3 / 6
僕のごちそう
僕のごちそう p.3
しおりを挟む
キミの口から食べ物の名前が出てくるたびに、プルンとしたイチゴ色の唇が魅惑的に動く。
キミの香りと唇に、僕がとてつもなく心惹かれていると、不意にイチゴ色の唇が上を向いた。
「やっぱり、おに……!」
僕を見上げてキミが最後の晩餐のメニューを宣言しようとした瞬間、身体中に満ちたあの甘ったるい陶酔感に突き動かされた僕は、自分の唇で、キミの唇を塞いだ。
堪えられなくなった僕は、どのくらいキミの唇を独り占めしていただろうか。
イチゴのような、甘酸っぱい空気に全身が満たされると、僕はゆっくりとキミの唇を開放する。
すると、自由になったキミの口は、またすぐに動き出した。
「なに? 今の?」
「何って、キスに決まってるじゃないか」
「なんで?」
「なんでって……それは……僕の最後の晩餐! 僕の一番のごちそうは、いつだってキミだよ」
照れ臭さから、頬を掻きつつ、キミの真っ直ぐな視線から、少しだけ逃れるように、明後日の方へ自身の視線を逃す。
そんな僕の情けない態度か、それとも、僕がキミに送った最大級の愛の言葉に呆れたのか、もしくは、その両方かは分からないが、キミは軽く顔をしかめてから、そっぽを向いて言った。
「ごちそうかぁ。そうだね。やっぱりごちそうを食べなきゃね。よし、決まったよ。当ててみて」
「さっき、おに……って言いかけてたから、どうせ、お肉って言うんだろ? いや、おにぎりか?」
「ハ・ズ・レ! ボクのごちそうは……」
キミは僕の方に向き直ると、僕の腰に手を回して、背伸びをした。そして、もう一度僕の唇と自分のイチゴ色の唇とを重ねた。
そうしている間に、空からは、あの日と同じように綿菓子のような雪が舞い落ちてきた。
僕らは重ねた唇を離し、互いに空を見上げる。
僕はあの日のキミのように口を開けて、空を見上げていた。キミも、細い腕で僕を強く抱きしめたまま、あの日と同じように大きな口を開けていた。
暗く重たそうな空からは、綿雪がいくつも舞い落ちてきて、僕は、無心で口を閉じたり開いたりを繰り返す。
あの日のキミと同じように……
その時、不意に耳元でキミの声がした。
「やっぱり、雪なんかよりも、ボクはごちそうを頂くことにするよ」
「な……」
確かにそう聞こえたけれど、僕が聞き返すよりも早く、周囲は暗闇に包まれた。
何が起きたのかと呆気に取られていると、何故かキミの満足そうな声が、僕の周りで不気味に反響する。
「ボクのごちそうは、おにいさんだよ。ご馳走様」
キミの香りと唇に、僕がとてつもなく心惹かれていると、不意にイチゴ色の唇が上を向いた。
「やっぱり、おに……!」
僕を見上げてキミが最後の晩餐のメニューを宣言しようとした瞬間、身体中に満ちたあの甘ったるい陶酔感に突き動かされた僕は、自分の唇で、キミの唇を塞いだ。
堪えられなくなった僕は、どのくらいキミの唇を独り占めしていただろうか。
イチゴのような、甘酸っぱい空気に全身が満たされると、僕はゆっくりとキミの唇を開放する。
すると、自由になったキミの口は、またすぐに動き出した。
「なに? 今の?」
「何って、キスに決まってるじゃないか」
「なんで?」
「なんでって……それは……僕の最後の晩餐! 僕の一番のごちそうは、いつだってキミだよ」
照れ臭さから、頬を掻きつつ、キミの真っ直ぐな視線から、少しだけ逃れるように、明後日の方へ自身の視線を逃す。
そんな僕の情けない態度か、それとも、僕がキミに送った最大級の愛の言葉に呆れたのか、もしくは、その両方かは分からないが、キミは軽く顔をしかめてから、そっぽを向いて言った。
「ごちそうかぁ。そうだね。やっぱりごちそうを食べなきゃね。よし、決まったよ。当ててみて」
「さっき、おに……って言いかけてたから、どうせ、お肉って言うんだろ? いや、おにぎりか?」
「ハ・ズ・レ! ボクのごちそうは……」
キミは僕の方に向き直ると、僕の腰に手を回して、背伸びをした。そして、もう一度僕の唇と自分のイチゴ色の唇とを重ねた。
そうしている間に、空からは、あの日と同じように綿菓子のような雪が舞い落ちてきた。
僕らは重ねた唇を離し、互いに空を見上げる。
僕はあの日のキミのように口を開けて、空を見上げていた。キミも、細い腕で僕を強く抱きしめたまま、あの日と同じように大きな口を開けていた。
暗く重たそうな空からは、綿雪がいくつも舞い落ちてきて、僕は、無心で口を閉じたり開いたりを繰り返す。
あの日のキミと同じように……
その時、不意に耳元でキミの声がした。
「やっぱり、雪なんかよりも、ボクはごちそうを頂くことにするよ」
「な……」
確かにそう聞こえたけれど、僕が聞き返すよりも早く、周囲は暗闇に包まれた。
何が起きたのかと呆気に取られていると、何故かキミの満足そうな声が、僕の周りで不気味に反響する。
「ボクのごちそうは、おにいさんだよ。ご馳走様」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
七竈 ~ふたたび、春~
菱沼あゆ
ホラー
変遷していく呪いに終わりのときは来るのだろうか――?
突然、英嗣の母親に、蔵を整理するから来いと呼び出されたり、相変わらず騒がしい毎日を送っていた七月だが。
ある日、若き市長の要請で、呪いの七竃が切り倒されることになる。
七竃が消えれば、呪いは消えるのか?
何故、急に七竃が切られることになったのか。
市長の意図を探ろうとする七月たちだが――。
学園ホラー&ミステリー
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる