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1章
噛みしめるしあわせ
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キラキラと包み紙の色と同じ輝きを放つ、七色の宝石のような飴玉に、
私は、ほぅ、とため息をつきながら、うっとりとそのきらびやかな輝きに魅入っていた。
隣では、男の子も好奇心を抑えきれないというような、
興奮した様子でくるっと包みを開き、飴玉を見つめている。
「うゎあー!すっげー!これ、RPGに出てくるレアアイテムみたいじゃん!いただきまーす!」
私が飴玉に見とれているうちに、
男の子の方が先にあーんと大きく口を開けて、
ポイッと投げ入れるようにキャンディーを食べ始めた。
その瞬間、ぱちん、と小さな光が弾け、
周囲の空気がふわりと甘く揺れた。
「……!! な、なにこれ……!あっま!!」
男の子は目を丸くし、
口いっぱいに幸福を詰め込んだように頬を緩ませた。
「あのね!これね!いちごの味とね、メロンの味とね、ぶどうの味がね、
ぜんぶいっぺんにして……でもケーキみたいで……あ!クリームもする!!」
言葉を探しながらぴょんぴょんと跳ね回る姿は、
まるで味そのものに踊らされている子どものようだった。
『しあわせ、しあわせ~♪ おいしいしあわせかみしめて♪』
うさぎもぴょんぴょんと軽やかに跳ね回りながらパチパチと手を叩くと、
周囲の風船たちもぽよん、と上下に揺れ、ファンシーな音色を鳴らす。
男の子はたまらず笑顔になる。それを見た私も、釣られて頬が緩んだ。
(ハッピーストロベリーキャンディーなのに、いちご以外の味もするんだ……?)
私がキャンディーの味について考えている間にも、男の子はよほど美味しかったのか、まだぴょんぴょん飛び跳ねてはしゃいでいた。
「すっげー……!こんな味、はじめて……!!」
その笑顔はまぶしいほど無邪気で、見ているだけで胸が温かくなる。
……けれど、同時に胸の奥がずくりと痛んだ。
(……あんなに素直に自分を表現できて、いいな。―きっと、あの子は、何でも選ばせて貰えたんだろうな)
飴玉をぎゅっと握った指先に、ほんのりとした温かさが宿る。
天使の羽が、かすかに脈打つように震えていた。
まるで――
“早く食べて”
と囁きかけているみたいに。
『ほらほら食べて♪さあ食べて♪ハッピーハッピーハッピーストロベリーキャンディー♪しあわせひととき、待ってるよ~☆』
うさぎがぴょこぴょこと跳ねて、飴玉を口に入れることを急かしてくる。男の子の飴玉の感想に、ドキドキしながら、私も彼と同じようにポイッと口の中に投げ入れる。
飴玉を舐め始めると、トロリとした柔らかな味がゆっくりと口の中に広がっていった。
「これは……?なんだろう……?ぶどう味?なめらかなミルク味?それとも……」
何の味か正解を探っていながら、ゆっくり舐め溶かしているうちに、フッと、とある思い出が蘇った。
「これ、買ってもらえるの!?やったあ!」
それは、いつも1番ほしい物は買ってもらえなかったはずなのに、その時だけは買ってもらえた、憧れの魔法少女の、きらきらした水晶のようなものが付いた、とても可愛いステッキだった。
「これ、欲しがってたやつでしょ?」
親が初めて、私が欲しいと思っていたおもちゃを買ってくれて、とても嬉しかった思い出だった。1番欲しかったのは、魔法少女のきらきらしたコンパクトだった。それでも、それでも―たとえ、1番じゃなくても、私が欲しいものを買ってもらえた事実が、とても嬉しかったのを覚えてる。
飴玉が口の中から溶けて消えると、思い出もフッときえていった。
「なんで、今、こんな昔の思い出が……?」
『ハッピーハッピーストロベリーキャンディー♪しあわせの味、忘れずに☆』
うさぎが私の前にぴょんと顔を出して歌い続けていた。それに驚き、思わず男の子の方を振り向くと、男の子の方は、すでに飴を食べ終えているようだった。
「やべっ!ガリってかんじゃったよー!せっかく美味しい味だったのになー?おれ、飴玉はすぐにガリって噛んじゃうクセがあるんだよね!」
男の子にも、何か変化があったかどうか、確認するように問いかけた。
「ねぇ、この飴を舐めてから、何か思い出したこととかなかった?」
「うーん?味がめちゃくちゃ美味しかったけど、すぐガリって噛んじゃったから分かんない!」
詳しく聞きたかったけれど、分からないなら、これ以上は聞けないと思った私の目の前に、またうさぎがひょこ、と、顔を出した。
『しあわせ噛みしめすぎたら分からない♪そんなボクにはこっちもどうぞ☆』
