176 / 275
第4章 ここから始まる勇者様?
三十五日目⑩ 定期メンテナンス・『魔道具店ライラ』 カイトとエルダ
しおりを挟む
「それじゃあ、あとはエルダとカイト君の用事かな?」
「そうですね、俺は魔晶石(水)を20個ほどお願いします。」
俺はカウンターに20個分の代金、金貨2枚を置いた。
それを確認したライラさんは後ろからすぐに20個取り出して、カウンターの上に置いていく。
一応、品質確認を目の前でしてくれるので安心できる。
「大丈夫ですね。ありがとうございます。」
「それにしても、まだ魔法は使えなさそう?」
ライラさんは俺の状況を知っていた為、心配そうにしていた。
そういえば魔法を使えるようになったの伝えて無かった。
ごめんなさいライラさん。
「いえ、【ウォーターバレット】のスキルブックを拾いまして、使えるようには一応なりました。でも、範囲が狭いし、何かあったときの保険にもなりますからね。」
「スキルブックを読んだの?!もったいな~い。高値で取引になるから、お金持ちになれたのにね。」
確かにライラさんの言う通り、それなりの金額にはなる。
だけど、今の俺には必要だから使ったまでに過ぎないのだ。
「そのうち、戦闘用魔道具を見に来ますね。」
「えぇ、待ってるわね。エルダはどういった用事?」
「杖のメンテナンスをお願いします。」
そう言うと、エルダは愛用の杖をカウンターの上に置いた。
いつも使っている杖は、師匠から卒業祝いにいただいたものらしい。
状態維持の魔法を付与しているらしく、軽いメンテでも長持ちするのだそうな。
ただ、やはり魔道具師に定期メンテしてもらわないとガタが来るので、たまにライラさんにメンテナンスをお願いしているそうだ。
「わかったは。明日朝には出来上がってるから、またいらっしゃい。特に何か要望があるわけじゃないわよね?」
「はい、摩耗確認と魔晶石の調整だけで大丈夫です。」
「わかったわ。」
これまたいつも通りのやり取りで、すぐに対応は終わってしまった。
ライラさんはエルダから預かった杖を布にくるむと、奥の作業場へ運んでいった。
その扱い方に、やはり職人なんだなと改めて感心したのだった。
俺たちから少し離れたところで、デイジーは気持ちを落ち着かせていた。
新たな相棒を胸に抱いて、ポールに慰められている。
やっぱり二人は……って今はやめよう。
さすがに不謹慎だからね。
「デイジー、ポール。こっちの用事は終わったよ~」
俺は気にしていない体を装って、2人に声をかけた。
二人の世界に入っていた二人は、慌てて離れてこちらへやってきた。
その顔はほんのり赤かった。
うん、青春だね。
「じゃあ、ライラさん。よろしくお願いします。」
エルダはライラさんに深くお辞儀をしてお願いをした。
ライラさんも、任せなさいと深く頷いていた。
「ライラさん……、ありがとう。」
「きちんとメンテナンスに持ってくるのよ?」
「はい!!」
デイジーも受け取った魔導弓【双牙】を手に、改めてお礼を言った。
ライラさんはいつも通りの対応で、「気を付けなさい」と言外に伝えているようだった。
「またのご来店をお待ちしております。」
ライラさんの見送りを受けて、俺たちは店を後にするのだった。
ってだから、ラキって誰なんだよ!?
結局誰もそのことについて触れてはくれなかった。
いつか、話してくれるかな……
「さて、あらかた用事も終わったし、皆はこれからどうする?」
「私は家に戻って【魔導書】の読み込みと、【積層式魔光陣】の練習かな。」
「わたしは……、うん、やることが無い!!魔導弓【双牙】も試したいけど、それは明日でも問題ないしね。ダンジョンへ行きがけに確認するよ。」
エルダは勉強熱心だね。
確かに【魔光陣】であれだけの出力があるんだから、その上位の【積層式魔光陣】はどれ程になるか見当もつかない。
そしてデイジーはやはりという感じがしてしまった。
「ならデイジー、夕飯の買い出しを頼めるかしら。お金とメモを渡すから。」
「わかった~。おやつは買っていい?」
子供のお使いですか⁈
「いいわよ。ただし、使い過ぎ注意ね?」
「は~い。」
うん、どこぞの親子ですか?
デイジーらしいったららしいかな。
「なら、俺が付き合おう。」
「わかった。じゃあ荷物を持ってもらおうかな?」
二人はお金とメモをエルダから受け取ると、商店街へと向かっていった。
その後ろ姿を見て、なんだか羨ましくなったのは内緒だ。
でも、デイジーなら荷物持ちいらないんじゃないかと思ったけど、口にするだけ野暮なのだろうか?
