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絡まれる私

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 ある日、いつものように食堂で働いている私。アンナさんたちは買い出しに行っており、一人で野菜の刻みをしている。お店のドアがガチャっと開かれる。
 まだ開店前なのに、誰だろう?

「こんにちは!」

 ん?男の人の声。慌てて、店に出て行く私。

「お呼びでしょうか?」

 あー、よく店に来る、若い爽やか系の騎士のお客さんだわね。

「あっ、お嬢さん!今お一人ですか?」

「…はい。何か御用でしょうか?」

「……突然ですが、、その…私と付き合ってくれませんか?ずっと好きでした。無理ならば、友達からでもいいので。」

 顔を赤くしながら話す騎士様。

 なんと!前世と今世と合わせて、生まれて初めての告白か?さすがソフィアさんだわ!美少女パワーね。
 正直、嬉しいが……。この人も何となく貴族っぽいよね。貴族と付き合うのは、今の私にとってはハイリスクだわ!

「あの…、お気持ちは嬉しいのですが、騎士様は貴族のお方ですよね?申し訳ありませんが、身分違いの方とはお付き合いは出来ませんわ。私は平民ですので。」

「…確かに私は子爵家の者ですが、貴女も元々は貴族の出身ですよね?平民から貴族に嫁ぐ人だっていますし、身分はあまり気にして欲しくはないのです。私は真剣なのです。恋人というのは無理でも、とりあえず友人になってもらえませんか?お願いします!」

 やはり貴族だったか!しかし、付き合うとかだけでなく、関わりたくないのですけど。爽やかでカッコいい騎士様だから勿体ないけどね。

「…しかし、あまり貴族の方とは関わりたくないのです。」

「お願いします!友人でいいので。」

 騎士様は跪いてしまった。えー、そこまでしないでよ。

「騎士様、どうかお立ち下さいませ!私のような平民に跪くなどいけませんわ。」

「いえ!私が貴女の友人になることを許してくれるまでは、このままいます!」

 マジかよ?爽やかだけど、熱血なタイプかぁ?ああ、急いで野菜も刻まないといけないのにー!

「…分かりました。それでは、友人になりましょう。」

 押しに負けた私だった…。

 騎士様はパァーっと表情が明るくなり、立ち上がって私の手を両手で握りしめる。

「本当ですか!ありがとうございます。…あの、自分のことはウィルと呼んでください。貴女の名前は、ダイアナさんですよね?」

「はい。ダイアナと申します。」

「これから、仲良くしてください。あっ、忙しかったですよね?また、食事に来ます!ではまた!」

 嬉しそうにウィル様は去って行った。あー、何となく疲労感が。
 
 しかし、私はソフィアさんの美少女パワーをナメていた!
 その後も店の外で待ち伏せされて、告られたり、閉店間際の空いている時に手紙を手渡しされたりと、中身が残念女子にも関わらず、モテ始める。

 そして、事件は起こるのであった……。

 ある日のランチ営業中の時だった。
 派手なドレスに濃い化粧、臭い香水を匂わせた、いかにも貴族令嬢らしきお方が来店される。うわー、ゴテゴテしているわぁ。なんて見ていると、

「ねぇ、貴女でしょ?私の婚約者を誑かしたのは!ちょっと可愛いからって、平民の分際で、貴族令息に手を出さないでよ!貴女なんて、いくらでも潰せるんだから!命が惜しければ、レン様に近づかないで!分かったわね?」

 えっ?私、絡まれてるの?



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