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第2章
卒業半年前 1 (改稿)
しおりを挟むそれは学園を卒業する半年前に、王子が城下町で遊ぶ姿が頻繁に見られ、その傍らにはピンクの頭の令嬢と寄り添い歩く姿を見たと言う噂を、クラスメイトからの話で私は知る事となる。
★☆☆★☆☆
学園を卒業する半年前のある雨の日の朝。
「イリアごきげんよう、今日は朝から雨は憂鬱ですわね?」
私の傍らで執事のグレンが傘をさしてくれているので、濡れはしないけれど。
「あら?ごきげんよう本当に嫌よね。制服が濡れて……あら貴女、濡れてないわ? なんですのそれ?」
グレンが持つ傘に指をさすイリア。
「え? これかしら? これは傘と言うのよ。余り服が濡れないから便利なのよフフフ」
「まぁ……それは便利そうだわ。それ傘と言ったかしら? それを私に譲って下さらない?」
「ええ良いわよ、けれど目立つわよ? 良いのかしら」
「良いですわよ別に。逆に、傘を他の方々に自慢してあげますわよ」
「フフフ、それは有難いわ。それなら、どうしょうかしら? 私は、学園で授業が終わり次第また王室ですし……」
………予備が無いのよね。
「お嬢様、それでしたら。私がイリア様のお屋敷に、届けさせますが如何ですか?」
「そうね、そうしませんこと? 今日は使えなくても、また雨が降る日もあるでしょうから。屋敷に届けて貰えると嬉しいわ」
「分かりましたわ。じゃあグレン宜しくね? お願いするわ」
「畏まりました。ではイリア様、後程ベルガモット家からの使いが、傘をお届けに上がりますので。ご連絡宜しくお願い致します」
「分かりましたわ。マルコフ、宜しくお願いしますわね?」
イリアが自分の執事に命令をする。
「お嬢様、承知しました。パトリシア様、有り難う御座います。屋敷の者には連絡をしておきますので」
「フフフ、大丈夫ですわ。イリア様にはいつも、色々と助けて貰ってますもの」
そんな話をして、二人で歩き昇降口迄着いたので控えていたグレンを帰し、自分達の教室に入って行った。
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