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【14】初夜②
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すぐ近くにステュアートの端正な顔があった。
ほんのり頬や目じりが赤く色づいている。
その色っぽさに思わず見惚れていると、ステュアートはそっと幼子に言い聞かせるように囁いた。
「嫌だったり、気持ち悪かったりしたら、言ってください。すぐに止めますから」
ステュアートの手が、アリアドネの身体を這う。
腰から脇腹、腕、肩、頬。
一通り上半身を撫でたあと、胸に触れる。
形を確かめるような優しい手つきだったが、すぐ、押しつぶすようにやや激しい手つきになる。
それでも乱暴さを感じないのは、ステュアートの気遣いが伝わってくるからだ。
「痛くないですか?」
「は、はい。平気です」
素直に頷くと、ステュアートも頷き返した。
思えば、初夜を実行すると断言したときに広げた指南本の半分は、アリアドネを気遣うような内容だった――気がする。
タイトルまでは覚えていないけれど、閨に関する本は意外にも沢山出ていることをアリアドネは知っていた。
子が出来やすくなる情事のやり方、男のための閨教室、といった類いの本もあるなかで、あえてステュアートはアリアドネを気遣うような本を選んでくれたことが、今更ながら嬉しいと感じる。
風呂で雰囲気作りから、という手法も、おそらく指南本にあったやり方なのだろう。あのときはかなり驚いたけども。
「……なんですか?」
顔に喜びが出ていたらしい。
ステュアートがムスッと尋ねてきた。
隠すことでもないと思い、アリアドネは素直に思いを伝える。
「気遣って下さって嬉しいんです。大切にしてくださってるって思えて……」
途端に、ステュアートは顔をしかめてしまう。
「私をなんだと思ってるんですか、夫なのですから妻を大切にするのは当然でしょう」
呆れたような口調である。
どうやらステュアートにとって、妻を大切にすることは当然のことらしい。
自分のズレた考えが、知らずにステュアートを貶めていたことに気付いたアリアドネは、申し訳なく思って謝罪をした。
「構いません。あなたの自己肯定感が微妙に低いというか偏っているのは最初からわかっていましたから。というか、やけに余裕がありますね」
「余裕だなんて、そんなことありません。ステュアート様が頼もしいから、安心していられ、あ……ッ!」
胸の先端を摘ままれて、身体をビクリと震わせた。
初めて感じる痺れに驚いて咄嗟に身をよじってしまう。
「……痛いですか?」
真面目に――それも、どこか申し訳なさそうに尋ねられて、アリアドネは首を横にふる。
「い、痛くありません。でも、変な感じがします」
「ここですか?」
きゅ、と先程より強く突起を摘ままれて、また身体を震わせる。
声こそ出なかったけれど、胸の先端が寒いときのようにふるりと勃ち上がるのを感じた。
そこをコリコリと摘ままれて、アリアドネは唇を噛みながら身をよじる。
「やはり、痛むんですね」
「ち、違います。だって、そこ弄られたら、変な感じがして」
「変、と痛みは異なるのですか?」
指の腹で潰すように摘ままれると、大きく身体が跳ねた。
痺れるような感覚が全身を這うように広がり、下腹部に集まっていくような気がする。
