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ダンス
旦那様にエスコートされて夜会の会場に入った瞬間、会場内が騒つくのが分かった。
義理の妹に毒を盛られたことで、王太子殿下との婚約を解消し、王命でシールズ公爵と結婚した後、ずっと療養していた私が久しぶりに夜会に来たのだから、これは予想通りの反応だった。
「アリエル。人が多くて気分が悪くなった時は、我慢せずに私に言ってくれ。
陛下には許可を取っているから、すぐに帰っても大丈夫なんだ」
確かに国王陛下主催の夜会だから、来ている人が多くて人に酔いそう。
でも、この日のためにダンスの練習を頑張ってきたのよ。旦那様は素敵なドレスを贈ってくれたし、アンナ達は私が少しでも美しくなれるようにと、マッサージやトリートメントを毎日してくれた。
だからこれくらい大丈夫! 私は強くなると決めたのだから。
「旦那様、私は大丈夫です。
早く社交に慣れたいと思っているので、これくらいは平気ですわ」
「そうか……。君がそう言うなら、私は黙って見守るようにするよ。
でも無理はしないでくれよ」
「はい。分かっておりますわ」
私が心細くならないようにと配慮してくれているのか、旦那様はずっと私の隣にいてくれたのだった。
ふと夜会にいる人々を見ていると、私達をチラチラと見ている人が沢山いることに気がつく。
「みんな私達が気になるようだ。
よほど親しい友人や親族でない限りは、身分が低い者から声を掛けることが出来ないからな。今日は公爵という身分が役に立って嬉しいよ」
「そうですね。しかし旦那様、もし旦那様の友人や親族の方とお話がしたいという時は私に遠慮せずに、話をしてきて下さいね」
「それは必要ない。今日はアリエルと参加する初めての夜会なんだ。そんな嬉しい日に、わざわざ他の人物と話をしたいとは思わない」
これは本心で言っているのかしら?
……真に受けてはいけないわ。ずっと引きこもっていた出来損ないの妻が、やっと人並みに社交が出来るようになったということを喜んでいるだけなのかもしれないのだから。
公爵夫人が社交が出来ないなんて、恥でしかないもの。
夜会が始まる時間になると、国王陛下と王妃殿下、王太子殿下と弟の王子殿下が入場してくる。
記憶を失っている私からすると、王太子殿下以外の王族は初めて見る人たちだった。
国王陛下が挨拶して乾杯をした後、陛下と王妃殿下のダンスが始まる。
皆に注目される中、お二人のダンスはため息が出そうなほど完璧だった。
「素敵なダンスですわ。
沢山の人が見ている中で、あんな完璧なダンスを踊るお二人に敬服いたします」
「ああ。お二人のダンスはとても素晴らしい。
でも……、君のダンスも素敵だったんだ……」
旦那様は前の私のことを思い出しているのかしら?
以前の私は王太子殿下の婚約者だったのだから、ダンスはそこそこ踊れていたのかもしれない。
「……そうでしたか。今はこんな私で申し訳ありません」
「アリエル、私はそんなつもりで言ったのではない。
ふと思い出しただけで、深い意味はないんだ」
「ええ、分かっております」
陛下と王妃殿下のダンスが終わると、会場内は陛下に挨拶をしに行く貴族とダンスを踊る貴族に分かれる。
「アリエル、今は陛下が沢山の人に囲まれているから、私達はもう少ししたら挨拶にいこう」
「はい。分かりました」
その時、旦那様は私に微笑むと手を差し出してくる。
「アリエル……、私と踊って頂けますか?」
「はい。喜んで」
旦那様と初めて踊るダンスは、緊張からか胸がドクドクしてしまった。
でも旦那様はダンスがお上手のようで、とても踊りやすい。
「アリエル。君とこうやってダンスを踊れる私はとても幸せだ」
「ありがとうございます。
私も今日は旦那様と夜会に参加して、ダンスまで踊っていただけたことを嬉しく思っていますわ」
「……アリエル。私は君の夫なのだから、一緒に夜会に来てダンスを踊ることは当たり前だ」
「ふふっ、そうですね」
旦那様とは二曲続けてダンスを踊る。初めはあんなに緊張していたのに、終わった時は楽しい気分になっていた。
その時、良い気分でいた私を呼ぶ声が聞こえてくる。
