立てば芍薬、座れば牡丹、歩けば咲くは百合の花

鍵谷 雷

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恋花と愛那

恋花と愛那の場合 6ー2

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  暑さに耐え忍ぶこと約三時間。お昼休憩に入った。

「お昼だー!」
「今日は弁当?」
「うん!」
「じゃ、ここでいっか」

  愛那は後ろを向き、恋花の机に弁当箱を広げ始める。余ったスペースに恋花も弁当を広げた。

「夏だよ!」
「……朝も聞いた」
「夏休みだよ!」
「……遊びに行きたいと?」
「そう!  今度は恋ちゃんの家に!」
「ダメ」
「何で?」
「…………部屋が汚いから」
「ええ~、そんなの気にしないよ」
「私が気にする」
「じゃあ掃除しといてね」

  出来ることならそうしたい。しかし、恋花の家は"片付けない"のではなく"片付けられない"のだった。

「他人の物勝手に捨てられないでしょ?」
「ん?」
「だから、私の物で散らかってるわけじゃないから、どうしようもないの」
「ふーん」

  愛那は相づちを打ったが、いまいち理解しきっていない。恋花は彼女の態度からそう感じ取った。言い訳がましかっただろうか……。

「折角だしさ、外遊びに行こうよ」

  愛那の表情がパーッと明るくなる。

「恋ちゃんからそんなこと言い出すなんて!」
「私だってそういうの嫌いじゃないし……」
「やったー!  どこ行こっか?」
「行きたいとことかある?」
「……うーん、すぐには思いつかないや」
「じゃあお互い考えておくということで」
「はーい!」

  お昼休憩終了のチャイムが鳴った。
  午後からの授業は少し身が入らなかった。

「岡田!」

  愛那を指名する先生の声で恋花も我に返った。やはり浮かれていたようだ。

  ホームルームが終わると愛那がえらく明るい顔をしてルーズリーフを一枚差し出してくる。

「この中から一つ選んで!」

  ルーズリーフには縦横にいくらかの線が書かれており、下に文字が書いてある。あみだくじだ。

「……全部見えてる」
「えっ!  あっ、ホントだ!  貴女は今のことを全て忘れる~」
「流石に追えてないから」

  愛那は慌ててルーズリーフを何度か折る。

「はい、選んで!」

  十本あるうちの右から三つめを選ぶ。愛那はそこに印をつけて紙を広げる。

「てんてんてんてんてーん!」

  変な声を出しながら線を辿っていく。

「プール!  次の休みはプールに行きましょー!」
「……うん、分かった」

  内心、水着買わなくちゃと思っていた。
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