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5.南海の秘宝
9.レギニータの1日
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「ん~、やっぱりここはレギには寒いんですの」
頭からタオルを被った姿で、居間へと入ったレギニータは、室温調整用の魔道具のスイッチを入れ呟いた。
ここは、チッタ・アペルタ西3番街区。学生向けの簡素な宿舎のある区画である。
レギニータを始めとして、アルベニア王国と友邦関係を結んでいない国出身の学生の多くは、この西3番街区か隣の西南3番街区の宿舎を借り受ける物が多い。
チッタ・アペルタ市街では、身分制度は適用されないとはいえ、生活する場となれば酒処もある。
酒が入れば、理性も効かなくなることから、アルベニア側の3番街は治安面では多少の問題はある。若い女子学生には、毎日の生活空間が快適である事は必須のことであった。
髪の水気をふわふわのタオルに吸わせながら、南面の窓を開けたレギニータは、9月とはいえ早朝のやや冷たい風を受け、慌てて窓をしめる。
彼女の母国、『アルムニュール国』は常夏の島国だ。その気候になれたレギニータにとって、この時期の気温は少なからず寒さを感じてしまう。
髪をとかし、布製の肌着の上に薄手の上着を着用するが、腕や肌に触れる布の感触にはまだ慣れない。
同様に、スカートや靴下・靴を着用して外出準備完了。そして、早朝の市場へと出かけるのだ。
市場では獲れたての新鮮な魚を購入し、自室に戻るとすぐに三枚降ろしにし、中落ちはしっかりスプーンでかきとり、少量の大豆ベースの醤油とわさびを添える。
三枚降ろしにした魚はそのまま朝食となるが、中落ち部分はレギニータにとってはデザート感覚だ。
「ん~、この中落ちだけでも、無理に留学した甲斐があったのです。国に帰ったら、みんなに教えないといけないのです」
そう言いながらも、チッタ・アペルタに着てから習慣化している歯磨き粉を使った歯磨きと、その後のハーブティーをゆっくりと嗜む。
やがて、ドアフォンがなり、隣室のクラリス・アメレールの優しげな声が聞こえてくる。
「レギ、そろそろ登校時間ですよ。遅刻すると、イリス先生のお仕置きに会うから、間に合わないなら先に行きますよ」
「よ、用意ならできてるのです。直ぐに行きますのです」
慌てて筆記具をつめたバッグを背負うと、玄関ドアをあけて飛び出した。ドアの鍵は自動で閉まるから、きちんと締まった事だけを確認すれば良い。
「クラリスは、レギをあまり脅かすのはやめるんですの。お仕置きは心臓に悪いんですのよ」
レギはそういうが、クラリスとしてはクスクス笑いをしながらも、レギと運命を共にする気は全く無い。
「レギの寝坊のまき沿いをくって、私までお仕置きされるのは一度で十分です。レギだって憶えているでしょう?」
「う、うぅ、あの時は申し訳なかったのです……」
レギの寝坊で講義に遅れたクラリス諸共、過剰回復の実験体とさせられたのである。
ゲームなどでは過剰回復は被験者に影響を及ぼす事はない。
しかし、アイオライトの現実においては、被験者の主に神経系を過剰反応させてしまう事がわかっていた。衣類などの着衣の接触感が強調され、圧迫感や体感温度の上昇などに現われるのである。
イリスによる過剰回復は、2人の全身の触感を鋭敏化し、ほぼ全身を同時に触れられた感触が2人を襲い、30秒と持たずに2人を腰砕けにしてしまったのである。
「回復魔法は万能ではありませんのよ? 時に被験者に対しては拷問の様に感じる事もあるのですから」
そう言ってアスクレビオスと呼ばれる杖を手に笑みを浮かべるイリスに、2人は本物の恐怖を覚えたものである。
その甲斐あってか、無事遅刻もせずに講義に間に合った二人は、昼食をサンドラと共にとった後分かれて別行動となる。
クラリスは符術基礎学の学生達と、戦術論や戦略論の自習の為に図書館に向かい、レギニータは『四季 チッタ・アペルタ店』でのアルバイトがある。
四季でのレギニータの役割は、ヘルプと呼ばれるお手伝いであったが、その美貌と生来の明るい性格が功を奏し、厨房以外の全ての業務を賄っている。
