79 / 155
砂浜の結婚式(11)
しおりを挟む
特に多かったのは、ロケーションに関する評価。式場を決める際に重視する点になるので、これは良い結果が得られて良かった。
私が危惧していたシェルパウダーの演出も、良かったという声があった。しかしそこは、やはり要検討と、あとで強く言おう。
また、料理に対する意見も多かった。ほとんどがバーベキューのような形での提供だったので、もっと品数があった方が良かったという要望が目につく。しかし、これについては、低価格帯のプランに絞っていることもあり、あまり多くの品目を出すことができない。この辺りは今後の課題として、クライアントと相談することになるだろう。
そこまで意見を纏めたとき、頭にポンと手が乗せられた。驚いて顔を上げると、そこにはシロ先輩がいた。いつの間にラウンジに来ていたのだろうか。全く気が付かなかった。
シロ先輩は私の隣に腰を下ろすと、手に持っていた資料を机の上に置いた。
「みんな、おつかれ」
シロ先輩が席についたことで、私たちは一旦作業の手を止めた。白谷吟がシロ先輩の方を見る。
「史郎もお疲れ様。矢城さんから聞いたけど、次の予定が入ったんだってね」
シロ先輩は少し苦笑しながら答えた。
「ああ。ちょっと、面倒なことになりそうだ」
シロ先輩は辟易とした様子で、手元の資料をチラリと見る。どうやら次の挙式カップルについての資料のようだ。
「どんな方なんですか?」
萌乃が尋ねると、シロ先輩は淡々と答えた。
「もともと通常プランの挙式で話を進めていたんだが、妊娠が分かって挙式をキャンセルすると言い出した。だけど、キャンセル料が発生する時期になっていたし、それならば低価格プランのモニターという形で簡易的な式を挙げてはどうかと、ホテル側が提案したらしい」
そこで一度言葉を切ると、シロ先輩は小さく溜め息をついた。
本来であれば、キャンセル料を払って式が挙げられなかったという、マイナスな思い出しか残らない。それが、同程度の額を支払って、簡易的であれ、挙式が挙げられるのならば、それは新郎新婦にとってはいい思い出になるだろう。
ホテル側としても「良心的なホテル」という良いイメージを与えられる。ともすれば、口コミを広めてくれる可能性も見込める。
両者ウィンウィンの案だが、そこで皺寄せをくらうのが私たちだ。シロ先輩の話を聞きながら、私はまた頭を抱えたくなった。
そんな私を見て、萌乃が不思議そうな顔をする。
「どうしたんですか? 明日花さん」
私が危惧していたシェルパウダーの演出も、良かったという声があった。しかしそこは、やはり要検討と、あとで強く言おう。
また、料理に対する意見も多かった。ほとんどがバーベキューのような形での提供だったので、もっと品数があった方が良かったという要望が目につく。しかし、これについては、低価格帯のプランに絞っていることもあり、あまり多くの品目を出すことができない。この辺りは今後の課題として、クライアントと相談することになるだろう。
そこまで意見を纏めたとき、頭にポンと手が乗せられた。驚いて顔を上げると、そこにはシロ先輩がいた。いつの間にラウンジに来ていたのだろうか。全く気が付かなかった。
シロ先輩は私の隣に腰を下ろすと、手に持っていた資料を机の上に置いた。
「みんな、おつかれ」
シロ先輩が席についたことで、私たちは一旦作業の手を止めた。白谷吟がシロ先輩の方を見る。
「史郎もお疲れ様。矢城さんから聞いたけど、次の予定が入ったんだってね」
シロ先輩は少し苦笑しながら答えた。
「ああ。ちょっと、面倒なことになりそうだ」
シロ先輩は辟易とした様子で、手元の資料をチラリと見る。どうやら次の挙式カップルについての資料のようだ。
「どんな方なんですか?」
萌乃が尋ねると、シロ先輩は淡々と答えた。
「もともと通常プランの挙式で話を進めていたんだが、妊娠が分かって挙式をキャンセルすると言い出した。だけど、キャンセル料が発生する時期になっていたし、それならば低価格プランのモニターという形で簡易的な式を挙げてはどうかと、ホテル側が提案したらしい」
そこで一度言葉を切ると、シロ先輩は小さく溜め息をついた。
本来であれば、キャンセル料を払って式が挙げられなかったという、マイナスな思い出しか残らない。それが、同程度の額を支払って、簡易的であれ、挙式が挙げられるのならば、それは新郎新婦にとってはいい思い出になるだろう。
ホテル側としても「良心的なホテル」という良いイメージを与えられる。ともすれば、口コミを広めてくれる可能性も見込める。
両者ウィンウィンの案だが、そこで皺寄せをくらうのが私たちだ。シロ先輩の話を聞きながら、私はまた頭を抱えたくなった。
そんな私を見て、萌乃が不思議そうな顔をする。
「どうしたんですか? 明日花さん」
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる