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第10章
第32話 想像はできるけれど
しおりを挟む領地は兄が継ぐと言って話すけれど……。
自分はお兄様を助けないのかしら?
「後継者様が、お兄様と言うことは。ご兄弟で領地を盛り経てて行かれるのですか?」
「………ええですが、私は違う形で手助けをしたいと、思って居りますが」
「違う形ですの……?失礼ですが、そのお考えとは?どの様な事を」
「それは……ここで話すことですか?」
おっと、いけないいけない…変に探られたと思われたかしら?
「これは、失礼しましたわ。不快にさせましたかしら」
「いえ、ですが、聞かれても話せないとだけ、伝えて起きましょう」
「それでは、私との婚約の申し込みの理由を、伺っても宜しくて?まさかそれも秘匿だなんて、仰ったりしませんわよね?」
「ええ、それは貴女にも知って貰いたい。何せ当事者ですからね?お互いに……」
ん~……なんでしょうか……気持ち悪い。
容姿はまぁ……?整ってますね好みではないですが。それに、言い方と含み笑いが………。
二度も、言いますが……実に気持ちが悪い。
「それで?理由を聞かせて下さいませ。聞けばそちらもご婚約を破棄されたとか?」
「……知っておりましたか。はぁ~」
「あの……隠すおつもりでしたの?」
「ええ、私にとっては、汚点でしか有りませんからね(役に立たない女等、私に相応しくはないからな)」
「は~ぁ、汚点ですの?私もそれでは、あの方の事は汚点ですわね。フフフ」
「貴女の汚点は、非常に大きなものです。ですから私がその汚点ごと、引き受けて差し上げましょう」
差し上げる?上から目線ね………。
何で貴方に支えて貰わないと、ならないのかしら?
あぁ、忘れてた訳でな無いですが…この世界はごりっごりの男尊女卑の世界だったわ……。
全く下らないわ!偉そうだわねぇ~。
「まぁぁ、私を支えて下さるのですか?でしたらどの様に、私を支えて下さるのかしら。是非お聞きしたいわ」
扇子を畳んで、手を組み。目を若干うるうるさせて、にっこり笑い。
是非、聞きたいわと期待の目を向ける。
斜め後ろで控えて居るグレンが、私の姿を見て居るのかしら……。苦笑いをしているのが横目に入る。
「そ、それは……ぐ、具体的には、言えませんが。それでも貴女がお困りの時には……」
「困る……ですの?お付き合いして行く中で、ゆっくりお互いを知ってその時に。何かしらの、問題が起きたら私を支えてくれると?」
「え!ええそうです。私なら、それができる。聞けばあの王子は、貴女を放っておかれたと、聞きましたが?」
全く考えて居なかった、と言う答え方をされたわね………今。
それに、何処から私の事を聞いたのかしら……。
あ、城内で噂されてたのね、お喋り雀は多かったのね。
「それなら……ご相談したいのですが、聞いてくださいますか?」
「ええ、何なりと!ですが、今は無理なのでは?」
「そうですの、なぜかしら?」
すっ惚けて、聞いてみる。
「今はまだ、私と貴女は会ったばかりですよ」
「あら、そうでしたわね?オホホ」
当たり前の返事が帰って来たわ、実に詰まらないわね!
「ですが、私と結婚を考えて頂けるなら、私は何でも叶えますよ!」
「その見返りは?なんですの」
「おや、お分かりですか?」
そんなの、聞いてないから分かるわけが無い。
だけど想像は出来ちゃうのよねぇ~。
なんでこう駄目な人がホイホイと湧いて来るのかしら?
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