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二度目の話
戻った日常
暗殺の件が落ち着いた私は、学園にも復学することになった。
学園の友人達には、私が暗殺者に狙われて大怪我をしたという噂で、かなり心配をかけてしまっていたようだった。
「ねぇ!アナが学園で暗殺者に襲われそうになった時に、ミルズ先生が助けてくれたって本当?」
やはり、その話に行き着くのね…
「ミルズ先生が助けてくれたわ…
先生は私の命の恩人よ。」
「まあ!やっぱりミルズ先生は素敵ね。」
「ますますファンになってしまうわー!」
「アナも、ミルズ先生のファンになりなさいよ!」
みんな若すぎるわ…
「ファンではなくて、命の恩人として尊敬していくことに決めたわよ。」
「アナもブレないわね。」
今更、『ミルズ先生~!』なんて騒げないわ。
そんな私は、久しぶりの教科係の仕事をするためにミルズ先生の所にやって来た。
「ミルズ先生。あの日は、助けて下さってありがとうございました。
先生のお陰で命拾いしました。」
「……。」
なぜか険しい表情で見つめてくるミルズ先生だった。
私、何か良くないこと言ってしまった?
「…ミルズ先生?」
「……すまないな。
あの日、私が君に居残りをさせて帰りが遅くなってしまったから、君を危険な目に合わせてしまった。
申し訳なかった。
あの後、君が大怪我をしたとか噂になっていて、ずっと心配していた。
無事で良かった…。」
どうやら、ミルズ先生は冷たそうに見えて、かなりの心配性だったらしい。こういう一面が、この学園の令嬢達の心を掴んでいるのかもしれないわね。
「先生。詳しくお話は出来ませんが、あの日、先生に居残りを頼まれたから、私は助かったのだと思います。
あの時、先生がいてくれて心強かったです。
私、命の恩人である先生に、これからもついて行きます!
これからもよろしくお願いします。」
「……君は優しいな。
そんな風に言ってもらえるなんて思っていなかった。
私は…、君から教科係を辞めたいと言われることも覚悟していた。」
「いえ!尊敬するミルズ先生の教科係はこれらも頑張ることに決めました。」
「…ふっ!そうか。
では、これからも君にお願いするよ。」
あ…、その笑顔が皆んなが騒いでいた噂の笑顔ね。
「はい。またよろしくお願い致します。」
教科係なんて、面倒だから本当はやりたくないけど、ミルズ先生は命の恩人だから恩返しよ。
そして、私が王太子殿下の婚約者候補を辞退したという噂はあっと言う間に広がっていったようだった。
「アナ。殿下の婚約者候補を辞退したと世間に知れ渡った途端に、縁談の話が沢山きている。
私としては、学生のうちに婚約者を決めておきたいと思っているんだ。
どうする…?」
お父様とお母様に呼び出された私は、縁談話について聞かれていた。
「そうですよね…。
結婚はしたいと思ってはいますが、これと言った人がいないのです。
誰か無難そうな人がいればいいのですが。」
「アナはまだ若いのに、あまり恋愛や結婚に夢がないわね。
貴族は政略結婚が多いから、夢ばかりを見られても困るけど、アナは冷めすぎよ。
王太子殿下の婚約者候補も辞めてしまうし…。
殿下とは仲が良いとまで言われていたのに、勿体ない。」
お母様は、殿下との婚約に割と前向きだったのよね。
「殿下とは良い友人になれましたわ。
これからは、臣下としてお支えしていくということになりました。
私みたいな性格では、国母は無理ですわ。
ただ殿下が好きだとか、王妃になりたいとか、それだけの気持ちでなれるものではないのです。
国を背負う覚悟は私にはありませんし、私では能力不足ですわ。」
「そう…。アナは抜けているようで、大人になったのね。」
「しかし、いつまでもいい人がいないと言って決めないと、行き遅れてしまうぞ。
令息よりも令嬢は早めに決めないと、いい人が居なくなってしまうからな。」
「分かっていますわ。このままいい人が見つからないなら、お義兄様の友人でも紹介してもらいます。
お義兄様の選んだ方なら間違いはないと思いますから。」
「アナはルークが決めた相手ならいいということだな?」
「それで良いのね?」
お父様もお母様も、そんな真顔で念を押さなくても…。
「ええ。お義兄様を信頼していますから。」
そんな親子の会話をした数日後に、またブレア公爵家から使者がやって来たらしい。
「アナ。ブレア公爵家から、また縁談の話がきている。
直ぐに決めなくてもいいから、せめてお茶会に来て欲しいと言っていた。」
「最近は婚約を決める前に、何度か二人で会ってから決める人も珍しくはないみたいね。
お茶会で他の夫人方がよくそんなことを話しているわよ。
ブレア公爵令息はいい人みたいだし、お茶くらいはご一緒してもいいと思うけど…。
アナだって前と違って、今は少しだけ大人になったのだから平気でしょ?」
お母様は、私が前にブレア公爵令息を毛嫌いしていたのは、まだ精神的に未熟で子供だったからと思っているようだ。
このままでは良くないのは知っているのよ。
前に進むためには……
「分かりました。そのお茶会に行きますわ。」
私はブレア公爵令息と話をしてみようと思った。
学園の友人達には、私が暗殺者に狙われて大怪我をしたという噂で、かなり心配をかけてしまっていたようだった。
「ねぇ!アナが学園で暗殺者に襲われそうになった時に、ミルズ先生が助けてくれたって本当?」
やはり、その話に行き着くのね…
「ミルズ先生が助けてくれたわ…
先生は私の命の恩人よ。」
「まあ!やっぱりミルズ先生は素敵ね。」
「ますますファンになってしまうわー!」
「アナも、ミルズ先生のファンになりなさいよ!」
みんな若すぎるわ…
「ファンではなくて、命の恩人として尊敬していくことに決めたわよ。」
「アナもブレないわね。」
今更、『ミルズ先生~!』なんて騒げないわ。
そんな私は、久しぶりの教科係の仕事をするためにミルズ先生の所にやって来た。
「ミルズ先生。あの日は、助けて下さってありがとうございました。
先生のお陰で命拾いしました。」
「……。」
なぜか険しい表情で見つめてくるミルズ先生だった。
私、何か良くないこと言ってしまった?
