわ…
「今頃、王宮騎士団がフロスト侯爵を拘束しているだろう。」
「………。」
王太子殿下の言葉を聞いて、フロスト卿はガックリと項垂れてしまった。
その後、隣国の王子殿下と王女殿下は、急遽予定を変更して帰国することになる。
王女殿下が今後二度と国外に出ることはないだろし、戻ったらすぐに幽閉されるだろうと兄の王子殿下が話していたのだが…
「デイジーが無事に王都に戻ることが出来ればの話ですが…」
王子殿下が最後に放った、意味深な言葉が恐ろしく感じた。
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