「痛く、ないです」
「それはよかった」
ステュアートの安堵する様子が見て取れて、アリアドネは胸を温めた。
初めての情事で戸惑うこともあるし、恥ずかしさもかなり感じる。
それでもなるべくステュアートの問いには素直に答えよう、そう決めたとき。
胸の突起を強く吸われて、アリアドネはこれまでにない刺激に背中を仰け反らせた。
「ひんッ!」
咄嗟にステュアートの頭を押してしまう。
すぐに離れてくれるかと思ったが、スチュアートは顔をあげてアリアドネを見つめた。
「痛かったですか?」
「い、痛くは、ない、ですけど……」
「では……嫌、でしたか?」
しゅんとした落ち込んだ雰囲気が、ステュアートから発せられる。
まるで捨てられた子犬のような様子に、アリアドネはなんだか申し訳なさを覚えた。
「ち、違います。びっくりして、それで」
「……続けても?」
「はい!」
ステュアートは再び、硬く敏感に尖った胸の片方に吸いついた。
さらに、もう片方を指の腹でこねる。
「あぁッ、ん、んッ」
下腹部の奧がじんじんと痺れて、全身が火照っていく。
胸の先を刺激されているだけなのに、子宮が収縮するような奇妙な感覚に戸惑ってしまう。
――女は快楽を得ると子宮がキュンキュンする。
王都で服飾の仕事についたばかりのころ。
井戸端会議をしていた女たちの誰かが、そんなことを話しているのを聞いたことがあった。
では今のアリアドネの状態は、快楽を得ているということなのか。
「あぁ…、あ……ッ、やぁ……ッ」
どんどん刺激が大きくなっていく。
いつの間にか、ぷっくり膨らんだ胸の突起が木苺のように真っ赤に色づいていた。
その木苺を、ステュアートが美味しそうに舐めしゃぶっている様子が卑猥で、咄嗟に顔を背ける。
しかし、あることに気付いてすぐに視線を戻した。
ステュアートの表情が、とても苦しそうなのだ。
額には汗がびっしょりと浮かんでいる。
「あの、ステュアート様が、とても苦しそうです」
そっと彼の頭に手を触れると、ステュアートは小さく「いえ」と答えた。
否定する姿に、やはり苦しいのだと確信する。
確か男性は興奮すると股間が大きくなって、そのままだととても苦しい――という話を聞いたことがあった。
王都の下町の主婦は皆、下ネタが大好きなのだ。
アリアドネが、意図せず様々な閨の情報を仕入れてしまうほどに。
「どうしたら気持ちよくなりますか?」
「あなたはそんなこと、考えなくていいんです。ただ横になっていて下されば、気持ちよくして差し上げますから」
「もうずっと気持ちいいです」
ステュアートが顔をあげる。
声に出して「気持ちいい」というのは恥ずかしかったが、誠実なステュアートにばかり奉仕させるわけにはいかない。
それに、顔をあげたステュアートの額から流れる汗の量はとても多くて呼吸も速い。
かなり苦しそうだ。
「本当ですか? 気持ちいい……?」
「はい。初めてなので、快楽だと気付くのに遅くなってしまいましたが、気持ちいいです。……ステュアート様が気遣ってくださるから」
彼の額の汗を手で拭うと、アリアドネはそっと身体を起こして彼の額に口づける。
汗がしょっぱくて、ふふっと笑った。
ふと、彼の下半身にヌッと聳える大きな肉棒に気づいて、胸中で首を傾げた。
それが男性器だと思い至った瞬間、アリアドネは息を詰める。
(お、大きい……え、これ……え、リリアンが怒ってる……?)
