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第34話 騎士団の調査2

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前回のあらすじ
ドラゴン調査一向についていく事になったパンツさん。
その道中、パンツさんがいきなりスライムに襲われるがルク・スエル副ギルマスのリッターに助けられたが、パンツさんはアイルさんに萌えるのだった……。

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「魔力の流れが分かるって事は相手が魔法を放つタイミングが分かったり、魔力量が分かるから戦闘する際に対策を立てやすくなって有利になるって事。そうでうすよね?リッターさん?」

「流石アイルちゃんね。概ねその通りよ。魔法を放つ際には魔力を集める必要があるから魔素の流れが分かれば、相手が何の魔法を使用するのか?また放つタイミングを判断出来るから躱しやすかったり、魔法を放つ前に倒したりね。今回のスライムも魔力が集中している場所、つまりコアが見えたって訳。」


成る程。確かにそりゃ便利だ。
リッターさんの眼鏡はファッションとか目が悪いって訳じゃなかったんだな。
似合ってるからあれがマジックアイテムって気付かないぞ。

そうこうしている内に、先日、俺達3人と『太陽の風』のパーティが野営した場所へ到着した。


「ギルマス、ここです。」


シェールがギルマスに野営した地点に到着した事を報告する。


「ここか……。ラシュリー様、現場に到着した様です。」

「……うむ。」



ギルマスが素敵オジサマ騎士団長のラシュリー様にそう伝えると、ラシュリー様と御付の騎士3人が手の平を翳かざすと緑のオーラの様なモノが手に掛かり野営した周辺を歩き回る。

何をやってんだ?


「アイル、何をやってるんだ?あれ?」

「さぁ?」


アイルも素敵オジサマ達の騎士団が何をしているのか分からないらしい。
するとシェールがその疑問に答えてくれた。


「騎士団の『風魔法』の使い手であれば魔力残渣、放たれた魔力の痕跡を探知する魔法が使える様に修業させられるらしいぜ。
つまり魔力残渣の痕跡が分かれば何の魔法を使用したのかどの程度のモンスターが魔法を放ったのか大体の見当をつける事が出来るって訳だ。」

『シュギョウシタカラ』……か。
ほほう。『風魔法』の新たな使用方法が聞けたな。
俺の記憶の世界に例えるなら事件現場で指紋採取とか証拠集めをする鑑定捜査みたいな事か。

……………。
…………………。
あれ?もしかしてバレチャウパターン?ドキドキ
騎士団が一通り周辺を捜査し終わったのかギルマスと俺達がいる所に戻ってくる。


「……既に魔力が拡散されてしまい魔力残渣も碌に残っていない様だ。残念だ。」

「そうですか。ラシュリー様の探知魔法で判明できなければどうしようもないですね。」


ギルマスのレトがそう呟く。


「しかし不思議だな。ドラゴンがここに居たのならば足跡一つぐらいは残っていてもいいものだが。」


ラシュリー騎士団長は顎鬚を撫でながらそう疑問を口にする。


「確かにそうですね。」


レトも同様の疑問を思っていたのか同意する。


「空中からブレスを放ったとは考えられませんか?」


副ギルマスのリッターがそう推測を述べる。


「その可能性が高い……が、これだけのブレスを吐くドラゴンとなると相当な体躯だった筈……。まして魔法防御陣の外壁を溶解する様なドラゴンであれば尚の事だ。しかしブレスを放った周辺の木々は全く薙ぎ倒されてもいないしその痕跡もない。」


「ユニーク種(突然変異)のドラゴンだった可能性はないでしょうか?」

ユニーク種突然変異のドラゴン?アルボレート、もう少し詳しく聞かせてくれ。」


アルボレートと呼ばれた1人の御付騎士が続けて話す。


「はい。昔、聞いた事があります。体長が小さいドラゴンでも膨大な魔力を内包するユニークモンスター(突然変異)が居る事を。
騎士団でも少ないですが過去数件報告されていた気がします。
恐らく今回の一件もそいつの仕業ではないかと……。」


「ふむ……。過去にも同様の事例があったか。しかし危険だな。ランクB魔獣のギガントパイソンをブレス1撃で葬り去る程のユニーク種突然変異のドラゴンが、このルク・スエル近郊に存在するかもしれないと言う事か。」

「いえ、それだけではありません。まだ推察でしかありませんが、今回、ギガントパイソンをドラゴンが倒したから良かったものの、もしドラゴンが倒していなければ、ルク・スエルはギガントパイソンに襲われていた可能性が高いです。現に死骸が見つかったのは街と目と鼻の先で見つかっていますので。」


御付騎士のアルボレートがそう危惧する。


「またギガントパイソンは基本的に単独行動をする魔獣ですが、番つがいである場合もありますので、まだ周辺に他の個体、つまり番がいるかもしれません。」


「…………。」

「…………。」


ギルマスのレトと副ギルマスのリッターさんは俯いて無言だがその表情は強張っているのが分かる。
自分達の街周辺にとんでもない化け物がまだ存在するかもしれない。もしかしたら突然、あの攻撃をまた受ける可能性も否定出来ないのであれば当然だ。


………。
…………………。
犯人、俺だけど。


今更「僕がやりましたぁ~!!めんごめんごぉ~~てへぺろりんちょ~☆」
「あはは!何だぁ~お前の仕業かぁ~こ~いつぅ(笑)」
って雰囲気じゃないし……と言うか捕まりそうだし……。
架空のユニークモンスター(突然変異)のドラゴンさん……俺の罪を被って下さい。ごめんなさい。


「ほら。やっぱりややこしい事になっちゃったじゃない。」


アイルが小声で俺に囁く。


「大丈夫!もう少しだから。俺達が何も言わなければバレないから!」


騎士団が魔力残渣を捜査し始めたとシェールから聞いた時は俺もバレないか内心ドキドキだったが、このままいけば俺の思惑通りドラゴンさんが被って貰えそうだ。
ふぅ。めでたしめでたし………とはならなかった。


「おい!!やべぇぞ!!東の方からギガントパイソンがこっちに向かってきやがった!!」


そう叫びながら『太陽の風』の斥候役、ジンが木の上を移動しながらこちらにやって来た。

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