没落した転生令嬢は、護衛を縛る(物理的な意味で!)

如月あこ

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3、

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(……あれ?)

 カルロの手が止まった。
 冗談で言ったのだから、止めてくれていい。
 しかし、ズボンではなく局部だけ露出して止めるなんて。

 自分の命令を棚に上げて、ユルティナは眉をひそめた。

「ソレだけ見せるなんて、変態……?」

 カッとカルロは恥ずかしそうに俯くが、彼の興奮に滾った昂りはさらに膨らんだ。
 ぎちぎちと揺れながら、興奮し過ぎて反っている。

 カルロは顔だけでなく全身をほんのり赤くしながらも、ゆっくりズボンを下ろすために手をかけた。

「待って。別にあなたの下半身に興味あるわけじゃないから」

 むしろ、泣きそうな姿を見ると良心が痛む。

「も、申し訳、ございません」
「泣かないでよ」

 カルロの頬に手を添えて、溢れている涙を拭う。
 そんなことで、ぴくんと身体を震わせるカルロに驚く反面、やはり可愛いと思ってしまった。

(……変な感じ)

 ユルティナは、これから生涯一人で生きていくつもりだった。
 あらゆるものを失ったユルティナの傍に、カルロは今後もいたいという。

(……というかカルロ、なんで興奮してるのよ)

 さっきよりも興奮している気がする。
 イチモツも出したままで、しまわないし、露出の趣味があるのだろうか。

(見せつけてるの? ……あ、しまえないのね)

 膨らみ過ぎて、ズボンになおすには窮屈なのだろう。

「私、席を外すから。それを処理したら戻りなさい。雇用に関しては、もう少し考えるから」

 新しい護衛との契約を破談にするには、それなりの手続きが必要だし、カルロとの契約を続行するにしても、やるべきことが沢山ある。

 ユルティナは、頭を抱えながら部屋を出た。

 ◇◇

(……嫌われてしまった)

 あんな態度をとっていたのだから、当然のことだろう。
 むしろ早く自分をユルティナから遠ざけないと、取り返しのつかないことをしてしまいそうだから、これでいいのだ。解雇するというのなら、ユルティナのために頷くべきだ。

 しかし、いざユルティナに会えなくなると思うと恐怖ばかりが湧き上がった。
 二度と名前を呼んでもらえない、その瞳で見て貰えない。そしてユルティナはカルロではない別の護衛に、これまでカルロがしてきたことを任せて美しい笑顔を向けるのだ。

 到底、冷静でいられる余裕などなかった。自分以外の男が誰よりユルティナのそばに居るなんて、ありえない。

 一体いつから、こんな邪な感情を抱いてしまったのか。
 元々、ユルティナが王妃になるために真剣に学んでいる姿は護衛兼従者として誇らしかったが、王太子のことは気に入らなかった。

 ユルティナに尽くされて当然という態度を取っていたあげく、ユルティナの実家と敵対している勢力の貴族と婚約し直したのだ。

 ――俺なら、お嬢様だけを愛する

 そうだ。そんなふうに思ってしまったら、感情を隠せなくなってしまったのである。
 これまで誰かにこんな感情を抱いたことなどなかったから、尚のこと、どうしたらよいかわからなくなってしまった――。

「あ、あっ……んん、お嬢様ッ!」

 欲望を主張する剛直を握りしめて、しごく。
 ユルティナの部屋で、ユルティナの香りのするベッドの前で――しかも、別室にいるユルティナは、カルロが今、彼女のことを思いながら自慰行為に耽っていることを知っているのだ。 

 それらはすべて興奮材料となり、カルロの理性を奪っていく。
 こんな感情を持ってはならない。
 自分ごときがユルティナに抱いていい感情ではない。

「お嬢様ッ、あぁッ」

 気持ちが知られたら、分不相応だとユルティナに嫌われると思っていた。だから溢れてくる愛しさと欲望を隠すのに必死で……はじめての感情に、カルロ自身振り回されていたのだ。 

 ――「ソレだけ見せるなんて、変態……?」

 ユルティナの言葉と声音、彼女の視線を思い出す。
 全身にぞくぞくと快楽が走り、どうしようもできない本能が腰から湧き上がって、空中に向けて腰を突き出した。

「ふっ、んんっ、あぁ……ッ、お嬢様ッ」

 勢いよく白濁が飛び出し、扱きながらしぼる。
 手の中に収まりきらなかった白濁が床に散らばっているのを、ぼうっと見つめた。

(お嬢様……)

 ユルティナの視線を思い出すと、また股間が首をもたげはじめる。
 これまでもそうだったが、一度で収まるはずがなかった。ましてやここは、ユルティナの部屋なのだ。

 ふらふらとユルティナのベッドに寄って、シーツに顔を埋める。
 ユルティナの甘く女性的な匂いを吸い込むと、もう、止まらなかった。

「お嬢様……触って、くださいッ、お嬢様ッ、いいッ」

 妄想のなかのユルティナが、仕方がないわねと言ってカルロの股間に手を伸ばす。小さく柔らかな手が男根の裏側に触れて、刺激をくれる。

「お嬢様ッ、もっと、もっとぉ、触ってくださいッ」

 これまで、自慰行為はいつも声を押し殺していた。
 ユルティナには決して知られてはならないからだ。
 しかし、今日は事情が違う。ユルティナは彼女の部屋で自慰行為に耽る時間までくれたのである。

「あああッ、お嬢様、もっとッ!」

(俺はきっと、お嬢様の言うように、変態なんだ……)

 ただでさえ溢れそうになっていた気持ちは、もう抑えることが出来なかった。
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