上 下
45 / 275
第1章 ここから始まるDIY

十五日目⑤ 条件がわかりません

しおりを挟む
 どうにか無事巨大ミミズを討伐し終えた俺は、周囲を警戒しつつ探索していた。
 すると先ほどと同じような岩肌の壁を発見した。

カンキンコンカンキンコン
カンキンコンカンキンコン
カンキンコンカンキンコン
カンキンコンカンキンコン
カンキンコンカンキンコン
カンキンコンカンキンコン
カンキンコンカンキンコン
カンキンコンカンキンコン
カンキンコンカンキンコン
カンキンコンカンキンコン
カンキンコンカンキンコン

 腕が痛い……

 頑張って掘ったおかげか、壁の色が周りと同じ感じになってきた。
 おそらく鉱脈的には終わりと思う。
 数を数えると、鉄鉱石が20個。
 銅鉱石が4個。
 石が15個回収できた。
 石は正直もういらない気がするので、その場に放置していこう。

 あれからどれほど潜ったかわからないけど、そろそろ引き上げ時と感じた。
 本日の探索はこれで終了としよう。
 初日だし無理はしない方が無難だ。
 むしろキャサリンさんに怒られたくないかな。



 出口に向かっているといつものようにきれいに集まった岩石が姿を現した。
 数は6個。
 うん、絶対隠れる気ないよね?
 どっからどう見ても【ロックミミクリー】だよね?

スキル【ホークアイ】
スキル【投擲】

 俺はスキルの助けを借りて、魔晶石を【ロックミミクリー】目掛けて投擲した。
 綺麗な軌道で魔晶石(水)が岩石に命中する。
 すると、もぞもぞと岩石が動き出した。
 間違いなくロックミミクリーだった。
 うん、もう少しミミクリーだったら擬態しようよ。って思ってしまった。
 運よく2匹に水がかからなかったらしく、こちらへ転がりだしてきた。

スキル【投擲】

 2匹の軌道上に追加で魔晶石(水)を投げてやると、見事にずぶぬれになった。
 あとは順番に退治して戦闘終了。
 もう戦闘というより、作業に近い感じになってきた気がする。
 コストに見合わないけど……

 ドロップアイテムは魔石(極小)が3つ。
 ロックミミクリーの甲殻が4つ。
 石は……いらないな。

ピコン

『職業:なんでも屋の起動を確認しました。職業:剣士(なんでも屋)へ変更可能です。』

—————— 
 
技能:剣術 レベル(仮)……剣の使い方がうまくなる。ダメージ上昇率レベル×1%。消費なし。
技能:ラッシュ レベル(仮)……連続攻撃中の体力低下の緩和。緩和率レベル×1%。効果時間ラッシュ中。SP:1/秒

——————
 
 ん?なぜいきなりこのタイミングで職業が増えたんだ?
 条件が全く分からなくなってきた。
 行動だけが条件じゃないってことなんだろうか。
 その辺の検証もしていかないといけないかもしれないな。


 
 その後は特に戦闘もなく、無事に出口まで来ることができた。
 外へ出るとすでに辺りは日が落ち始めており、西側に沈み始めた夕日が眩しかった。
 周辺には帰り支度をする冒険者パーティーが何組かいた。
 どのパーティーも魔法職が照明系の魔法だろうか、光源を確保して帰っていった。
 俺はというと……準備不足だった。
 これは考えていなかった。
 これは戻ったらまた魔道具屋で購入案件かもしれない。

 ほんと、割に合わなすぎる……

「あ、カイト。今帰り?」

 俺も帰り支度をして、街へ向かおうと歩き出すと、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
 振り向いた先にいたのはエルダだった。
 なんだか心が弾んだのは気のせいだろうか?

