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短編(1話完結)
囁く男
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遊園地のレストラン。
混み合う中、妙な人が目に入る。
人々の間を歩き回る男。
自分の席がわからなくなった人かと思ったが、彼はゆっくりした足取りで歩き回り、各テーブルの人々の顔を覗き込んでいる。
「何、あの人……?」
やがて男は一人の女性に目を留めた。
知り合いなのか、後ろから肩に手をかけると、自然な動作で顔を近づけ耳元で何か囁く。
頼んでいた料理が配膳され、私は目を離した。
そしてもう一度目を向けた時には、男も女性もいなかった。
食事を終えレストランを出る。
何か騒がしい。
アトラクションで事故があったようだ。
前を医療ストレッチャーが通り過ぎる。
ダランと垂れた手。
見えたカーディガンの色は、先程、男に囁かれていた女性と同じだった。
ゾクッと冷たい感覚が背筋に走る。
目を向けた先に立つ男。
顔はわからないのに微笑んでいる事はわかった。
男は「しー」と口に指を当て、消えた。
混み合う中、妙な人が目に入る。
人々の間を歩き回る男。
自分の席がわからなくなった人かと思ったが、彼はゆっくりした足取りで歩き回り、各テーブルの人々の顔を覗き込んでいる。
「何、あの人……?」
やがて男は一人の女性に目を留めた。
知り合いなのか、後ろから肩に手をかけると、自然な動作で顔を近づけ耳元で何か囁く。
頼んでいた料理が配膳され、私は目を離した。
そしてもう一度目を向けた時には、男も女性もいなかった。
食事を終えレストランを出る。
何か騒がしい。
アトラクションで事故があったようだ。
前を医療ストレッチャーが通り過ぎる。
ダランと垂れた手。
見えたカーディガンの色は、先程、男に囁かれていた女性と同じだった。
ゾクッと冷たい感覚が背筋に走る。
目を向けた先に立つ男。
顔はわからないのに微笑んでいる事はわかった。
男は「しー」と口に指を当て、消えた。
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