「じゃあ、私は戻るわね。カイトはどうするの?」
「俺は北門の外の砂地で軽く素材集めかな?時間もないし、すぐ戻るよ。」
集めるのは砂とか砂鉄とか、ガラスの素材や武器の素材だからね。
それほど多い物じゃないし、アイテムボックスにまとめて回収したら勝手に分別してくれる謎仕様だし。
ヒトリデダイジョウブダヨ……
「わかったわ。じゃあ、またあとで。」
「おう。」
エルダも足早に自宅へと戻っていった。
レイさんから受け取った【魔導書】を読み込むのが最近のブームらしいね。
新しい事への挑戦だし、面白くて仕方がないんだと思う。
無理だけはしないでほしいかなとは思うけど。
みんなと別れた俺は、一人北門へと向かった。
そしてその選択を全力で後悔することになろうとは、この時の俺は思いもしなかったのであった。
大事なことだからもう一度言おう……
ラキって誰⁈
「そうですね、俺は魔晶石(水)を20個ほどお願いします。」
俺はカウンターに20個分の代金、金貨2枚を置いた。
それを確認したライラさんは後ろからすぐに20個取り出して、カウンターの上に置いていく。
一応、品質確認を目の前でしてくれるので安心できる。
「大丈夫ですね。ありがとうございます。」
「それにしても、まだ魔法は使えなさそう?」
ライラさんは俺の状況を知っていた為、心配そうにしていた。
そういえば魔法を使えるようになったの伝えて無かった。
ごめんなさいライラさん。
「いえ、【ウォーターバレット】のスキルブックを拾いまして、使えるようには一応なりました。でも、範囲が狭いし、何かあったときの保険にもなりますからね。」
「スキルブックを読んだの?!もったいな~い。高値で取引になるから、お金持ちになれたのにね。」
確かにライラさんの言う通り、それなりの金額にはなる。
だけど、今の俺には必要だから使ったまでに過ぎないのだ。
「そのうち、戦闘用魔道具を見に来ますね。」
「えぇ、待ってるわね。エルダはどういった用事?」
「杖のメンテナンスをお願いします。」
そう言うと、エルダは愛用の杖をカウンターの上に置いた。
いつも使っている杖は、師匠から卒業祝いにいただいたものらしい。
状態維持の魔法を付与しているらしく、軽いメンテでも長持ちするのだそうな。
ただ、やはり魔道具師に定期メンテしてもらわないとガタが来るので、たまにライラさんにメンテナンスをお願いしているそうだ。
「わかったは。明日朝には出来上がってるから、またいらっしゃい。特に何か要望があるわけじゃないわよね?」
「はい、摩耗確認と魔晶石の調整だけで大丈夫です。」
「わかったわ。」
これまたいつも通りのやり取りで、すぐに対応は終わってしまった。
ライラさんはエルダから預かった杖を布にくるむと、奥の作業場へ運んでいった。
その扱い方に、やはり職人なんだなと改めて感心したのだった。
俺たちから少し離れたところで、デイジーは気持ちを落ち着かせていた。
新たな相棒を胸に抱いて、ポールに慰められている。
やっぱり二人は……って今はやめよう。
さすがに不謹慎だからね。
「デイジー、ポール。こっちの用事は終わったよ~」
俺は気にしていない体を装って、2人に声をかけた。
二人の世界に入っていた二人は、慌てて離れてこちらへやってきた。
その顔はほんのり赤かった。
うん、青春だね。
「じゃあ、ライラさん。よろしくお願いします。」
エルダはライラさんに深くお辞儀をしてお願いをした。
ライラさんも、任せなさいと深く頷いていた。
「ライラさん……、ありがとう。」
「きちんとメンテナンスに持ってくるのよ?」
「はい!!」
デイジーも受け取った魔導弓【双牙】を手に、改めてお礼を言った。
ライラさんはいつも通りの対応で、「気を付けなさい」と言外に伝えているようだった。
「またのご来店をお待ちしております。」
ライラさんの見送りを受けて、俺たちは店を後にするのだった。
ってだから、ラキって誰なんだよ!?
結局誰もそのことについて触れてはくれなかった。
いつか、話してくれるかな……
「さて、あらかた用事も終わったし、皆はこれからどうする?」
「私は家に戻って【魔導書】の読み込みと、【積層式魔光陣】の練習かな。」
「わたしは……、うん、やることが無い!!魔導弓【双牙】も試したいけど、それは明日でも問題ないしね。ダンジョンへ行きがけに確認するよ。」
エルダは勉強熱心だね。
確かに【魔光陣】であれだけの出力があるんだから、その上位の【積層式魔光陣】はどれ程になるか見当もつかない。
そしてデイジーはやはりという感じがしてしまった。
「ならデイジー、夕飯の買い出しを頼めるかしら。お金とメモを渡すから。」
「わかった~。おやつは買っていい?」
子供のお使いですか⁈
「いいわよ。ただし、使い過ぎ注意ね?」
「は~い。」
うん、どこぞの親子ですか?
デイジーらしいったららしいかな。
「なら、俺が付き合おう。」
「わかった。じゃあ荷物を持ってもらおうかな?」
二人はお金とメモをエルダから受け取ると、商店街へと向かっていった。
その後ろ姿を見て、なんだか羨ましくなったのは内緒だ。
でも、デイジーなら荷物持ちいらないんじゃないかと思ったけど、口にするだけ野暮なのだろうか?
「じゃあ、私は戻るわね。カイトはどうするの?」
「俺は北門の外の砂地で軽く素材集めかな?時間もないし、すぐ戻るよ。」
集めるのは砂とか砂鉄とか、ガラスの素材や武器の素材だからね。
それほど多い物じゃないし、アイテムボックスにまとめて回収したら勝手に分別してくれる謎仕様だし。
ヒトリデダイジョウブダヨ……
「わかったわ。じゃあ、またあとで。」
「おう。」
エルダも足早に自宅へと戻っていった。
レイさんから受け取った【魔導書】を読み込むのが最近のブームらしいね。
新しい事への挑戦だし、面白くて仕方がないんだと思う。
無理だけはしないでほしいかなとは思うけど。
みんなと別れた俺は、一人北門へと向かった。
そしてその選択を全力で後悔することになろうとは、この時の俺は思いもしなかったのであった。
大事なことだからもう一度言おう……
ラキって誰⁈
応援ありがとうございます!
550
お気に入りに追加
2,969
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる