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「心配することはない。キミはまだ若い。すぐに、箱庭に力を食い尽くされることはないはずだ」
「本当に?」
男はそう言うが、僕は不安を隠しきれず、思わず瞳が揺れる。
「怖いかい?」
「僕、先生に一人で世話をするんだって聞いたんだ。でも僕は、箱庭の世話の仕方なんて何も知らない。何も分からないんだ。そんな僕に箱庭の世話がちゃんとできるのかな?」
「大丈夫だとも。キミは愛情をもってこの箱庭を見守ればいいんだ。それだけでいい」
「それだけでいいの?」
「そう。それだけでいい。ただし、私のように一部を見るのではなく、全体を見守っておくれ。全体を見て、ゆっくりでいいから、箱庭の傷ついたところを癒しておくれ。キミが望めば、箱庭も応えてくれる。上手く箱庭の世話ができれば、キミも箱庭もずっと長く続いていくはずさ」
「わかった。僕、箱庭をずっと見守っていくよ」
男の真剣な言葉に、僕の心は決まった。後は任せてくれと伝えたくて、力強くうなずいて見せる。
僕のうなずきに安堵したように弱々しい笑みを漏らした男は、自身の胸元へ手をやり何かを引っ張るようにして胸元から握りこぶしを離すと、僕の目の前でゆっくりとその手を開いた。
「さぁ。これを受け取って」
男の手の中では、青い球が弱々しい光を放ちながらふわふわと空中に浮いていた。
「これは?」
「Earthの核だよ。これを胸に刻んだ者が世話役となり、箱庭と繋がるんだ」
僕は青い光を両手で掬うようにしてそっと受け取った。光は今にも消えてしまいそうなほど弱い。
「さぁ。早く、それを胸にしまって」
「ど、どうやって?」
「胸に当てるだけでいい。それで、核はキミの中に入っていくから」
僕は言われたとおりに、青く弱々しい光の玉を、そっと自身の胸に押し当てる。光の玉はスッと僕の胸の中へと入っていった。
核が僕の中へと入ってきた途端、僕の中でカチリと音がしたような気がした。まるで、凸と凹がピッタリと合わさったような安心感が心を満たす。それと同時に、途方もない寂寥感に襲われた。
僕の瞳からは、どんどんと水が溢れ出す。拭っても拭っても止まらないそれを、男は辛そうに見ている。
「辛かったよな。苦しかったよな。ごめんな」
男の目からも、水が溢れ出した。僕は、自分の水を拭うのをやめ、男の頬を流れる水をそっと拭う。
「大丈夫。大丈夫だから。あなたは本当に良くしてくれた。ありがとう」
それは、僕の口から出たEarthの言葉だった。
「本当に?」
男はそう言うが、僕は不安を隠しきれず、思わず瞳が揺れる。
「怖いかい?」
「僕、先生に一人で世話をするんだって聞いたんだ。でも僕は、箱庭の世話の仕方なんて何も知らない。何も分からないんだ。そんな僕に箱庭の世話がちゃんとできるのかな?」
「大丈夫だとも。キミは愛情をもってこの箱庭を見守ればいいんだ。それだけでいい」
「それだけでいいの?」
「そう。それだけでいい。ただし、私のように一部を見るのではなく、全体を見守っておくれ。全体を見て、ゆっくりでいいから、箱庭の傷ついたところを癒しておくれ。キミが望めば、箱庭も応えてくれる。上手く箱庭の世話ができれば、キミも箱庭もずっと長く続いていくはずさ」
「わかった。僕、箱庭をずっと見守っていくよ」
男の真剣な言葉に、僕の心は決まった。後は任せてくれと伝えたくて、力強くうなずいて見せる。
僕のうなずきに安堵したように弱々しい笑みを漏らした男は、自身の胸元へ手をやり何かを引っ張るようにして胸元から握りこぶしを離すと、僕の目の前でゆっくりとその手を開いた。
「さぁ。これを受け取って」
男の手の中では、青い球が弱々しい光を放ちながらふわふわと空中に浮いていた。
「これは?」
「Earthの核だよ。これを胸に刻んだ者が世話役となり、箱庭と繋がるんだ」
僕は青い光を両手で掬うようにしてそっと受け取った。光は今にも消えてしまいそうなほど弱い。
「さぁ。早く、それを胸にしまって」
「ど、どうやって?」
「胸に当てるだけでいい。それで、核はキミの中に入っていくから」
僕は言われたとおりに、青く弱々しい光の玉を、そっと自身の胸に押し当てる。光の玉はスッと僕の胸の中へと入っていった。
核が僕の中へと入ってきた途端、僕の中でカチリと音がしたような気がした。まるで、凸と凹がピッタリと合わさったような安心感が心を満たす。それと同時に、途方もない寂寥感に襲われた。
僕の瞳からは、どんどんと水が溢れ出す。拭っても拭っても止まらないそれを、男は辛そうに見ている。
「辛かったよな。苦しかったよな。ごめんな」
男の目からも、水が溢れ出した。僕は、自分の水を拭うのをやめ、男の頬を流れる水をそっと拭う。
「大丈夫。大丈夫だから。あなたは本当に良くしてくれた。ありがとう」
それは、僕の口から出たEarthの言葉だった。
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