色はリリアンと同じ綺麗なピンクをしている。
牧師のそれは黒かったような気がするから、きっと色にも個人差があるのだろう。
しかし、ステュアートの股間のそれは思っていたよりもずっと大きく、そして逞しかった。
血管を浮かせながらそそり立つそれは、透明な液体を纏ってぬらぬらと光沢を見せている。
「……なんですか? やはりあなたの好みではないから、嫌なんですか?」
憮然とした声に、アリアドネは眉をひそめた。
「あの、やはりって?」
「私の息子が好みではないというのは、以前に聞きましたが」
「言ってませんけども!」
息子、という呼び方から、カーン帝国の王都でラティスと対した時のことだと瞬時に悟る。
こんなにも早くあのときの話だとわかったのは……たった数日間とはいえ、共に過ごしたことでステュアートの性格を少なからず知ったからだろう。
驚いた顔をしたステュアートが、アリアドネと――それから己の股間を見比べた。
見比べられることが解せないけれど、あえて言わない。
「アリアドネさんは、私のここが嫌いなのではないのですか? では……どこが嫌いなのでしょう?」
「これまで私が知ったステュアート様に、嫌いな部分なんてありませんよ」
嫌い、という部分はどこから出てきたのだろうか。
訝りながらもそう答えると。
かつてリリアンだったものが、一回り膨らんだ気がした。
見間違いかと思ってまじまじと見つめると、むにゅ、と両頬を掴まれる。
「あなたがそうやって煽るから、我慢できなくなるんです」
「煽る?」
「無自覚ですか? 平凡女のくせに、私をこんなふうにさせるなんて許せませんね」
むにむにと頬を潰されながら、アリアドネは内心で首を傾げる。
「あの、気付かないうちに失礼なことをしてしまったなら、改めます。でも、我慢はしなくていいですから」
頬を押しつぶしていた手が離れた。
手はすぐに太ももに降りて膝裏に差し込むと、そのまま両足をぐいっと押し開かれる。
これまで誰にも見せたことのない秘所が丸見えになってしまい、アリアドネは羞恥で顔を真っ赤にさせた。
「震えてますね。やはり怖いですか?」
「は、恥ずかしい、だけです」
「……私のここは、じっと見ていたのに?」
開かれた太ももの間に、ヌッと濡れて光る肉棒が押し当てられた。
火傷しそうな熱さに驚いていると、太ももの間でにゅるりと前後に擦りつけられる。
「あぁッ!」
しとどに濡れていた秘所の上を強く擦られるたびに、目の前がチカチカするような甘い快楽が貫いた。
「あっ、こ、擦れちゃ……う」
「擦ってるんです」
ステュアートが、切なく色っぽい吐息を漏らす。
驚いて見上げると、これまでよりずっとステュアートの表情が艶かしいものに変わっていた。
ドクンと心臓がひと際高鳴って、アリアドネはシーツをぎゅっと握りしめる。
「く…っ、あ……ぁ、アリアドネさんッ」
秘裂に肉棒の側面が押し付けられて、えぐるように擦られてしまう。
浮いた血管が秘裂を刺激しながら愛液を掬い広げ、先の笠の部分が叢に隠された花芯を引っ掛ける。
そのたび、雷に打たれたような強烈な快楽がアリアドネを襲い、愛液を溢れさせた。
性器を擦り付ける背徳感と初めて齎される快楽に、アリアドネは胸を切なくさせる。
呼吸が荒くなって身体が高まっていくのに、なぜか寂しい。
「ん、あぁ……んっ、ス……ステュアート、さ、ま」
ほとんど無意識だった。
名前を呼び、それまでぎゅっとシーツを握りこんでいた両手を、彼に向けて広げる。
ステュアートは答えるように、逞しい腕でアリアドネの身体を抱きしめた。
より身体が密着して、擦る角度が変わったことで花芽に更なる刺激が加わる。
荒波のような快楽が押し寄せてきて、アリアドネは大きく身体を震わせた。
ステュアートの律動が早くなる。
「ふ……ッ、んん…っ、はぁ、ああ…っ、……あぁ……っ」
齎される快楽の渦のなか、アリアドネは呼吸すら上手くできずに与えられる快楽を受け止め続ける。
「あぁ、くっ、あ……っ、アリアドネ…っ」
ステュアートの声はとても苦しそうだ。
ちゃんと気持ちいいだろうか……?