「アリー、来ていたのか!」
踊り終わったタイミングで私に話しかけて来たのは、私の両親と兄だった……
義理の妹に毒を盛られたことで、王太子殿下との婚約を解消し、王命でシールズ公爵と結婚した後、ずっと療養していた私が久しぶりに夜会に来たのだから、これは予想通りの反応だった。
「アリエル。人が多くて気分が悪くなった時は、我慢せずに私に言ってくれ。
陛下には許可を取っているから、すぐに帰っても大丈夫なんだ」
確かに国王陛下主催の夜会だから、来ている人が多くて人に酔いそう。
でも、この日のためにダンスの練習を頑張ってきたのよ。旦那様は素敵なドレスを贈ってくれたし、アンナ達は私が少しでも美しくなれるようにと、マッサージやトリートメントを毎日してくれた。
だからこれくらい大丈夫! 私は強くなると決めたのだから。
「旦那様、私は大丈夫です。
早く社交に慣れたいと思っているので、これくらいは平気ですわ」
「そうか……。君がそう言うなら、私は黙って見守るようにするよ。
でも無理はしないでくれよ」
「はい。分かっておりますわ」
私が心細くならないようにと配慮してくれているのか、旦那様はずっと私の隣にいてくれたのだった。
ふと夜会にいる人々を見ていると、私達をチラチラと見ている人が沢山いることに気がつく。
「みんな私達が気になるようだ。
よほど親しい友人や親族でない限りは、身分が低い者から声を掛けることが出来ないからな。今日は公爵という身分が役に立って嬉しいよ」
「そうですね。しかし旦那様、もし旦那様の友人や親族の方とお話がしたいという時は私に遠慮せずに、話をしてきて下さいね」
「それは必要ない。今日はアリエルと参加する初めての夜会なんだ。そんな嬉しい日に、わざわざ他の人物と話をしたいとは思わない」
これは本心で言っているのかしら?
……真に受けてはいけないわ。ずっと引きこもっていた出来損ないの妻が、やっと人並みに社交が出来るようになったということを喜んでいるだけなのかもしれないのだから。
公爵夫人が社交が出来ないなんて、恥でしかないもの。
夜会が始まる時間になると、国王陛下と王妃殿下、王太子殿下と弟の王子殿下が入場してくる。
記憶を失っている私からすると、王太子殿下以外の王族は初めて見る人たちだった。
国王陛下が挨拶して乾杯をした後、陛下と王妃殿下のダンスが始まる。
皆に注目される中、お二人のダンスはため息が出そうなほど完璧だった。
「素敵なダンスですわ。
沢山の人が見ている中で、あんな完璧なダンスを踊るお二人に敬服いたします」
「ああ。お二人のダンスはとても素晴らしい。
でも……、君のダンスも素敵だったんだ……」
旦那様は前の私のことを思い出しているのかしら?
以前の私は王太子殿下の婚約者だったのだから、ダンスはそこそこ踊れていたのかもしれない。
「……そうでしたか。今はこんな私で申し訳ありません」
「アリエル、私はそんなつもりで言ったのではない。
ふと思い出しただけで、深い意味はないんだ」
「ええ、分かっております」
陛下と王妃殿下のダンスが終わると、会場内は陛下に挨拶をしに行く貴族とダンスを踊る貴族に分かれる。
「アリエル、今は陛下が沢山の人に囲まれているから、私達はもう少ししたら挨拶にいこう」
「はい。分かりました」
その時、旦那様は私に微笑むと手を差し出してくる。
「アリエル……、私と踊って頂けますか?」
「はい。喜んで」
旦那様と初めて踊るダンスは、緊張からか胸がドクドクしてしまった。
でも旦那様はダンスがお上手のようで、とても踊りやすい。
「アリエル。君とこうやってダンスを踊れる私はとても幸せだ」
「ありがとうございます。
私も今日は旦那様と夜会に参加して、ダンスまで踊っていただけたことを嬉しく思っていますわ」
「……アリエル。私は君の夫なのだから、一緒に夜会に来てダンスを踊ることは当たり前だ」
「ふふっ、そうですね」
旦那様とは二曲続けてダンスを踊る。初めはあんなに緊張していたのに、終わった時は楽しい気分になっていた。
その時、良い気分でいた私を呼ぶ声が聞こえてくる。
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