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閑話 エドワーズ公爵 9
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ソフィア嬢が邸を出て行ってしまってから、もうどれくらい経ったのだろう。
毎日が辛すぎて、時間がとにかく長く感じる。彼女と離れてから、まるで何年も経ってしまったかのようだ。
ソフィア嬢がいない毎日がこんなに辛いなんて。
エドワーズ公爵家の力を使って、彼女の捜索は続けているものの、なかなか有力な情報が出てこない。
こんな事になるなら、彼女を誰にも見つからないところに、大切に囲っておけば良かったと今更後悔する。
そんな日々を送っていたある日のこと。
執務室で仕事をしている所に、家令が慌ててやってくる。家令が手に持っていたのは、弟からの手紙であった。弟は私に直接手紙を書いても、読んでもらえない可能性があると考えて、家令宛に手紙を書いたらしい。
その手紙の内容には、驚くことが沢山書いてあった。
実力主義の聖騎士団に転職をした弟は、神殿所属の治療院の警備担当に配置されたようだ。そこでは、治療院の治療師達とも交流があるらしく、クラーク侯爵令嬢と思われる女性が治療師として働いていたことに気付いたらしい。
彼女にすぐに謝罪をし、みんなが心配している事を話して、戻って欲しいことを伝えてみたが、私は平民で人違いだと言われて拒否されたようだ。
彼女は聖騎士達にとても人気で、よく口説かれており、特にクロス伯爵家の部隊長がベッタリで、よく食事に誘われているらしい。
更に、彼女の治癒魔法はとても評判が良いらしく、彼女の美貌と治癒魔法に目をつけた神官達が、彼女と神官長の息子を結婚させてはどうかと話していたことを偶然耳にしたようだ。
彼女は、週末の夜に同僚達と食事や飲みに行った後に、よく1人でナイトマーケットに出掛けているらしい。美しいソフィア嬢が1人で歩いている姿はとにかく目立つので、見ていて危なっかしいようだ。弟は少し離れた所から見守るようにしているが、ソフィア嬢に嫌われていて、怯えられている自分が、見守り続けることは、なかなか難しいと書いてある。
彼女は今の生活を気に入っているようなので、今後、自分から元の生活に戻ることはなさそうに見える。ソフィア嬢が欲しいなら、すぐにでも迎えに来るべきだとのこと。
以上のことを、急ぎで私に伝えて欲しいということであった。
弟からの情報が今の私にとって、これ以上にない程に大きなものであるのは間違いない。
早速、影に命令して、神殿の周りを探ってもらう事にした。
すると、すぐにソフィア嬢らしき令嬢が買い物をしていたと情報を得る。弟の手紙は間違いではないようだ。
神殿には貴族の力は通用しないので、ソフィア嬢に会う為には、彼女の私的な時間に外で会うことが望ましい。彼女を狙う虫達が沢山いる以上、時間がないと判断した私は、週末のナイトマーケットに狙いを定めることにした。
そして週末。
ナイトマーケットに、私服の騎士や影を沢山配置して、ソフィア嬢が来るのを待っていると、影からソフィア嬢らしき女性が歩いているとの報告があり、急いでその場所に向かう。すると、綺麗な蜂蜜色の髪の美少女を発見する。
ああ、やっと見つけた。私の愛しい人。
「ダイアナ!……やっと見つけた。」
私が声を掛けると、驚いたようにこっちを見ている彼女。私が急に現れたことに、かなりびっくりしているようで、言葉が出てこないようだ。
驚かせたことを謝りつつ、弟のことを謝罪したいので、2人で話がしたいことを伝えると、「はい」と言ってくれたソフィア嬢。2人きりで話せる所に行こうと誘い出して、近くの馬車に連れて行く。少し離れた所に弟の姿が見えたようだが、それは見なかったことにしておこう。
ソフィア嬢は馬車の中で話すと思っているようだが、そんなことはしない。確実に彼女を自分の物にする為に、別邸に連れて行く。