さっきまで持っていたカゴの中に、小瓶の他にも何かお菓子が入っているのが見えた。
私は、ほぅ、とため息をつきながら、うっとりとそのきらびやかな輝きに魅入っていた。
隣では、男の子も好奇心を抑えきれないというような、
興奮した様子でくるっと包みを開き、飴玉を見つめている。
「うゎあー!すっげー!これ、RPGに出てくるレアアイテムみたいじゃん!いただきまーす!」
私が飴玉に見とれているうちに、
男の子の方が先にあーんと大きく口を開けて、
ポイッと投げ入れるようにキャンディーを食べ始めた。
その瞬間、ぱちん、と小さな光が弾け、
周囲の空気がふわりと甘く揺れた。
「……!! な、なにこれ……!あっま!!」
男の子は目を丸くし、
口いっぱいに幸福を詰め込んだように頬を緩ませた。
「あのね!これね!いちごの味とね、メロンの味とね、ぶどうの味がね、
ぜんぶいっぺんにして……でもケーキみたいで……あ!クリームもする!!」
言葉を探しながらぴょんぴょんと跳ね回る姿は、
まるで味そのものに踊らされている子どものようだった。
『しあわせ、しあわせ~♪ おいしいしあわせかみしめて♪』
うさぎもぴょんぴょんと軽やかに跳ね回りながらパチパチと手を叩くと、
周囲の風船たちもぽよん、と上下に揺れ、ファンシーな音色を鳴らす。
男の子はたまらず笑顔になる。それを見た私も、釣られて頬が緩んだ。
(ハッピーストロベリーキャンディーなのに、いちご以外の味もするんだ……?)
私がキャンディーの味について考えている間にも、男の子はよほど美味しかったのか、まだぴょんぴょん飛び跳ねてはしゃいでいた。
「すっげー……!こんな味、はじめて……!!」
その笑顔はまぶしいほど無邪気で、見ているだけで胸が温かくなる。
……けれど、同時に胸の奥がずくりと痛んだ。
(……あんなに素直に自分を表現できて、いいな。―きっと、あの子は、何でも選ばせて貰えたんだろうな)
飴玉をぎゅっと握った指先に、ほんのりとした温かさが宿る。
天使の羽が、かすかに脈打つように震えていた。
まるで――
“早く食べて”
と囁きかけているみたいに。
『ほらほら食べて♪さあ食べて♪ハッピーハッピーハッピーストロベリーキャンディー♪しあわせひととき、待ってるよ~☆』
うさぎがぴょこぴょこと跳ねて、飴玉を口に入れることを急かしてくる。男の子の飴玉の感想に、ドキドキしながら、私も彼と同じようにポイッと口の中に投げ入れる。
飴玉を舐め始めると、トロリとした柔らかな味がゆっくりと口の中に広がっていった。
「これは……?なんだろう……?ぶどう味?なめらかなミルク味?それとも……」
何の味か正解を探っていながら、ゆっくり舐め溶かしているうちに、フッと、とある思い出が蘇った。
「これ、買ってもらえるの!?やったあ!」
それは、いつも1番ほしい物は買ってもらえなかったはずなのに、その時だけは買ってもらえた、憧れの魔法少女の、きらきらした水晶のようなものが付いた、とても可愛いステッキだった。
「これ、欲しがってたやつでしょ?」
親が初めて、私が欲しいと思っていたおもちゃを買ってくれて、とても嬉しかった思い出だった。1番欲しかったのは、魔法少女のきらきらしたコンパクトだった。それでも、それでも―たとえ、1番じゃなくても、私が欲しいものを買ってもらえた事実が、とても嬉しかったのを覚えてる。
飴玉が口の中から溶けて消えると、思い出もフッときえていった。
「なんで、今、こんな昔の思い出が……?」
『ハッピーハッピーストロベリーキャンディー♪しあわせの味、忘れずに☆』
うさぎが私の前にぴょんと顔を出して歌い続けていた。それに驚き、思わず男の子の方を振り向くと、男の子の方は、すでに飴を食べ終えているようだった。
「やべっ!ガリってかんじゃったよー!せっかく美味しい味だったのになー?おれ、飴玉はすぐにガリって噛んじゃうクセがあるんだよね!」
男の子にも、何か変化があったかどうか、確認するように問いかけた。
「ねぇ、この飴を舐めてから、何か思い出したこととかなかった?」
「うーん?味がめちゃくちゃ美味しかったけど、すぐガリって噛んじゃったから分かんない!」
詳しく聞きたかったけれど、分からないなら、これ以上は聞けないと思った私の目の前に、またうさぎがひょこ、と、顔を出した。
『しあわせ噛みしめすぎたら分からない♪そんなボクにはこっちもどうぞ☆』
さっきまで持っていたカゴの中に、小瓶の他にも何かお菓子が入っているのが見えた。
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