駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……

猫缶@睦月

文字の大きさ
139 / 349
5.南海の秘宝

7.アルバイト?!

しおりを挟む
 休日の今日から、アレキサンドリア協和国内の市民に対して、『チッタ・アペルタ』が開放されました。
 地下鉄の車両も今日から7両編成になっていますが、大変な込み具合です。今日に合わせて、アレキサンドリア内の東西各街・村を結ぶ地下鉄も開通した所為です。
 実は、国内に設置していない路面電車などの施設を、国外に設置するには問題があるとの事なのですよね。流石に上層街に乗り入れる路線は、防衛上まずいですし、下層街から地上の町や村にいけるルートも、敵に抑えられてはまずい事になる為、直通ではないのが利便性を損ねています。
 後から聞いた事ですが、アレキサンドリアの市民にとっても、他国(半分は自国の土地ですが)の都市で、直接品物をみたり、異国的な雰囲気を味わえる事ははじめての事なので、各地の駅には長蛇の列が出来たそうです。
 その為、各駅先着100名が今日の来訪を許可され、残りの市民は別な日になりました。ちなみに、大きな荷物を持っての地下鉄利用は禁止されていますので、商人さんや買出しなどは従来通り馬車を使った移動が主になります。

 僕とイリスさんは、中央区で地下鉄を降りて冒険者ギルドへ顔を出します。指名依頼の処理もありますしね。イリスさんの黒い笑みが地味に怖いですけど……

 流石にギルマスであるカーラさんとは面会しませんが、パトリシアさんに案内されて、応接室で指名依頼の処理をお願いします。報酬の額と依頼内容をみて、頬を引きつらせていたパトリシアさんですが、イリスさんの全く動じていない態度や僕の表情をみて察してくれたようですね。流石に空気を読む能力は高いようです。

 東一番街のロンタノ辺境伯爵家を素通りして、僕とイリスさんはのんびり観光気分で散策します。イリスさんは午後から自分の用事があるとの事ですし、ユイは逆に午前中に用事があるとのことで、お昼に合流して昼食をとった後にユイとイリスさんが入れ替わりとなるようです。ユーリアちゃんは、ご家族4人で今日はのんびり見物するようですね。

 装飾品や衣類など、街区はそれぞれの種類で分けられていますので、衣類を見るなら南東街、装飾品は南西街などに分かれます。各街区の一番街は、高級品を扱う店が多いので、人通りは差ほどではありませんが、一般向けの2番街は、通りから見える範囲でも混雑していますね。
 歩きつかれて、中央区を囲む運河を見下ろすベンチに2人並んで牛乳アイスを食べます。四季のお姉さんがどうしても牛乳アイスを作りたいとの要望で、顕微鏡を製作して見せることで菌自体を認識することで、殺菌などの魔法が使えるようになったのですが、良い菌もあるので、どんな物にも使えるわけじゃないことなどやっと理解してもらっての発売です。
 運河を見下ろす公園に、移動販売の形式で、アイスクリンという商品名で販売していますが、直ぐに寒くなってくるので販売期間は短くなりそうです。

「あら、あれはレギニータじゃないかしら?」

 イリスさんが指を指したのは、青味がかった銀髪を腰まで伸ばした女性です。運河の縁に座って、脚は水に着いているんじゃないでしょうか? 僕もまだ2度しか会った事はありませんが、青味がかった銀髪がとても綺麗な美人さんだったはずです。南の島国出身で、明るく陽気な性格だったと思いますが、心なしか沈んでいるようにもみえますね。
 気になった僕達は、彼女の側まで歩いて行くと、途中でレギニータは僕達に気がついたのでしょう。振り向いて、立ち上がりました。

「イリス先生にクロエ先生、おはようですの」

「おはよう、レギニータさん。学外では、イリスにクロエでいいですわよ。私達のほうが年下なんだから」

 そんな風に話し始めて、彼女がなんとなく沈んでいる理由を尋ねてみると……

「レギは、一人でここに着たんですの。それに国費で留学している訳ではないんですの、それで……」

 途中で言いにくそうに黙ってしまいましたが、金銭的にカツカツなのですね。アレキサンドリアでは、魔術学院の学生=兵士でもありますので、学費がかかるという事はありませんし、一般の学校は義務教育で無料となっています。
 ですが、僕が知っているアイオライトの国々は、貴族向けの学校と、私塾のような学校があるだけですので、当然奨学金などといった制度はありません。気のいい貴族が、優秀な平民の子供に援助を行う場合もありますが、卒業後はその貴族の所領で働く事になる場合が殆どなんですよね。
 そして、僕はあることに気が着いて、レギニータに確認してみると……、やはり彼女は秋冬用の衣類を殆ど持っていないようですね。アルムニュール国は南の島国、いわゆる常夏の国なんですよね。当然季節物の衣類はない事になります。
 僕とイリスさんは顔を見あわせてしまいます。お金の問題は、流石に僕たちには対処できません。公平でないと対外的に問題となりますしね。でも、このままではいずれ借金をして花街などで働かされてしまいそうです。レギニータさんは美人さんですしね。今も通りすがりの人たちが僕達の方を良く見ています。暫く考えて、僕はパチンと両手を打ち合わせます。

「そうです。レギニータさん、アルバイトをしてみませんか?」 

「「アルバイト?!」」

 イリスさんとレギニータさんが疑問符を浮かべるので、僕は説明します。

「えっとですね。冒険者とちがって、特定のお店等のお手伝いをして、お金を貰うことをアルバイトというんです。内容はそのお店毎に違いますが、四季なら僕が紹介できますし、食べ物の販売だから、危険性は無いと思いますよ?」

 四季のこちらの店長さんとお話をする必要はありますが。そういって、まずは移動販売のお姉さんに確認すると、交代でお休みをとるらしいのですが、誰かがお休みの日は仕事が忙しくなるらしく、専属で入ってくれる人がいれば助かるという事ですね。
 早速、レギニータさんを含めて3人で四季の支店を訪れます。僕の提案と、レギニータさんの容姿をみて、店長さんは1ヶ月の仮契約ということでレギニータさんを雇ってくれることになりました。
 講義のある日と店員さんのお休みの日を調整する必要がありますが、毎週ある程度働けますし、放課後も夕方まで働けるという事です。1ヶ月問題が無ければ、そのまま長期契約するとのことですしね。
 午後からレギニータさんがアルバイトを始める事になりましたし、シフトの編成が楽になると、店長さんも喜んで下さいましたので、WIN-WINですよね。

「クロエちゃんやイリスちゃんも、働いてくれると売り上げ倍増なんだけどな~」

 そういう店長の声は聞こえなかった事にします。イリスさんは時間がありませんし、僕も接客は長時間は難しいですからね、精神的に。
 お金の問題も解決しそうな事と、商品を憶える為に僕達と四季の色んな食べ物を食べた事で、レギニータさんは大満足してくれたようです。午後から来店すると約束したレギニータさんを店長にお任せして、僕達は街の散策を続けましたが、やはりアレキサンドリアの商品はデザイン性はいまいちだと再確認しました。
 こういった切っ掛けで、デザイン性も重視してくれると、女の子としては喜ぶ人が多いと思うんですけどね。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

処理中です...