トイレが言えないっ!

かろ丸

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6.文化祭 ※女装注意

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「陽登、陽登!」

 急に立ち上がって帰ると言って走り出した陽登の背に千傘は声をかけたが、陽登は一切聞こえていないようで置いていかれて呆然としていた。
 これではいけないとその背をすぐに追いかけては見たものの、教室から出てきた陽登にあからさまに動揺してくるりと背を向けられ避けられて動揺してそれ以上追うことができなかった。
 結局大人しく教室に戻ってぼんやりとしたままHRを済ませ、放課後になってもまだ帰る気になれず呆然としていると見回りの教師に帰れ帰れと尻を叩かれ帰路についた。
 電車に乗って流れる景色をぼんやり眺め、スーパーで夕飯の買い物をして帰り、料理の支度をしている最中も、弟たちを風呂に入れている最中も、寝かしつけてやっと一人になったあともずっと上の空だった。

(きたないって……やっぱあれ、俺に言ってたのかな。……何が悪かったんだろう)

 ベッドに入って暗い中天井を見つめ、千傘はやっと振り返る気になれて考え始める。
 友達のライブを陽登がかっこいいといっていて嫉妬したあたりから、苦手なお化け屋敷につれてったことも、中で置いてって泣かせたことも、パーソナルスペースが元々広そうな陽登に対して強引な距離の詰め方をしたことも、陽登がダメそうな行為には心当たりがありすぎて頭を抱える。
 でもお化け屋敷で「千傘」と名前を呼んでくれたし、距離は近づいたと思っていたのに。

(嫉妬するのは仕方ないしお化け屋敷怖いのもしらなかったし、距離だっていつもと同じだっただろ)

 考えれば考えるほど反省どころか開き直って自分を正当化してしまいそうになる。

(ていうか、手汗とかはかいてたかもだけど、汚いって言うことないじゃん)

 汚いに関してはちょっと、いやかなり、傷ついた。だんだんともやもやしてきてイライラして眠れなくなって千傘は起き上がりベッドから出る。窓を開け、もう冬の近づく少し肌寒い空気を思い切り吸い込んで深呼吸をした。
 陽登と喧嘩したいわけじゃない。これじゃ駄目だと千傘は陽登にメッセージを送った。

『もう寝た?
今日なんで急に帰ったの?
俺がなんかしてたらおしえてほしい。』

 ストレートすぎたか?と思いつつ返事を待ったものの、5分たっても、10分たっても、30分たっても陽登からの返事がこなくて、しびれを切らして電話をかけたもののそれもかからず、そこでふと勝手に帰った陽登に対して自分は少し怒っているのかもしれないと気づいて自分の心の狭さに千傘は肩を落とした。

(俺って超心狭いじゃん)

「情けなぁ…」



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