アリアドネはステュアートの背中に回した手に力を込め、そっとステュアートの耳元で囁いた。
「ステュアート様、きもちよく、なっ、て……ッ」
「――ッ!」
ステュアートの身体が硬直し、欲望を吐き出した。
乱れた呼吸が少しづつ整っていくと、ぐったりアリアドネの身体にもたれ込む。
どうやら果てたようだ、と安堵したアリアドネの髪をステュアートの指が優しく梳く。
ステュアートは手早く吐き出した欲望を拭き取ると、体勢を変えた。
膝立ちになって座り、両手でアリアドネの太ももを抱え込んだのだ。
「え? あの、ステュアート様……?」
ステュアートはチラッとアリアドネの表情を見たあと両足を押し開き、露わになった秘所に舌を這わせた。
「きゃっ、な、や、やめ……っ」
彼の舌が秘裂に沿って舐め上げると、すでに敏感になっていたアリアドネの秘所はとろりと蜜を溢れさせる。
「あぁ……ッ!」
あろうことか、溢れた蜜をステュアートは舌ですくい取るように飲み込み、残りを念入りに秘裂に塗り込んでいく――。
そんなところをまともに見てしまったアリアドネは、羞恥で頬を紅潮させた。
「待って、やめてくださいッ」
ぐいっと彼の頭を押す。
口調が少し強めになってしまったのは、とにかく恥ずかしかったのだ。先程の性器を擦り付ける行為も恥ずかしかったが、あれはステュアートも乱れていたからまだよかった。
だが、今回は違う。
これは、いわゆる『舌を使った奉仕』というやつだろう。
「ま、待って。そんなことしなくても――」
すべてを言い切る前に、肉厚な舌が襞の奥に滑り込む。
ぞくぞくぞく、と背筋を甘美な痺れが駆け抜けて、アリアドネは本能から身をよじった。
しかし、ガッチリと太ももを抱き抱えられているので、ほとんど意味がない。
「あッ、あ……ぁッ」
「少し我慢してください」
ステュアートの静かな、だが確実に熱を孕んだ声に、視線を向ける。
「ここを丁寧に解さないと、このあと痛いそうですから」
「……このあと?」
情事は終わったのではないのだろうか。
男女の営みは、男が欲望を吐き出して終わるもの――と聞いていたのだ。
とはいえ、あくまでアリアドネは耳年増なだけなので、偏った知識しかない自覚がある。
「このあと、本番をします」
「本番って……?」
「私のこれを、アリアドネさんのここに挿入るんです」
ほんのり頬や目じりが赤く色づいている。
その色っぽさに思わず見惚れていると、ステュアートはそっと幼子に言い聞かせるように囁いた。
「嫌だったり、気持ち悪かったりしたら、言ってください。すぐに止めますから」
ステュアートの手が、アリアドネの身体を這う。
腰から脇腹、腕、肩、頬。
一通り上半身を撫でたあと、胸に触れる。
形を確かめるような優しい手つきだったが、すぐ、押しつぶすようにやや激しい手つきになる。
それでも乱暴さを感じないのは、ステュアートの気遣いが伝わってくるからだ。
「痛くないですか?」
「は、はい。平気です」
素直に頷くと、ステュアートも頷き返した。
思えば、初夜を実行すると断言したときに広げた指南本の半分は、アリアドネを気遣うような内容だった――気がする。
タイトルまでは覚えていないけれど、閨に関する本は意外にも沢山出ていることをアリアドネは知っていた。
子が出来やすくなる情事のやり方、男のための閨教室、といった類いの本もあるなかで、あえてステュアートはアリアドネを気遣うような本を選んでくれたことが、今更ながら嬉しいと感じる。
風呂で雰囲気作りから、という手法も、おそらく指南本にあったやり方なのだろう。あのときはかなり驚いたけども。
「……なんですか?」
顔に喜びが出ていたらしい。
ステュアートがムスッと尋ねてきた。
隠すことでもないと思い、アリアドネは素直に思いを伝える。
「気遣って下さって嬉しいんです。大切にしてくださってるって思えて……」
途端に、ステュアートは顔をしかめてしまう。
「私をなんだと思ってるんですか、夫なのですから妻を大切にするのは当然でしょう」
呆れたような口調である。
どうやらステュアートにとって、妻を大切にすることは当然のことらしい。
自分のズレた考えが、知らずにステュアートを貶めていたことに気付いたアリアドネは、申し訳なく思って謝罪をした。
「構いません。あなたの自己肯定感が微妙に低いというか偏っているのは最初からわかっていましたから。というか、やけに余裕がありますね」