「今のまま頑張ってくれれば、卒業までアルバイトをお願いするよ」と言われ、自国にいたときとは別な充実感さえ感じているのであった。
四季は、魔術技術学院【スクオラ・ディ・テクノロジア】の生徒達にも人気の店であり、常連の学生も多い事もあり、レギニータの知名度も上がった為、友人も増えたことも大きい。そんな訳で、このアルバイトを紹介してくれたクロエに対しても、レギニータは感謝をしているのである。
苦学生である事も四季では知られて居る為、アルバイト後に軽い賄いが振舞われる事も、レギニータにとっては嬉しい事であり、悩み事の一つにもなりつつある。
故国の食事とは違い、繊細な味付けや新商品の試食などで、地味に体重が増えつつあるので……
日が傾いてアルバイトが終了すると、レギニータは真っ直ぐ自室に帰る。部屋に戻ると、講義の復習と人体構造の学習である。骨格の再生を行う為には骨格の正しい形状や機能を知らねばならず、神経線維や血管、筋繊維などを把握しておく事によって、消費魔力も異なるのである。
自国では、日が沈めば早々に休むしかなかったが、チッタ・アペルタではまだまだ宵の口である。新しい街ゆえに活気にあふれるが、酒処は東3番街に集中し、冒険者もそれに合わせて東の街区を住まいにしている物も多い為、西の街区は静謐に包まれている。
やがて大きな欠伸をしたレギニータは、着ていた衣類を下着諸共部屋に脱ぎ捨てると、彼女の寝室へと移動した。寝室のドアを開けると、彼女が悠々横になれるほどの巨大なバスタブに、水が張られている。いや、寝室を満たすその臭いは潮の香り。
大きな浴槽に身を浸したレギニータは、魔法を詠唱する。
「擬態」
詠唱後、レギニータの細く美しかった2本の脚は、一本の魚のそれに変わる。魔法で浴槽を故郷の海水で満たしたレギニータは、大きな浴槽の中でゆっくりと身体を解すのであった。
「あ~、人型で美味しい物を食べられるのはいいけど、脚が痛くなるのは難点なのです~」
そして、浴槽の中で水中に、半ば揺られるように浮きながら眠りにつくのであった。人型でいても何の問題もないが、やはり一日一度は海水に全身を浸したいレギニータであった。
南海の島国、『アルムニュール国』。そこは香辛料と果物の特産地というだけでなく、人族と人魚族が共存する国でもあった。
頭からタオルを被った姿で、居間へと入ったレギニータは、室温調整用の魔道具のスイッチを入れ呟いた。
ここは、チッタ・アペルタ西3番街区。学生向けの簡素な宿舎のある区画である。
レギニータを始めとして、アルベニア王国と友邦関係を結んでいない国出身の学生の多くは、この西3番街区か隣の西南3番街区の宿舎を借り受ける物が多い。
チッタ・アペルタ市街では、身分制度は適用されないとはいえ、生活する場となれば酒処もある。
酒が入れば、理性も効かなくなることから、アルベニア側の3番街は治安面では多少の問題はある。若い女子学生には、毎日の生活空間が快適である事は必須のことであった。
髪の水気をふわふわのタオルに吸わせながら、南面の窓を開けたレギニータは、9月とはいえ早朝のやや冷たい風を受け、慌てて窓をしめる。
彼女の母国、『アルムニュール国』は常夏の島国だ。その気候になれたレギニータにとって、この時期の気温は少なからず寒さを感じてしまう。
髪をとかし、布製の肌着の上に薄手の上着を着用するが、腕や肌に触れる布の感触にはまだ慣れない。
同様に、スカートや靴下・靴を着用して外出準備完了。そして、早朝の市場へと出かけるのだ。
市場では獲れたての新鮮な魚を購入し、自室に戻るとすぐに三枚降ろしにし、中落ちはしっかりスプーンでかきとり、少量の大豆ベースの醤油とわさびを添える。
三枚降ろしにした魚はそのまま朝食となるが、中落ち部分はレギニータにとってはデザート感覚だ。
「ん~、この中落ちだけでも、無理に留学した甲斐があったのです。国に帰ったら、みんなに教えないといけないのです」
そう言いながらも、チッタ・アペルタに着てから習慣化している歯磨き粉を使った歯磨きと、その後のハーブティーをゆっくりと嗜む。
やがて、ドアフォンがなり、隣室のクラリス・アメレールの優しげな声が聞こえてくる。
「レギ、そろそろ登校時間ですよ。遅刻すると、イリス先生のお仕置きに会うから、間に合わないなら先に行きますよ」