ソフィア嬢は何かを警戒しているようだが…、今更もう遅いのだ。私からはもう逃げられない。
毎日が辛すぎて、時間がとにかく長く感じる。彼女と離れてから、まるで何年も経ってしまったかのようだ。
ソフィア嬢がいない毎日がこんなに辛いなんて。
エドワーズ公爵家の力を使って、彼女の捜索は続けているものの、なかなか有力な情報が出てこない。
こんな事になるなら、彼女を誰にも見つからないところに、大切に囲っておけば良かったと今更後悔する。
そんな日々を送っていたある日のこと。
執務室で仕事をしている所に、家令が慌ててやってくる。家令が手に持っていたのは、弟からの手紙であった。弟は私に直接手紙を書いても、読んでもらえない可能性があると考えて、家令宛に手紙を書いたらしい。
その手紙の内容には、驚くことが沢山書いてあった。
実力主義の聖騎士団に転職をした弟は、神殿所属の治療院の警備担当に配置されたようだ。そこでは、治療院の治療師達とも交流があるらしく、クラーク侯爵令嬢と思われる女性が治療師として働いていたことに気付いたらしい。
彼女にすぐに謝罪をし、みんなが心配している事を話して、戻って欲しいことを伝えてみたが、私は平民で人違いだと言われて拒否されたようだ。
彼女は聖騎士達にとても人気で、よく口説かれており、特にクロス伯爵家の部隊長がベッタリで、よく食事に誘われているらしい。
更に、彼女の治癒魔法はとても評判が良いらしく、彼女の美貌と治癒魔法に目をつけた神官達が、彼女と神官長の息子を結婚させてはどうかと話していたことを偶然耳にしたようだ。
彼女は、週末の夜に同僚達と食事や飲みに行った後に、よく1人でナイトマーケットに出掛けているらしい。美しいソフィア嬢が1人で歩いている姿はとにかく目立つので、見ていて危なっかしいようだ。弟は少し離れた所から見守るようにしているが、ソフィア嬢に嫌われていて、怯えられている自分が、見守り続けることは、なかなか難しいと書いてある。
彼女は今の生活を気に入っているようなので、今後、自分から元の生活に戻ることはなさそうに見える。ソフィア嬢が欲しいなら、すぐにでも迎えに来るべきだとのこと。
以上のことを、急ぎで私に伝えて欲しいということであった。
弟からの情報が今の私にとって、これ以上にない程に大きなものであるのは間違いない。
早速、影に命令して、神殿の周りを探ってもらう事にした。
すると、すぐにソフィア嬢らしき令嬢が買い物をしていたと情報を得る。弟の手紙は間違いではないようだ。
神殿には貴族の力は通用しないので、ソフィア嬢に会う為には、彼女の私的な時間に外で会うことが望ましい。彼女を狙う虫達が沢山いる以上、時間がないと判断した私は、週末のナイトマーケットに狙いを定めることにした。
そして週末。
ナイトマーケットに、私服の騎士や影を沢山配置して、ソフィア嬢が来るのを待っていると、影からソフィア嬢らしき女性が歩いているとの報告があり、急いでその場所に向かう。すると、綺麗な蜂蜜色の髪の美少女を発見する。
ああ、やっと見つけた。私の愛しい人。
「ダイアナ!……やっと見つけた。」
私が声を掛けると、驚いたようにこっちを見ている彼女。私が急に現れたことに、かなりびっくりしているようで、言葉が出てこないようだ。
驚かせたことを謝りつつ、弟のことを謝罪したいので、2人で話がしたいことを伝えると、「はい」と言ってくれたソフィア嬢。2人きりで話せる所に行こうと誘い出して、近くの馬車に連れて行く。少し離れた所に弟の姿が見えたようだが、それは見なかったことにしておこう。
ソフィア嬢は馬車の中で話すと思っているようだが、そんなことはしない。確実に彼女を自分の物にする為に、別邸に連れて行く。
ソフィア嬢は何かを警戒しているようだが…、今更もう遅いのだ。私からはもう逃げられない。
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