「余裕だなんて、そんなことありません。ステュアート様が頼もしいから、安心していられ、あ……ッ!」
胸の先端を摘ままれて、身体をビクリと震わせた。
初めて感じる痺れに驚いて咄嗟に身をよじってしまう。
「……痛いですか?」
真面目に――それも、どこか申し訳なさそうに尋ねられて、アリアドネは首を横にふる。
「い、痛くありません。でも、変な感じがします」
「ここですか?」
きゅ、と先程より強く突起を摘ままれて、また身体を震わせる。
声こそ出なかったけれど、胸の先端が寒いときのようにふるりと勃ち上がるのを感じた。
そこをコリコリと摘ままれて、アリアドネは唇を噛みながら身をよじる。
「やはり、痛むんですね」
「ち、違います。だって、そこ弄られたら、変な感じがして」
「変、と痛みは異なるのですか?」
指の腹で潰すように摘ままれると、大きく身体が跳ねた。
痺れるような感覚が全身を這うように広がり、下腹部に集まっていくような気がする。
「痛く、ないです」
「それはよかった」
ステュアートの安堵する様子が見て取れて、アリアドネは胸を温めた。
初めての情事で戸惑うこともあるし、恥ずかしさもかなり感じる。
それでもなるべくステュアートの問いには素直に答えよう、そう決めたとき。
胸の突起を強く吸われて、アリアドネはこれまでにない刺激に背中を仰け反らせた。
「ひんッ!」
咄嗟にステュアートの頭を押してしまう。
すぐに離れてくれるかと思ったが、スチュアートは顔をあげてアリアドネを見つめた。
「痛かったですか?」
「い、痛くは、ない、ですけど……」
「では……嫌、でしたか?」
しゅんとした落ち込んだ雰囲気が、ステュアートから発せられる。
まるで捨てられた子犬のような様子に、アリアドネはなんだか申し訳なさを覚えた。
「ち、違います。びっくりして、それで」
「……続けても?」
「はい!」
ステュアートは再び、硬く敏感に尖った胸の片方に吸いついた。
さらに、もう片方を指の腹でこねる。
「あぁッ、ん、んッ」
下腹部の奧がじんじんと痺れて、全身が火照っていく。
胸の先を刺激されているだけなのに、子宮が収縮するような奇妙な感覚に戸惑ってしまう。
――女は快楽を得ると子宮がキュンキュンする。
王都で服飾の仕事についたばかりのころ。
井戸端会議をしていた女たちの誰かが、そんなことを話しているのを聞いたことがあった。
では今のアリアドネの状態は、快楽を得ているということなのか。
「あぁ…、あ……ッ、やぁ……ッ」
どんどん刺激が大きくなっていく。
いつの間にか、ぷっくり膨らんだ胸の突起が木苺のように真っ赤に色づいていた。
その木苺を、ステュアートが美味しそうに舐めしゃぶっている様子が卑猥で、咄嗟に顔を背ける。
しかし、あることに気付いてすぐに視線を戻した。
ステュアートの表情が、とても苦しそうなのだ。
額には汗がびっしょりと浮かんでいる。
「あの、ステュアート様が、とても苦しそうです」
そっと彼の頭に手を触れると、ステュアートは小さく「いえ」と答えた。
否定する姿に、やはり苦しいのだと確信する。
確か男性は興奮すると股間が大きくなって、そのままだととても苦しい――という話を聞いたことがあった。
王都の下町の主婦は皆、下ネタが大好きなのだ。
アリアドネが、意図せず様々な閨の情報を仕入れてしまうほどに。
「どうしたら気持ちよくなりますか?」
「あなたはそんなこと、考えなくていいんです。ただ横になっていて下されば、気持ちよくして差し上げますから」
「もうずっと気持ちいいです」
ステュアートが顔をあげる。
声に出して「気持ちいい」というのは恥ずかしかったが、誠実なステュアートにばかり奉仕させるわけにはいかない。
それに、顔をあげたステュアートの額から流れる汗の量はとても多くて呼吸も速い。
かなり苦しそうだ。
「本当ですか? 気持ちいい……?」
「はい。初めてなので、快楽だと気付くのに遅くなってしまいましたが、気持ちいいです。……ステュアート様が気遣ってくださるから」
彼の額の汗を手で拭うと、アリアドネはそっと身体を起こして彼の額に口づける。
汗がしょっぱくて、ふふっと笑った。
ふと、彼の下半身にヌッと聳える大きな肉棒に気づいて、胸中で首を傾げた。
それが男性器だと思い至った瞬間、アリアドネは息を詰める。
(お、大きい……え、これ……え、リリアンが怒ってる……?)