「あぁ。初ダンジョンアタックは……割に合わなかったよ。エルダは?」
「私は第5層をソロで探索してたけど、まぁまぁって感じだったかな。」

 やはり第5層まで行かないと厳しいのかもしれない。
 少し落ち込んでいると、エルダが励ましてくれた。

「仕方がないわよ。ここのダンジョンは基本的にパーティー推奨だもの。第1層から第3層まではEランクパーティー。それ以降はDランク以上かな?」

 つまりソロで潜るなら、もっと上位じゃなきゃいけないってことだろうね……
 おいおっさん……なんつう場所を勧めるんだよ……
 
 ソロで潜るなら水系魔法は必須になるだろうね。
 うん、俺はここ合ってないかもしれない。
 でも鉱石を採掘するにはここに来ないといけない……
 完全なジレンマだ。

 少し話をして二人で街に戻ることにした。
 帰り道はモンスターは出現しなかった。
 エルダ曰く、あと三日四日はモンスターが湧かない可能性が高いそうだ。
 出たとしても速攻で狩られるから、安全だってことらしい。

 特に何もなく街へと到着した。
 エルダとは北門で別れた。どうやら商業区で依頼人にあってからギルドへ向かうらしい。
 俺は特に何もなかったのでそのままギルドに向かうことにした。
 途中で今日の戦利品を確認していなかったことに気が付いた。

 中身は……

・ロックミミクリーの甲殻が8つ※一つ銅貨5枚
・魔石(極小)が6つ※一つ銅貨5枚
・鉄鉱石が50個(20kg)※1kg銅貨10枚
・銅鉱石が10個(4kg)※1kg銅貨7枚

 鉱石は明日、炉で溶かすからそのままにして、換金は甲殻8つと魔石(極小)6つか……
 絶対割に合わない!!

 案の定ギルドで清算してもらうと……
 銅貨70枚
 この後消費した魔晶石(水)を補充すると50枚が消えるから……
 +20枚にしかならなかった。
 一日潜ってこれでは明らかに宿代にもならない。
 早くダンジョン攻略を進めて金を稼がないと、まじめに家なき子が確定していしまう……
 もういっそのこと森に家建てようかな?などと現実逃避がしたくなってしまった。

 それと、ダンジョンで遭遇した巨大ミミズについても確認した。
 名前は【ロックワーム】。
 弱点は水で、ドロップアイテムは皮と歯らしい。
 両方とも武具の材料になると事だった。
 あと、たまに女王的ロックワームがいて、それを見つけたら直ちに撤退するようにとの忠告も受けた。
 それがいれば確実にロックワームが周辺に10匹近く潜んでいるそうだ。
 基本それは下層でないと出てこないらしい。
 注意はしておいた方がよさそうだな。

 あらかた用事を済ませた俺は冒険者ギルドを後にした。
 その足で魔道具屋へ向かった。
 魔道具屋で魔晶石(水)を5個補充して宿舎に戻ると、「いつまでいるの?」的視線を感じた。
 ほんとごめんなさい。

 部屋に戻りステータスを確認して驚いてしまった。

——————

ステータス

 HP :115/115
 MP :  0/  0
 SP : 32/ 32
 体力 : 23(3UP)(+3)
 力  : 63(3UP)(+3)
 知力 :  2
 魔力 :  2(1UP)
 素早さ: 80(-3)
 魅力 :  5
 幸運 : 50

技能 :DIY レベル2……低級アイテムの作成
    ▼素材(NEW)
        鉄インゴット(NEW)……鉄鉱石5で1本作成。鉄製品基本材料。SP:消費なし。
        銅インゴット(NEW)……銅鉱石5で1本作成。銅製品基本素材。SP:消費なし。

——————

 魔力が上がってる?!
 あれかな?魔晶石(水)を使ってたからか?
 ステータス値の上昇についても謎が多すぎる。

 明日はついに、念願だったインゴット作成だ。
 ワクワクして寝れそうにないかもしれない。

 やばいきんちょううs…………
 すや~

所持金:金貨2枚 銅貨105枚(金貨1枚 銅貨5枚)
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約者が相手をしてくれないのでハーレムを作ってみた

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,371pt お気に入り:30

乗っ取られた令嬢 ~私は悪役令嬢?!~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,853pt お気に入り:115

竜皇女と呼ばれた娘

Aoi
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:569pt お気に入り:185

悪役令嬢は断罪イベントから逃げ出してのんびり暮らしたい

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,790pt お気に入り:466

婚約者の義妹に結婚を大反対されています

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:51,774pt お気に入り:4,928

伯爵様は色々と不器用なのです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:32,652pt お気に入り:2,803

悪役令息の義姉となりました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:23,475pt お気に入り:1,556

処理中です...