勇者パーティー追放された解呪師、お迎えの死神少女とうっかりキスして最強の力に覚醒!? この力で10年前、僕のすべてを奪った犯人へ復讐します。

カズマ・ユキヒロ

文字の大きさ
18 / 40

18.夢魔

しおりを挟む
「本当に申し訳ございませんでした!」



 落ち着きを取り戻したアイは、僕たちに深々と頭を下げた。



「マモルさまにあんな失礼な態度を……。ナヅキさまにも、何とおわびすれば……」



「気にしなくても大丈夫だよ。操られてたんだから、しょうがないって」



 僕はアイに笑いかけた。



「僕もナヅキも、アイも生きてる。なーんにも問題ないから」



「マモルさま……」



 アイの瞳に、涙が浮かぶ。



「本当にマモルさまは、昔のままなのですね……。小さい頃から、おやさしくて……」



 ゆっくりと、アイは目を伏せた。



「ねえマモルくん。人間界って、一夫多妻制よね?」



 いきなりナヅキが、僕にヘンなことを聞いてくる。



「あ、ああ。でも、なんでそんなこと聞くんだ?」



「なら、いいわ。安心した」



 むむむ?


 いったい何の確認だ?



 ……って。



「なごんでる場合じゃない!」



 助けに来た人物は、もうひとりいるんだ!


 しかし、僕が口を開くより早く。



「マモルさま! どうか、ユウリお嬢さまもお救いください!」



 アイが僕に頭を下げた。



「そう、ユウリだ! アイとコンビを組んでる『雷光の魔法剣士ユウリ』っていうのは、やっぱり?」



「はい。マモルさまの幼なじみの、ユウリさまで間違いありません」



「そうか……そうだったか!」



 僕の心に、喜びがふくらむ。



「ユウリお嬢さまとわたくしは、10年前の火災を逃れたあと。今までずっと、共に修行に励んできたのです」



「よかった! 本当によかったよ!」



「ですが、今……」



 アイがうつむく。



「ユウリお嬢さまは、魔族に心をとらわれてしまい……」



「魔族だって!?」



 僕は目をむいた。


 この件には、魔族がかかわっていたのか……。



「こちらへ」



 アイの先導を受け、行きついた先は。



「ファーザ叔父さんの家があった場所……か」



「魔力の発信源、なのよね?」



 ナヅキの問いにうなずき、僕は周囲を見渡すと。


 視線を向けた先に……いた。


 膝を抱え、座り込んでいる女の子が。




「ユウリ……か?」




 小さい頃から変わらない、燃えるような赤い髪。


 予想を大幅に超えて、かわいくなってはいるけれど。


 確かに、昔の面影がある。



 その碧眼は……焦点が合っていない。


 うつろな視線を、虚空にさまよわせている。




「クハハハハ! クハハハハハハハハ!」




 いきなり、高笑いが響いた。


 目の前の空間がゆがみ、赤マントの男が出現する。



 こいつが……魔族。


 人間と同じ見た目……か。



「ようこそ! ワタシは偉大なる魔王サマの右腕、『夢魔のガンザ』と申します!」



「夢魔のガンザ……ユウリに何をした?」



 僕は魔族をにらみつける。



「彼女には、ワタシの遊びに付き合ってもらってますよ! 『甘美なる悪夢』に、ヒトの心がどれだけ耐えられるか? というね!」



 一発でわかった。


 こいつはゲスだ。



「ユウリお嬢さまを解放しなさい!」



 アイが叫ぶ。



「ふむ? アナタには確か、『狂戦士の呪い』をかけたはず……?」



「残念でしたわね。わたくしの自慢のご主人様に、助けていただきましたわ」



 アイは誇らしげに、僕の方を見た。



「む……」



 魔族は一瞬、ひるんだが。



「ですが! この少女の心を解き放つことは、できますかな?」



 すぐに、ニタリと笑った。



「彼女の心は、夢の世界に閉じ込めてあります。亡き父親と過ごす、甘い呪いの夢の中に、ね!」



 父親……ファーザ叔父さんか!



