雨に濡れた犬の匂い(SS短文集)

お前は誰だ？

怖い話の中に、鏡に向かって「お前は誰だ？」と言ってはいけないというものがある。

それをすると、自分がわからなくなる。
自分を認識できなくなる。

そういう事らしい。
本当か嘘かは知らない。

ただ、それって鏡が必要なのかなぁと最近思う。

お前は誰だ？

私は誰だろう？
私は何だろう？

それを知っている人がいるなら、羨ましい事だと思う。

他の誰に何を言われたからでなく、自分自身の意思で生きてきた。
人の言葉に振り回されず、自分自身と向き合い、本当に自分がしたい事を我武者羅にやってきた。

でも、ふと思うのだ。


お前は誰だ？


誰なんだろう？
こんなに必死に生きて、何をしているんだろう？

お前は誰だ？

誰だろう？
何なのだろう？

むしろ、それに答えがあるのだろうか？


お前は誰だ？


自分に問う。

でも自分が誰かわからない。
何の意味があるのか私にはわかりそうもない。