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第四章 隠された真実
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それは。
本当に、突然のことだった。
そのニュースは、村どころか、日本中を震撼させた。
沈め池から、大量の白骨遺体が発見されたのだ。
沈め池に浮かんでいた死体の身元特定のため、沈め池の底を大規模捜索していた警察の捜索隊が発見したという。
平和な村で突如発見された、大量の白骨遺体。そのほとんどがまだ子どもの白骨であったことからも、メディアはそのニュースをこぞって取り上げ、ひっそりとした山間集落だった山城ヶ原村を、一躍有名にさせた。
驚いたのは私も同様だ。
あの仄暗い池の底に、まさか、大量の白骨が沈んでいたなんて。
しかし、驚いている暇なんか私にはない。
そんな、ある種の猟奇的ともいえるニュースを脚色して報道するメディアらの対応。孤立した集落に中高一貫校を作った市への反発。悪魔信仰などとデマを伝え、村自体を悪者扱いするメディアもいた。
突然のことだった。
学校は一時休校のかたちをとったが、明後日からゴールデンウィークを、最悪なかたちを迎えることになりそうだ。
「この村には、何かあるのかなぁ」
休校になった生徒不在の学校で、切磋琢磨業務に勤しむ教師たち。朝から手を休めることなく、昼過ぎまで仕事をこなしていた一同は、集中力が途切れ始めていた。
そんななか、ぽつりと呟いたのは南野先生だ。
「なんか、怪しいなって思ってたんだよ」
「なんかって、具体的にはどこにです?」
じと、と睨んだのは、早良先生だ。持ち前の鋭い言葉に、南野先生は「なんかは、なんか。理由なんかないよ」と真面目に返事を返していた。
沈め池から、大量の白骨遺体発見。
そのニュースは、突然村全体に広がったけれど、夢物語過ぎて信じる人のほうが少ないほどだ。村人が現実を受け入れる前にメディアが騒ぎ出し、現在、村人たちも混乱のなかにいる。
「メディアって、あることないこと騒ぎ立てるのよねぇ。こんな平和な村なのに、集団で悪魔信仰をしているとか、村ぐるみで子どもを生贄にしていたとか」
早良先生が、頬に手を当ててため息をつく。
今朝方、情報番組のコメンテイターが述べていた「この村の過去」の考察だった。ニュース番組での深読みした発言は、ただの想像でしかないのに、それを信じる人々も大勢いる。
休校にはなかったが、心配した保護者からの連絡もひっきりなしだし、知らない人から『悪魔はお前たちだ!』などという悪戯電話もかかってきた。
「昨日までの平和を、返してほしいなぁ」
南野先生の言葉に、私を含めて皆が頷く。
本当に、昨日までは平和だったのだ。
女子生徒が家出したり、深夜の校舎裏での怪奇現象だったり、ちょっとした事件はあったけれど、どれも解決した。
沈め池で水死体が発見されたときも、自殺の線が強いのではという話だったのに。
何がどうして、こうなったのか。
姫島屋先生も、今頃仕事の対応に追われてるのかな。
特に気にしていなかったけれど、先日姫島屋先生がもっていた郷土資料がやけに気になる。白骨が見つかってから、この村の成り立ちや人口についても報道されているけれど、姫島屋先生は白骨が発見される前から、村の歴史を気にしていた。
なんだか怖くなってきて、ティーパックの紅茶を煎れた。
さっきの南野先生の言葉が、やけに信憑性をおびてくる。
なんか怪しい、なんて言われると、ただ平和で長閑だと思っていた村が、孤立した牢獄のように思えてくるのだ。
単純な私は、仕事が終える前に姫島屋先生に連絡をした。
向こうもそろそろ仕事が終えるみたいなので、一緒に帰る約束を取り付ける。さすがに今日は、ふたりきりだと喜ぶ余裕はなかった。
心身ともに、疲れ果てていたからだ。
本当に、突然のことだった。
そのニュースは、村どころか、日本中を震撼させた。
沈め池から、大量の白骨遺体が発見されたのだ。
沈め池に浮かんでいた死体の身元特定のため、沈め池の底を大規模捜索していた警察の捜索隊が発見したという。
平和な村で突如発見された、大量の白骨遺体。そのほとんどがまだ子どもの白骨であったことからも、メディアはそのニュースをこぞって取り上げ、ひっそりとした山間集落だった山城ヶ原村を、一躍有名にさせた。
驚いたのは私も同様だ。
あの仄暗い池の底に、まさか、大量の白骨が沈んでいたなんて。
しかし、驚いている暇なんか私にはない。
そんな、ある種の猟奇的ともいえるニュースを脚色して報道するメディアらの対応。孤立した集落に中高一貫校を作った市への反発。悪魔信仰などとデマを伝え、村自体を悪者扱いするメディアもいた。
突然のことだった。
学校は一時休校のかたちをとったが、明後日からゴールデンウィークを、最悪なかたちを迎えることになりそうだ。
「この村には、何かあるのかなぁ」
休校になった生徒不在の学校で、切磋琢磨業務に勤しむ教師たち。朝から手を休めることなく、昼過ぎまで仕事をこなしていた一同は、集中力が途切れ始めていた。
そんななか、ぽつりと呟いたのは南野先生だ。
「なんか、怪しいなって思ってたんだよ」
「なんかって、具体的にはどこにです?」
じと、と睨んだのは、早良先生だ。持ち前の鋭い言葉に、南野先生は「なんかは、なんか。理由なんかないよ」と真面目に返事を返していた。
沈め池から、大量の白骨遺体発見。
そのニュースは、突然村全体に広がったけれど、夢物語過ぎて信じる人のほうが少ないほどだ。村人が現実を受け入れる前にメディアが騒ぎ出し、現在、村人たちも混乱のなかにいる。
「メディアって、あることないこと騒ぎ立てるのよねぇ。こんな平和な村なのに、集団で悪魔信仰をしているとか、村ぐるみで子どもを生贄にしていたとか」
早良先生が、頬に手を当ててため息をつく。
今朝方、情報番組のコメンテイターが述べていた「この村の過去」の考察だった。ニュース番組での深読みした発言は、ただの想像でしかないのに、それを信じる人々も大勢いる。
休校にはなかったが、心配した保護者からの連絡もひっきりなしだし、知らない人から『悪魔はお前たちだ!』などという悪戯電話もかかってきた。
「昨日までの平和を、返してほしいなぁ」
南野先生の言葉に、私を含めて皆が頷く。
本当に、昨日までは平和だったのだ。
女子生徒が家出したり、深夜の校舎裏での怪奇現象だったり、ちょっとした事件はあったけれど、どれも解決した。
沈め池で水死体が発見されたときも、自殺の線が強いのではという話だったのに。
何がどうして、こうなったのか。
姫島屋先生も、今頃仕事の対応に追われてるのかな。
特に気にしていなかったけれど、先日姫島屋先生がもっていた郷土資料がやけに気になる。白骨が見つかってから、この村の成り立ちや人口についても報道されているけれど、姫島屋先生は白骨が発見される前から、村の歴史を気にしていた。
なんだか怖くなってきて、ティーパックの紅茶を煎れた。
さっきの南野先生の言葉が、やけに信憑性をおびてくる。
なんか怪しい、なんて言われると、ただ平和で長閑だと思っていた村が、孤立した牢獄のように思えてくるのだ。
単純な私は、仕事が終える前に姫島屋先生に連絡をした。
向こうもそろそろ仕事が終えるみたいなので、一緒に帰る約束を取り付ける。さすがに今日は、ふたりきりだと喜ぶ余裕はなかった。
心身ともに、疲れ果てていたからだ。
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