「この場所には少女の父親の、心のカケラが遺されていたのですよ! 『未練』という名のカケラがね!」



 ……こいつ。



「そのカケラと、少女の心とを! ワタシが魔力で結びつけた、というわけですよ!」



「死者が遺した心をもてあそぶ……許せないわね」



「ナヅキ」



 前に出ようとするナヅキを、僕は制した。



「でも! あいつ、マモルくんの叔父さんを!」



「挑発に乗っちゃダメだ」



「……わかったわ」



 ナヅキはこぶしを握り締めながらも、うなずく。



 叔父さんを天国に連れて行ってくれた、ナヅキ。


 そのナヅキは、今も。


 叔父さんのために、怒ってくれている。



 何だか……嬉しかった。



「タイムリミットまでは、あと10分ぐらいでしょうかぁ?」



 魔族は、ペラペラしゃべり続けている。



「10分後! 少女の心は、永遠に夢の世界へ閉じ込められるでしょう! 甘い夢にむしばまれながら、植物状態で一生を終えることでしょうなぁ!」



「くっ……このっ……!」



「ダメだ、アイ」



 飛び出そうとするアイを、僕は押さえ。


 魔族に言ってやる。



「どうせ、保険がかけてあるんだよな? 今アンタに危害を加えれば、ユウリの心は一生夢の中にとらわれる、って感じか?」



「……ずいぶんと、カンが鋭いお方ですねぇ」



 魔族は、いまいましげに舌打ちするが。


 すぐに、侮った表情に変わる。



「しかしアナタに、この状況を打開する手段はないでしょう? ワタシが組み立てた、カンペキなシチュエーション! 人間風情に、崩せるはずがありませんからね!」



 好き勝手に、ペラペラとしゃべったあとで。



「それでは10分後、またお目にかかるといたしましょう! クハハハハハハハハ!」



 魔族は宙に溶け、姿をくらました。



「崩せるはずがない、か。それはどうかな?」



 悪趣味なくせに、詰めが甘いな。


 今の僕には、みんなを守る『力』がある。



「あんな魔族の、思い通りにさせてたまるか!」



 僕は闘志を燃やすと、作戦を組み立てる。



「今回の場合、いきなり『解呪』するのはダメだ」



「それは、どうして?」



 ナヅキの問いに、僕は答える。



「ユウリの心を縛っているのは、ファーザ叔父さん……つまり、ユウリのお父さんだ」



 つまり。



「無理やり消してしまったら。ショックが大きすぎて、ユウリの心が壊れてしまうかもしれない」



「……なるほど。そこまで考えているのね」



 ナヅキが感心したようにつぶやく。



「だからまずは、『いにしえの勇者パーティー』の力を借りる」



「マモルさまに、そのような力が……!?」



「詳しくは、あとで話すよ」



 驚くアイに、笑いかけ。


 僕は、組み立てた作戦を口に出す。



「『マインド・コネクト』っていう、接触対象と精神を共鳴させる能力があるんだ。僕がユウリの精神世界に飛び込んで、心に直接呼びかけてみる」



 ただし。



「僕の言葉で正気に戻せるかは、わからないけど――」



「絶対にうまくいくわ」



 ナヅキが力強くうなずく。



「だってマモルくんに、不可能はないもの」



「……ああ!」



 僕もナヅキに、力強いうなずきを返した。



「マモルさま! ユウリお嬢さまを、どうかよろしくお願いいたします!」



「もちろん! 絶対に連れて帰るよ!」



 深々と頭を下げるアイに、断言すると。


 僕はユウリの手を、ぎゅっと握りしめた。



「いにしえの勇者たちよ! 僕に力を! マインド・コネクト!」



 宣言した瞬間。


 僕の視界が、白く染まった……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな ・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー! 【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】  付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。  だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。  なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!  《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。  そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!  ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!  一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!  彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。  アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。  アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。 カクヨムにも掲載 なろう 日間2位 月間6位 なろうブクマ6500 カクヨム3000 ★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

処理中です...