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第66話 襲撃の結末3

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野盗のリーダーのハッナンを冷笑を浮かべながら一刀両断で始末したファムさんの姿を見た俺は怯える。
美人さんだけに尚更こええ!!!
絶対Sだわ!女王様のコスプレで鞭と蝋燭似合そう!!
俺は咄嗟に木陰に隠れてブルブル震える。
ファムは剣を収めて馬車へと歩み寄って来る。


「パンツ殿ぉ?はて、どこへ行かれたのかな?」


ビクッ!!
ファム様は馬車の周囲を調べて俺を探している。
急にホラー展開みたいな事に……。
そもそも何で俺が隠れなきゃいけないんだ………。


「パンツ殿ぉ!!どこに行かれたのだ!?戦いは終わったぞ!!」


うぅ……後から捜索とかされてもやっかいだし……出て行くか……。
俺は観念して木陰からオズオズと姿を現す。


「何だ。パンツ殿。どこに行かれていたのだ?」
「………はは。ちょっと用を足しに。」
「そうであったか。私が戦っている最中、用を足しに行くとは……パンツ殿、酷いですな!」
「ごめんなさい!!」
「え?いや、冗談ですよ。パンツ殿。先ほどから様子が……」
「そ、そうですか?ちょっと残尿感が残ってしまって……。」
「パンツ殿。私も一応……女ですのでそう言った事は……。しかし、私の我儘で加勢に入るのを制してしまって済まなかった。」
「え?謝る事ないですよ!俺が勝手に加勢しようとしただけなので……。」
「自己満足でしかないかもしれぬが、奴を私の手で倒す事で仲間を弔う事が出来た気がする。」


成る程。
仲間を殺された弔い合戦だったのか。


「しかしそれ、マジックアイテムだったんですね。」
「ん?これか?そうだ。毒を浄化する魔導石のマジックアイテムなのだ。念の為にと思い身に付けていたのだが……これが無ければ死んでいたな。」


ファムは胸元の青い魔導石が埋め込まれているペンダントを手に取り、感慨深い表情で見つめている。


「ファムさんの青い髪と同じで綺麗な青い魔導石ですね。」
「……!?な……ななな、パンツ殿!!何を言い出すのだ!?わわわ、わたしが綺麗!?」


そう言うとファムさんはモジモジと顔を赤らめて俯いてしまう。
ファムさんカワイイ!!!けどまだ怖い!!
6対4でまだ怖さが勝ってるよ!!
あの冷笑を浮かべながら人を両断する様は……夢に出そうだ。
俺が一人怯えていると、ファムさんは馬車に乗り込み出発の準備をする。


「さぁパンツ殿。ルク・スエルまで宜しく頼む。」
「は、はい。あ、待ってください。ファムさんも返り血で汚れてますよ?」
「む?そう言えば確かに。パンツ殿も血だらけですな。」
「この周辺に川はないですか?血だらけでは街に入れてくれないかもしれないですよ?」
「そうだが……川は街の近くを通っている辺りにしかない筈だ……。」


近くに川はないのか……。どうするかな。
………。
………………。
そうだ!太陽の風のエチルさんとカバールさんがブラッドボアを倒した方法で簡易水風呂が出来るじゃないか!
俺は直ぐに土魔法で風呂枠を作成する。
後は、水魔法か……。
まだ使った事はないが……。


「カバールさんの水魔法をイメージして……。」


俺は風呂枠に水魔法を発動させると、あっという間に水風呂の完成だ。
泥だらけになるかと思ったが、作成する際に水が漏れない様にコーティングするイメージで作成したので水漏れも泥になる事もない。
魔法チート便利だなぁ。
火魔法も使えばお湯に出来るかな。
俺は掌に火魔法を発生させて、水風呂の中に放り込み魔力を注ぎ込み続けると、水の中で火が燃え続け、あっという間に水が煮立ちだす。
そっと風呂の中のお湯に指先を入れる。


「!?アッ!!!!……ッツツッ!!!!!」


熱過ぎる!!
俺は直ぐに指先を引っ込めて1人悶絶する。
そりゃ煮立っているお湯だもんな。
そりゃ熱い筈だわ。
火魔法を引っ込めて、水魔法で水を入れて温度調整し、いい感じの風呂が完成した。


「パ、パンツ殿、そ、それは?」
「簡易の風呂を作ったので血を洗い流しましょう。」
「お主……本当に何者なのだ。」
「只の駆け出し冒険者ですよ。」
「………。」
「さぁ、先に使って下さい。その間、俺が馬車でお姫様を守ってますから。」
「すまない……。」


俺は馬車へ移動し、もたれ掛って時間を潰す。
さて、このまま何事もなくルク・スエルまで行ければいいのだが。
しかしファムさん……あれが騎士って奴なのか?
俺も魔法で野盗どもを殺してはいるが……遠距離だったからなのかまるで実感がない。まぁ悪党を何人殺した所で良心の呵責もないが。
人を斬る事に一切、躊躇いが無かった。
ファムさんのあのハッナンを両断する直前に見せた笑み………ブルッ

バタン!!
「ヒッ!!」


突然、馬車の扉が内側から開かれた。


「ファム!ファム!!どこぉ!!!うぇぇぇぇえ~ん!」


お嬢様、目が覚めたのか……。
ビックリさせやがって……。


「うぇぇっえええぇ………ん?」
「え?」


馬車の扉から乗り出すお姫様と俺は眼が合った。
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