色はリリアンと同じ綺麗なピンクをしている。
牧師のそれは黒かったような気がするから、きっと色にも個人差があるのだろう。
しかし、ステュアートの股間のそれは思っていたよりもずっと大きく、そして逞しかった。
血管を浮かせながらそそり立つそれは、透明な液体を纏ってぬらぬらと光沢を見せている。
「……なんですか? やはりあなたの好みではないから、嫌なんですか?」
憮然とした声に、アリアドネは眉をひそめた。
「あの、やはりって?」
「私の息子が好みではないというのは、以前に聞きましたが」
「言ってませんけども!」
息子、という呼び方から、カーン帝国の王都でラティスと対した時のことだと瞬時に悟る。
こんなにも早くあのときの話だとわかったのは……たった数日間とはいえ、共に過ごしたことでステュアートの性格を少なからず知ったからだろう。
驚いた顔をしたステュアートが、アリアドネと――それから己の股間を見比べた。
見比べられることが解せないけれど、あえて言わない。
「アリアドネさんは、私のここが嫌いなのではないのですか? では……どこが嫌いなのでしょう?」
「これまで私が知ったステュアート様に、嫌いな部分なんてありませんよ」
嫌い、という部分はどこから出てきたのだろうか。
訝りながらもそう答えると。
かつてリリアンだったものが、一回り膨らんだ気がした。
見間違いかと思ってまじまじと見つめると、むにゅ、と両頬を掴まれる。
「あなたがそうやって煽るから、我慢できなくなるんです」
「煽る?」
「無自覚ですか? 平凡女のくせに、私をこんなふうにさせるなんて許せませんね」
むにむにと頬を潰されながら、アリアドネは内心で首を傾げる。
「あの、気付かないうちに失礼なことをしてしまったなら、改めます。でも、我慢はしなくていいですから」
頬を押しつぶしていた手が離れた。
手はすぐに太ももに降りて膝裏に差し込むと、そのまま両足をぐいっと押し開かれる。
これまで誰にも見せたことのない秘所が丸見えになってしまい、アリアドネは羞恥で顔を真っ赤にさせた。
「震えてますね。やはり怖いですか?」
「は、恥ずかしい、だけです」
「……私のここは、じっと見ていたのに?」
開かれた太ももの間に、ヌッと濡れて光る肉棒が押し当てられた。
火傷しそうな熱さに驚いていると、太ももの間でにゅるりと前後に擦りつけられる。
「あぁッ!」
しとどに濡れていた秘所の上を強く擦られるたびに、目の前がチカチカするような甘い快楽が貫いた。
「あっ、こ、擦れちゃ……う」
「擦ってるんです」
ステュアートが、切なく色っぽい吐息を漏らす。
驚いて見上げると、これまでよりずっとステュアートの表情が艶かしいものに変わっていた。
ドクンと心臓がひと際高鳴って、アリアドネはシーツをぎゅっと握りしめる。
「く…っ、あ……ぁ、アリアドネさんッ」
秘裂に肉棒の側面が押し付けられて、えぐるように擦られてしまう。
浮いた血管が秘裂を刺激しながら愛液を掬い広げ、先の笠の部分が叢に隠された花芯を引っ掛ける。
そのたび、雷に打たれたような強烈な快楽がアリアドネを襲い、愛液を溢れさせた。
性器を擦り付ける背徳感と初めて齎される快楽に、アリアドネは胸を切なくさせる。
呼吸が荒くなって身体が高まっていくのに、なぜか寂しい。
