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第42話 格上に痛打を与えてみた
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風魔術を使っても俺の速度は変わらない。
本当はビビみたいに風に乗った加速ができるといいのだが、そこまでやれるほど魔力量に余裕がないのだ。
まあ、音が立たないだけでも十分である。
視覚と聴覚の対策ができているのだから、有利に立ち回れるのは言うまでもなかった。
俺は毒入りの小瓶を指に挟んで三つ同時に投げ付ける。
いずれもトロールの右膝に命中した。
毒が飛び散り、防具の隙間からトロールを蝕む。
焼けるような音がしてトロールが体勢を崩した。
怒り狂って大剣を振り回すも、見当違いの方角なので俺に被害はない。
真っ先に目を潰したのが功を奏したようだ。
膝が再生を始めているが、治るのに時間がかかりそうである。
混ぜ込んだ闇属性が作用しているのだろう。
しばらくは素早い動きができないと考えていい。
トロールは片脚を引きずりながら周囲を破壊する。
大剣の薙ぎ払いが壁や地面を削り飛ばし、深々と亀裂を刻み込んだ。
圧倒的な膂力である。
真正面から戦いを挑まなくて本当によかった。
俺は慎重に回り込むと、追加の毒入り小瓶を投げる。
今度は左膝に命中した。
トロールは前のめりに倒れて立ち上がれなくなった。
煩わしそうに大剣を投げ捨てて、両腕で這うようにして移動する。
手探りで俺を探すことにしたらしい。
あまりにも無謀だが、それしか手段がないのだ。
(足が再生する前に倒さないとな)
俺はトロールの背中を駆け上がり、反応される前に剣を掲げた。
防壁の指輪に充填した魔力を吸い取り、それを使って属性付与を発動する。
刃が黒い炎に包まれたところで振り下ろした。
ごろり、と焼き切られた生首が落ちる。
巨大な身体が地面に倒れ込んだ。
トロールの背中に立つ俺は、剣に付いた血を振り払う。
「なんとか成功したな……」
物体から魔力を吸い取る技能は、魔術ではなく魔力操作の一種である。
練習してみると簡単に成功したので、戦法の一つとして取り入れることにした。
魔力消費を別の道具に肩代わりさせれば、俺でも中級以上の魔術を使えるようになるのだ。
今回の属性付与は火と闇を採用してみた。
自分の魔力量を気にせず、高威力の一撃を放てるのは大きい。
ただし、連発できる技ではない。
充填した分が切れれば発動できず、さらには肩代わりさせた魔道具も使用不能になるからだ。
事前に実験したところ、防壁の指輪で属性付与を使うのは三回が限度だった。
長期戦闘に向かない技であるのは憶えておかないといけない。
あくまでも奥の手の一つと見なすべきである。
本当はビビみたいに風に乗った加速ができるといいのだが、そこまでやれるほど魔力量に余裕がないのだ。
まあ、音が立たないだけでも十分である。
視覚と聴覚の対策ができているのだから、有利に立ち回れるのは言うまでもなかった。
俺は毒入りの小瓶を指に挟んで三つ同時に投げ付ける。
いずれもトロールの右膝に命中した。
毒が飛び散り、防具の隙間からトロールを蝕む。
焼けるような音がしてトロールが体勢を崩した。
怒り狂って大剣を振り回すも、見当違いの方角なので俺に被害はない。
真っ先に目を潰したのが功を奏したようだ。
膝が再生を始めているが、治るのに時間がかかりそうである。
混ぜ込んだ闇属性が作用しているのだろう。
しばらくは素早い動きができないと考えていい。
トロールは片脚を引きずりながら周囲を破壊する。
大剣の薙ぎ払いが壁や地面を削り飛ばし、深々と亀裂を刻み込んだ。
圧倒的な膂力である。
真正面から戦いを挑まなくて本当によかった。
俺は慎重に回り込むと、追加の毒入り小瓶を投げる。
今度は左膝に命中した。
トロールは前のめりに倒れて立ち上がれなくなった。
煩わしそうに大剣を投げ捨てて、両腕で這うようにして移動する。
手探りで俺を探すことにしたらしい。
あまりにも無謀だが、それしか手段がないのだ。
(足が再生する前に倒さないとな)
俺はトロールの背中を駆け上がり、反応される前に剣を掲げた。
防壁の指輪に充填した魔力を吸い取り、それを使って属性付与を発動する。
刃が黒い炎に包まれたところで振り下ろした。
ごろり、と焼き切られた生首が落ちる。
巨大な身体が地面に倒れ込んだ。
トロールの背中に立つ俺は、剣に付いた血を振り払う。
「なんとか成功したな……」
物体から魔力を吸い取る技能は、魔術ではなく魔力操作の一種である。
練習してみると簡単に成功したので、戦法の一つとして取り入れることにした。
魔力消費を別の道具に肩代わりさせれば、俺でも中級以上の魔術を使えるようになるのだ。
今回の属性付与は火と闇を採用してみた。
自分の魔力量を気にせず、高威力の一撃を放てるのは大きい。
ただし、連発できる技ではない。
充填した分が切れれば発動できず、さらには肩代わりさせた魔道具も使用不能になるからだ。
事前に実験したところ、防壁の指輪で属性付与を使うのは三回が限度だった。
長期戦闘に向かない技であるのは憶えておかないといけない。
あくまでも奥の手の一つと見なすべきである。
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