「よ、用意ならできてるのです。直ぐに行きますのです」
慌てて筆記具をつめたバッグを背負うと、玄関ドアをあけて飛び出した。ドアの鍵は自動で閉まるから、きちんと締まった事だけを確認すれば良い。
「クラリスは、レギをあまり脅かすのはやめるんですの。お仕置きは心臓に悪いんですのよ」
レギはそういうが、クラリスとしてはクスクス笑いをしながらも、レギと運命を共にする気は全く無い。
「レギの寝坊のまき沿いをくって、私までお仕置きされるのは一度で十分です。レギだって憶えているでしょう?」
「う、うぅ、あの時は申し訳なかったのです……」
レギの寝坊で講義に遅れたクラリス諸共、過剰回復の実験体とさせられたのである。
ゲームなどでは過剰回復は被験者に影響を及ぼす事はない。
しかし、アイオライトの現実においては、被験者の主に神経系を過剰反応させてしまう事がわかっていた。衣類などの着衣の接触感が強調され、圧迫感や体感温度の上昇などに現われるのである。
イリスによる過剰回復は、2人の全身の触感を鋭敏化し、ほぼ全身を同時に触れられた感触が2人を襲い、30秒と持たずに2人を腰砕けにしてしまったのである。
「回復魔法は万能ではありませんのよ? 時に被験者に対しては拷問の様に感じる事もあるのですから」
そう言ってアスクレビオスと呼ばれる杖を手に笑みを浮かべるイリスに、2人は本物の恐怖を覚えたものである。
その甲斐あってか、無事遅刻もせずに講義に間に合った二人は、昼食をサンドラと共にとった後分かれて別行動となる。
クラリスは符術基礎学の学生達と、戦術論や戦略論の自習の為に図書館に向かい、レギニータは『四季 チッタ・アペルタ店』でのアルバイトがある。
四季でのレギニータの役割は、ヘルプと呼ばれるお手伝いであったが、その美貌と生来の明るい性格が功を奏し、厨房以外の全ての業務を賄っている。
「今のまま頑張ってくれれば、卒業までアルバイトをお願いするよ」と言われ、自国にいたときとは別な充実感さえ感じているのであった。
四季は、魔術技術学院【スクオラ・ディ・テクノロジア】の生徒達にも人気の店であり、常連の学生も多い事もあり、レギニータの知名度も上がった為、友人も増えたことも大きい。そんな訳で、このアルバイトを紹介してくれたクロエに対しても、レギニータは感謝をしているのである。
苦学生である事も四季では知られて居る為、アルバイト後に軽い賄いが振舞われる事も、レギニータにとっては嬉しい事であり、悩み事の一つにもなりつつある。
故国の食事とは違い、繊細な味付けや新商品の試食などで、地味に体重が増えつつあるので……
日が傾いてアルバイトが終了すると、レギニータは真っ直ぐ自室に帰る。部屋に戻ると、講義の復習と人体構造の学習である。骨格の再生を行う為には骨格の正しい形状や機能を知らねばならず、神経線維や血管、筋繊維などを把握しておく事によって、消費魔力も異なるのである。
自国では、日が沈めば早々に休むしかなかったが、チッタ・アペルタではまだまだ宵の口である。新しい街ゆえに活気にあふれるが、酒処は東3番街に集中し、冒険者もそれに合わせて東の街区を住まいにしている物も多い為、西の街区は静謐に包まれている。
やがて大きな欠伸をしたレギニータは、着ていた衣類を下着諸共部屋に脱ぎ捨てると、彼女の寝室へと移動した。寝室のドアを開けると、彼女が悠々横になれるほどの巨大なバスタブに、水が張られている。いや、寝室を満たすその臭いは潮の香り。
大きな浴槽に身を浸したレギニータは、魔法を詠唱する。
「擬態」
詠唱後、レギニータの細く美しかった2本の脚は、一本の魚のそれに変わる。魔法で浴槽を故郷の海水で満たしたレギニータは、大きな浴槽の中でゆっくりと身体を解すのであった。
「あ~、人型で美味しい物を食べられるのはいいけど、脚が痛くなるのは難点なのです~」
そして、浴槽の中で水中に、半ば揺られるように浮きながら眠りにつくのであった。人型でいても何の問題もないが、やはり一日一度は海水に全身を浸したいレギニータであった。
南海の島国、『アルムニュール国』。そこは香辛料と果物の特産地というだけでなく、人族と人魚族が共存する国でもあった。
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