「ん、あぁ……んっ、ス……ステュアート、さ、ま」
ほとんど無意識だった。
名前を呼び、それまでぎゅっとシーツを握りこんでいた両手を、彼に向けて広げる。
ステュアートは答えるように、逞しい腕でアリアドネの身体を抱きしめた。
より身体が密着して、擦る角度が変わったことで花芽に更なる刺激が加わる。
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ステュアートの律動が早くなる。
「ふ……ッ、んん…っ、はぁ、ああ…っ、……あぁ……っ」
齎される快楽の渦のなか、アリアドネは呼吸すら上手くできずに与えられる快楽を受け止め続ける。
「あぁ、くっ、あ……っ、アリアドネ…っ」
ステュアートの声はとても苦しそうだ。
ちゃんと気持ちいいだろうか……?
アリアドネはステュアートの背中に回した手に力を込め、そっとステュアートの耳元で囁いた。
「ステュアート様、きもちよく、なっ、て……ッ」
「――ッ!」
ステュアートの身体が硬直し、欲望を吐き出した。
乱れた呼吸が少しづつ整っていくと、ぐったりアリアドネの身体にもたれ込む。
どうやら果てたようだ、と安堵したアリアドネの髪をステュアートの指が優しく梳く。
ステュアートは手早く吐き出した欲望を拭き取ると、体勢を変えた。
膝立ちになって座り、両手でアリアドネの太ももを抱え込んだのだ。
「え? あの、ステュアート様……?」
ステュアートはチラッとアリアドネの表情を見たあと両足を押し開き、露わになった秘所に舌を這わせた。
「きゃっ、な、や、やめ……っ」
彼の舌が秘裂に沿って舐め上げると、すでに敏感になっていたアリアドネの秘所はとろりと蜜を溢れさせる。
「あぁ……ッ!」
あろうことか、溢れた蜜をステュアートは舌ですくい取るように飲み込み、残りを念入りに秘裂に塗り込んでいく――。
そんなところをまともに見てしまったアリアドネは、羞恥で頬を紅潮させた。
「待って、やめてくださいッ」
ぐいっと彼の頭を押す。
口調が少し強めになってしまったのは、とにかく恥ずかしかったのだ。先程の性器を擦り付ける行為も恥ずかしかったが、あれはステュアートも乱れていたからまだよかった。
だが、今回は違う。
これは、いわゆる『舌を使った奉仕』というやつだろう。
「ま、待って。そんなことしなくても――」
すべてを言い切る前に、肉厚な舌が襞の奥に滑り込む。
ぞくぞくぞく、と背筋を甘美な痺れが駆け抜けて、アリアドネは本能から身をよじった。
しかし、ガッチリと太ももを抱き抱えられているので、ほとんど意味がない。
「あッ、あ……ぁッ」
「少し我慢してください」
ステュアートの静かな、だが確実に熱を孕んだ声に、視線を向ける。
「ここを丁寧に解さないと、このあと痛いそうですから」
「……このあと?」
情事は終わったのではないのだろうか。
男女の営みは、男が欲望を吐き出して終わるもの――と聞いていたのだ。
とはいえ、あくまでアリアドネは耳年増なだけなので、偏った知識しかない自覚がある。
「このあと、本番をします」
「本番って……?」
「私のこれを、アリアドネさんのここに挿入るんです」
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