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第1章 ここから始まるDIY

七日目① お金は大事

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 朝起きて、食堂で食事を済ませて、ギルドへ向かう。
 これが朝のルーティンだ。
 って誰に対する宣言だこれ?

 まぁいっか。
 今日の朝食は、鶏肉の香草焼きと付け合わせの芋。
 あとは堅パンとスープ。
 ふと考えて思った。
 前も考えていたことだけど普通に卵と鶏肉食べてるけど、これって養鶏してるってことなの?
 あとベーコンとかも普通に食べてるし。
 それと、俺の装備品……豚皮だしね。
 つまりは畜産業を行ってるってことか?
 大体のファンタジー系のフィクションだと、畜産業がそれほど盛んじゃなくて、それを現代知識でチートして大成功なんて流れがテンプレだったはず。
 それがすでにあるってことは……
 まさか……ここでも賢者様出てこないよな?
 それってまさに、チートしまくり異世界ライフじゃないか?!
 何て無駄なことを考えつつも手が止まりそうになかった。
 

 
 げふっ。ごじぞうざまでじだ……
 う、うごげない……
 だってうまかったんだもの。
 食べ過ぎたよ……
 だが後悔はない!!
 はい、嘘です、数十分前の自分にこう言ってやりたい……やめるんだ!!それ以上よそってはいけない!!後悔するぞ!!って



 胃袋を落ち着けた俺は、今日の予定を確認していた。
 昨日の資料室での情報通り、今日は薬草類の採取中心で行うつもりだ。
 ついでにゴブリン退治も。

 それと、昨日の綺麗な石は【魔石】というものだった。
 魔物、魔獣を倒すとまれに落とすそうで、ゴブリン・スライムだと銅貨5枚がいいとこらしい……
 つまり……薬草採取のほうが儲けがあるという罠。
 ちなみに、ゴブリンが落とした腰布……あれは買い取り不可だそうだ。
 いらんがな。
 そして俺がいらないってことはギルドだっていらんってわけだな。



 いつものように門にいた職員さんに挨拶をしてから宿舎を後にした俺は、冒険者ギルドに移動した。
 いつも通りクエストボードで依頼を確認する。
 俺にできそうなのはいつも通りの依頼だった。
 きっと早く来ればもっといい依頼があるんだろうけど……
 そこまで困ってないし、争奪戦何てまっぴらごめんだ。
 当分は今のままでいいでしょう。

 そして今日は二つ依頼を受けることにした。

・薬草採取(ヒール草5枚採取。)銅貨10枚
・薬草採取(弱毒草5枚採取。)銅貨10枚

 ついでにゴブは常設だから耳をとってくる。

・ゴブリン討伐(5匹単位で受付。)銅貨25枚

 これでトータル45枚か……

 ちなみにお金の価値はこんな感じらしい。

銅貨  10枚→銀貨 1枚
銀貨  10枚→金貨 1枚
金貨 100枚→大金貨1枚
大金貨100枚→白金貨1枚

 俺の感覚的に日本円換算するとこうなると思う。

銅貨  1枚=  100円
銀貨  1枚=1,000円
金貨  1枚=   1万円
大金貨 1枚= 100万円
白金貨 1枚=   1億円

 つまり、俺は国から10万円ほどもらって、装備で8万ほど使ってしまったということなのだ……
 手持ち残金……
 そこそこやばい……
 まあ、宿代がタダだからそこまで困ってはないんだけどさ。
 今後の装備品やアイテムの調達を考えると心もとなくなってきたのが実情だ。

 それと、街中では大体銀貨までしか使われないとのことだ。
 だから依頼の報酬も、日常的に使われる銅貨で支払われることが多いそうだ。
 金貨なんか持ってても使い勝手がめちゃくちゃ悪いって怒られるんだって。
 特に露天商に金貨持っていくと、〝おつりの銀貨と銅貨が足りなくなるから帰ってくれ!!〟って追い返される場合が多いそうだ。
 
 これからはきちんとお金を管理しようと思います!!
 って、だから誰に向けての宣言よ……
 周りを見ると、ほほえましいような空気で見られていた。
 もしかして心の声が漏れてたのか?

 「おはようカイト君、あまり無理をしないようにね?普通の冒険者だったらお休みを取りながらやるものなのに、一日も休んでないでしょ?」
「あ、そういえば……」

 いつものように依頼書をキャサリンさんに渡すと、ものすごく心配されてしまった。
 うん、忘れてたよ。
 こっちに来てから、休みっていう休みとってなかったかもしれない。
 疲れるとか、疲れないとかそういった感じが全くしなくなっていた。

 確かに戦闘とかは疲れたって感じはするけど、宿に戻ってひと眠りすると全回復してて、問題ないって感じなんだよな。
 これもまたゲームチックていったらゲームチックだ。
 よくよく考えると、こっちの世界にきてそう思うことが多すぎる気がするな……
 まあ、今ここで生きている以上それに従うしかないってのが本音だけど。

「じゃあ、行ってきますね。とりあえず無理はしませんのでご心配なく。」
「そう?ならいいんだけど……。じゃあ、行ってらっしゃい。きちんと報告しに帰ってきなさいね?」

 キャサリンさんは少し困った表情を浮かべていたけど、俺が無理をしないと約束したからか、素直に引き下がってくれた。
 その表情がとても可愛らしかったので、年齢さえ……っと殺気?!
 うん、この話はやめよう。
 命がいくつあっても足りない気がしてならない。

 キャサリンさんからお見送りされた俺は、一路東門へと向かった。
 弱毒草の見た目も昨日資料室で確かめたし、問題なく行けるでしょう。
 それじゃあ、今日も元気に行ってきます!!
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