「…ミルズ先生?」
「……すまないな。
あの日、私が君に居残りをさせて帰りが遅くなってしまったから、君を危険な目に合わせてしまった。
申し訳なかった。
あの後、君が大怪我をしたとか噂になっていて、ずっと心配していた。
無事で良かった…。」
どうやら、ミルズ先生は冷たそうに見えて、かなりの心配性だったらしい。こういう一面が、この学園の令嬢達の心を掴んでいるのかもしれないわね。
「先生。詳しくお話は出来ませんが、あの日、先生に居残りを頼まれたから、私は助かったのだと思います。
あの時、先生がいてくれて心強かったです。
私、命の恩人である先生に、これからもついて行きます!
これからもよろしくお願いします。」
「……君は優しいな。
そんな風に言ってもらえるなんて思っていなかった。
私は…、君から教科係を辞めたいと言われることも覚悟していた。」
「いえ!尊敬するミルズ先生の教科係はこれらも頑張ることに決めました。」
「…ふっ!そうか。
では、これからも君にお願いするよ。」
あ…、その笑顔が皆んなが騒いでいた噂の笑顔ね。
「はい。またよろしくお願い致します。」
教科係なんて、面倒だから本当はやりたくないけど、ミルズ先生は命の恩人だから恩返しよ。
そして、私が王太子殿下の婚約者候補を辞退したという噂はあっと言う間に広がっていったようだった。
「アナ。殿下の婚約者候補を辞退したと世間に知れ渡った途端に、縁談の話が沢山きている。
私としては、学生のうちに婚約者を決めておきたいと思っているんだ。
どうする…?」
お父様とお母様に呼び出された私は、縁談話について聞かれていた。
「そうですよね…。
結婚はしたいと思ってはいますが、これと言った人がいないのです。
誰か無難そうな人がいればいいのですが。」
「アナはまだ若いのに、あまり恋愛や結婚に夢がないわね。
貴族は政略結婚が多いから、夢ばかりを見られても困るけど、アナは冷めすぎよ。
王太子殿下の婚約者候補も辞めてしまうし…。
殿下とは仲が良いとまで言われていたのに、勿体ない。」
お母様は、殿下との婚約に割と前向きだったのよね。
「殿下とは良い友人になれましたわ。
これからは、臣下としてお支えしていくということになりました。
私みたいな性格では、国母は無理ですわ。
ただ殿下が好きだとか、王妃になりたいとか、それだけの気持ちでなれるものではないのです。
国を背負う覚悟は私にはありませんし、私では能力不足ですわ。」
「そう…。アナは抜けているようで、大人になったのね。」
「しかし、いつまでもいい人がいないと言って決めないと、行き遅れてしまうぞ。
令息よりも令嬢は早めに決めないと、いい人が居なくなってしまうからな。」
「分かっていますわ。このままいい人が見つからないなら、お義兄様の友人でも紹介してもらいます。
お義兄様の選んだ方なら間違いはないと思いますから。」
「アナはルークが決めた相手ならいいということだな?」
「それで良いのね?」
お父様もお母様も、そんな真顔で念を押さなくても…。
「ええ。お義兄様を信頼していますから。」
そんな親子の会話をした数日後に、またブレア公爵家から使者がやって来たらしい。
「アナ。ブレア公爵家から、また縁談の話がきている。
直ぐに決めなくてもいいから、せめてお茶会に来て欲しいと言っていた。」
「最近は婚約を決める前に、何度か二人で会ってから決める人も珍しくはないみたいね。
お茶会で他の夫人方がよくそんなことを話しているわよ。
ブレア公爵令息はいい人みたいだし、お茶くらいはご一緒してもいいと思うけど…。
アナだって前と違って、今は少しだけ大人になったのだから平気でしょ?」
お母様は、私が前にブレア公爵令息を毛嫌いしていたのは、まだ精神的に未熟で子供だったからと思っているようだ。
このままでは良くないのは知っているのよ。
前に進むためには……
「分かりました。そのお茶会に行きますわ。」
私はブレア公爵令息と話をしてみようと思った。
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